肉欲企画。

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2014年05月08日

日記 沖縄にて

友人3人と沖縄に行ってきた。皆、このブログを通じて出会ったヤツらだ。7年の歳月を経て俺は30歳になり、あいつらはじきに30歳にならなんとしていた。出発前に羽田で落ち合い、朝からすぐに酒を飲んだ。沖縄じゃなくても良かった。俺はただ、誰かとどこかに行くのが好きなだけだった。

曇天で出迎えてくれた沖縄に、俺たちは笑った。寒からず、暑からず、曖昧でぼんやりとした空気感。

「なんくるねえな」

「おう、なんくるねえなんくるねえ」

笑いながらゆいレールへと乗り込む。鈍色の空を見る。すぐに車輌がゆっくりと動き始めた。

一体あと、どのくらい。と俺は思う。あとどのくらいの回数、こうやって、何の背景も共有しない気の知れた友人たちと旅に出ることができるのだろうか。行為としての難易度と、現実問題としての難易度とは、恐ろしいほどに乖離しているだろう。30歳のいま、出来ていることが、40歳に成り果てたとき、さて、許容されるのか否か。主観は緩く、客観は冷たい。誰にも等しく時間は過ぎていく故のことだ。

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宿に着いてすぐ、オリオンビールを飲んだ。プルトップが小気味よい音を立てて開くのを聞くのが心地よかった。すぐに気分がまどろむ。だから口を開いた。

「もう観光とか、いいんじゃないかな。こう、このままゆっくりと、沖縄の空気を味合う……的なノリで。そういうのもさ、こう、なんくるない感じだと思うし」

無論そんな案は通るはずもなく(それでもそのまま数本ほどの酒を飲んでから)、俺たちは粛々と首里城へと向かった。ハイシーズン前の平日ということもあって、国際通りの人出はまばらでタクシーもすぐに捕まえられた。俺は助手席に座り、車窓より流れゆく外を眺めた。

「○○さんはこちらのご出身なんですか?」

「いやあ、私は与論の方の生まれですねえ」

「ああ、与論の。与論って言ったら与論献奉ってのあんじゃないスか。僕も鹿児島にいたことあるんスけど、なんかアレってえらいことイカツいらしいですねえ」

「そうなんですか?私もねえ、与論にいたのは小さいときだけだったので、そっちの方はあんまりよく分からないんですよ」

なんでもない言葉が口をついて出てくる。人と喋ることは好きだ。初対面の人間と、何でもない、そしてどうでもいい会話を紡ぎ続けることは、とても自然なことだった。無言が嫌いな訳ではない。雑音があった方が落ち着くと、ただそういう性分なだけだ。会話の内容なんて1ミリだって覚えてはいない。

「このコミュ力オバケが」

下車したあと、友人に笑いながらそう言われた。でも、それはちょっと違うんだけどな。別にどうでもいいことだけど。

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「ごめん肉さん、ちょっとおしっこしてくるわ」

「おっ、首里尿かね?」

「わりい、待たせた」

「ずいぶん長かったね。センジュリでもぶっコイてたのかな?」

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東京よりもだいぶ西にある沖縄の日没は、遅い。時間の表示と空の明るさとの間に違和感を抱えながら、俺たちは居酒屋に赴き、大いに酒を飲み、食べ、かつ語った。

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宿に戻ってからも、俺たちはまるでそれが義務であるかのように、水が高きから低きに流れるかのように、酒を飲んだ。ある者は

「沖縄のスナックを検証する必要がある」

と、単身宿を外に出た。直後、スコールに襲われた。また、ある者は

「沖縄でキルミーベイベーを観よう」

と提言し、持参したタブレットで深夜アニメを強制視聴させた。それは俺のことである。後に、その友人のtwitterを閲したところ

「なんで沖縄くんだり来てキルミーベイベーを観なければいけないんだ」

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至極道理な憤りだと言わなくてはならない。

二日目を迎えた。沖縄の空は曇天を越えて、いさぎよく雨を垂らしていた。この日の目的地は名護、ちゅらうみ水族館、並びに、瀬底島。レンタカー屋が宿にまで迎えに来てくれる。2日間借りて7000円。文句のつけようなんてどこにもない。名護市までの道のりは遠い。俺はシート深く腰を預け、ゆっくりと目を瞑る。

「返せー!沖縄を返せー!」

「肉さん、アンタ急に何を言うておるんや」

「それだったらむしろ『帰れ!米軍は帰れ!』って感じじゃないの」

「帰るさー!米兵は帰るさー!」

レンタカーが高速をひた走る。無言よりも雑音を好む俺は、どうしてもどうでもいいことばかり口走ってしまう。

「あそこのさ……海の向こうに見える、小さく見えるあの、あの島だよ。あそこにさ、死んだ目をした少女がいるんだ。

『ああ、自分はこの島で一生を終えてしまうんだ……』

と、そういう覚悟を持った眼だ。なお、かつ

『どうせ大人なんて私のことを性的搾取の対象としてしか見ていないんでしょう?あのナイチャーみたいに!』

と、そういう諦念も含んだ眼だ。その時、お前ら、どう動くよ?」

「そんなん肉さん、言わずもがなですわ」

「そう!手を差し伸べるやろなあ。俺だけは違う、ワイだけは高潔な精神を持って生まれたイキモノや!そういう自負で以て。だからその少女も言うだろう、束の間、生気を取り戻した眼でこう言うだろう。

『だったら連れ去ってよ!!!』

とな……」

「あんた何が言いたいんや」

「いや、まあ、たぶん結局、やるだけヤって、朝起きたらベルトをカチャカチャさせながら

『うん、まあ、そういうのはもっと違う人がいると思うよ?』

なんつって、そそくさと帰るんだろうなあ……あの島の中では……そういうことが……」

「あんた、あの島になんの恨みがあるんや」

ちゅらうみ水族館はとても大きかった。思わず圧倒されてしまう。平日だというのに、多くの観光客で賑わっていた。もしこれが連休中だったら……と思うと、僅かばかりあるフリーターの利を感ぜざるを得なかった。

入館、そして。音よりも速く俺はトイレへと向かった。トイレへの道は遠く、そして長かった。だから言いたい。もしも二日酔いで、そして車酔いを兼ねてちゅらうみ水族館に赴かれる方が今後いるのだとすれば、ゲロを吐くのはどうか、せめて……入館前に済ませておくべきだと、そのことを。

「たぶん、開館史上初の速さでここまでたどり着いたよね。俺は」

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後からようやくやって来た友人にそう告げ、俺はとうとう順路を真っ当に歩き出した。だから俺はちゅらうみ水族館の1/4ほどは見ていないことになる。金を返して欲しい気分だった。

ちゅらうみ水族館行脚、という大行事を終えた俺たちは、宿に向かった。その最中、華美な建造物をいくつか目の当たりにする。

「使ってるねぇ〜、税金!補助金かぁ!?」

もちろん全ては俺の発言なので、並べてのヘイトは俺に集めて欲しい。

「ッカァー!ええもん建てとるやんけ!返せ帰れと言いながら、もうこんな、ッカァー!沖縄民の心のマンコはガバガバやな!」

「あんた、そんなん沖縄の人に聞かれてたら死なされるぞ」

「あれやろ、このレンタにも小さいカメラがついてて、逐一監視されてる……みたいな感じで」

「誰得なんだよそれは」

「で、こう、レンタ返す時に、こう、ものすごい無表情で、こう、トカレフを構えて……言うんだ」

『死ぬさー』

それ以降、俺たちの口癖は『死ぬさー』になった、と言う。

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着いた宿には犬がいた。本当に可愛くて人懐っこい犬だった。宿の人は丁寧に島での過ごし方のあれこれを教えて下さった。俺たちは荷物を置いて、イオン系列のスーパーで酒を買い込んで

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後、酒を飲みに行った。並べては美味しく、並べては楽しく。

「俺さぁー、肉さんのエピソードの中であれがすっげえ好きなんだよね。あのー、あれ。間違って違う人に手マンしちゃったヤツ」

「あったなー。いや、オフ会したあとにな、人の家で何人かで寝たんよ。まあ俺は、酔いながらもクレバーな頭で……クレバーな頭でもって……コレや!コイツに手マンをするんだ!と、固い決意を胸に秘めたわけやね」

「えっ、手マン限定なん?」

「言葉のあやよ。まあそういう感じでだ。夜の帳も下りて……どれ、ひとつ、とおもむろに動くじゃない。もう心のチンポはギンギンよ。で、肌に当たる、柔らかい。見つけた!この家だ!そう思った。だから僕はとってもチューをしたよ。接吻した。アンサーソングも16ビートで、これは!これはイケる!と、そう思ったよ。でもねえ、なんかこう、違うんや。具体的には、頭身?というか、あれ?髪短くなかったかな?すごく長いんですがそれは?と、こうなって、でもその時、俺の右手は確実に湿潤へと進出しており、だから俺は思ったね。『落としどころを探さなければならない』……と、クレバーな頭でそんなことを」

「頭が悪すぎて頭が痛くなってきた。で、どうしたの」

「正直に『すまん、間違えた!』と言うセンも考えた。でもそれは悪手だと、さすがの俺にも分かったよね。だからまあ……義務的に手マンをした、しこうした後に 『ふう……いい手マン、したな!』 みたいな感じの空気感を出しつつ、こう、ノーサイド的な。こういうことも、あるあるだよね!みたいなムードを出しながら、速攻寝た」

「ねえわ」

「バカじゃねえの」

「ホントどうしようもない。死ねばいいのに」

心温まる言葉の雨を友人たちから賜りながら。その日の酒宴は二日目の思い出に向かって収斂していった。

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3日目もまた、曇天。もう誰も沖縄の晴天なんて望んでいなかった。ただ運が悪かったのだと、そのように笑うばかりで。

ただ、それでも。海を見たかった。間近で触れて見たかった。述べ2日も沖縄にいて、直に海に触れたことは一度もなかった。だから俺たちは海へと向かった。それは至極真っ当な因果経路だった。

「海、やなあ」

「海やのう」

「海だね」

因果経路を辿ることは簡単だ。そのことと、因果が満たされることと、は別問題だ。それは当たり前の話である。鈍色の海、曇天の空、まばらな人影、酒臭い俺たち。南国って、なんだ?俺たちは自らの想像力のなさを呪った。

「まあ、これはこれで!」

「よくみれば碧いわ!マジオーシャンブルー!」

「砂、さらっさらやで!ウソ!ちょっと痛い!サンゴかこれ」

『なかったことにする』

大人になった俺たちは、大人らしく、然るべきスキルを身につけていた。

何にでも終わりは等しくある。
この旅にしてもそうだ。

だがその終わりは、ほとんど予期せぬ形で俺の元へと降ってかかった。

遡れば、この旅程の手配の全ては俺の手によるものだった。航空券、宿、レンタカー、諸々の詳細はおよそ俺しか把握していなかった。そしてその詳細をプリントアウトした紙束について、俺は、初日

「いまから首里城行くやろ。つうかこの紙束持って歩くのダルいな。とりあえずこの垣根の下に置いておいて……帰ってきたら回収しようじゃないか」

そして。その紙束を、俺はそのままロストした。くまなく探したが、なかった。たぶん、捨てられたのだろう。まあ、それはどうでもいい。

「肉さん、沖縄から羽田の便は何時なん?」

「おう、20:30ですわい」

実際は18:45だったのである。

そして、そのことに気がついたのが、那覇空港でバランタインを飲んでいるとき、まさに、18:25のことだった。

「あのさあ……」

友人の一人が携帯を弄りながら俺に提示してくる。

「かなり前に俺に呉れたメールで、沖縄発が18:45になってんだけど、これ、変更になったってことなん?」

「せやせや!それが変わったんや!」

俺は思った。そんな手続き、したか?と。
俺は思った。そもそも20:30という論拠は?と。

「ま、まあ、たぶんそれは勘違いなんやけど、一応、一応!事故があってはいかんからな、ちょっと確認してくるるるるるるっるるあああああああ」

走った。走った。生まれて初めての。優しさが。ぬくもりが。そんなものはどこにもなかった。俺は自動チェックイン機に決済したクレカを通す。

『羽田行 18:45』

即発信。即着信。息切れしながら、曰く

「ホントすいませんでした、ホントすいませんでした、そのまま即座に出発ゲートに急いで下さい。あの、ホント、何かの際は全部の旅費は俺が持つから、ホント、すいませんでしたあああぁぁぁぁぁ……」

結論から言おう。間に合った。俺を残した3人は無事に機上の人となった。もともと、日程的に余裕のあった俺は、もう一泊だけ沖縄にいる予定だったからだ。本当に、本当に。今思い出しても胃が痛くなる出来事であった。

『あんた、最後まで演出家やな……』

離陸前に友人の残してくれたLINEが、少しだけ俺の心を癒してくれた。

こうして、俺の沖縄旅行は終わった。沖縄じゃなくてもよかった、と冒頭に書いた。それは別に沖縄をくさす意味でもなんでもない。ただ、単純に。俺はどこにいても楽しいと、そういう意味でしかない。

あとどのくらいの回数、こうやって、何の背景も共有しない気の知れた友人たちと旅に出ることができるのだろうか。出来れば10年といわず20年といわず、気の済むまでこういうことができたら……と、それが望み過ぎなのは、分かっていることなのだけれども。

あと半年したら31歳になる。
誕生日には、どこに行こうかな。
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2012年05月09日

レッツゴー四匹 (途中+二匹)

去る4月7日から1泊2日で伊豆大島に行って来ました。
メンバーは以下。


(四匹)

肉欲(28)
佐野(28)…大学の後輩
斎藤アナスイ(26)…ウェブライター
森田君(23)…近所の友人

(+二匹)

せい君(9歳) 伊豆大島在住 活発 弟
あゆむ君(11歳) 伊豆大島在住 控え目 兄

※二人とは現地で偶然仲良くなりました


その模様について、テキストにてつぶさに書こうかとも思ったのですが、あまり面白そうになかったし、蛇足を加えて伊豆大島の良さをいたずらに害するのもどうかと思ったため、写真と、それに付帯する最低限の説明だけを加え、アップします。

いつも文字ばかりというところからすれば、今回の日記は相当に趣がことなります。携帯からご覧になられる方、PCの回線速度の遅い方については、画像ばかりで環境に優しくない記事ですが、たまにはいいよね……ということでお目こぼし頂ければ幸いです。

写真は全て僕が撮ったものですので、クレームは全て肉欲にシクヨロネガオイサース。


(一応、普段の日記らしきものも先日書いておりますので、気が向いたらそちらもよろしくお願いします)

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posted by 肉欲さん at 01:45 | Comment(12) | TrackBack(0) | 旅行記 このエントリーを含むはてなブックマーク

2012年02月02日

東京拘置所訪問

先日の日曜、ブログ友達であるzukkiniさんと共に、刑事被告人を収容する日本最大規模の施設である "東京拘置所" へと足を運んだ。

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posted by 肉欲さん at 01:06 | Comment(6) | TrackBack(0) | 旅行記 このエントリーを含むはてなブックマーク

2011年10月11日

マイソウルタウンKOENJI

大学1年生から2年生にかけて、僕は東京都杉並区高円寺に住んでいた。風呂なし6畳一間での生活は中々に趣深いものがあり、また高円寺という街の魅力も相まって、当時の記憶はいまも鮮やかに思い出される。僕は高円寺が大好きだ。余談となるが、件の下宿には風呂がない代わりに100円5分のコインシャワーが設えられていた。おかげで5分以内に風呂を済ませるスキルが身体に染み付いてしまい、今を以て僕の入浴時間が5分を超えることはない。

そんな高円寺に、先日、ぼくののうみそというブログを管理運営されているzukkiniさんと一緒に訪れた。きっかけはzukkiniさんのしたためた『高円寺グルメ情報 リターンズ』という記事を読んでのことである。

「こんなナイスなプレイスがまだ残っていたとは……」

高円寺、それは汲めども尽きぬ魅惑の泉源。どれだけ巡り回ったとて、物陰からまだ見ぬディープスポットがひょいと顔を出す。リンク先の記事にあるお店も、永らく気になりながらついぞ足を踏み入れたことのない場所だった。

「もっと知りたいな、高円寺のこと……」

そこからの行動は迅速の一言、僕はzukkiniさんと連絡を取り、迎えた2日後、我々による我々のための高円寺巡りが敢行された運びだ。

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posted by 肉欲さん at 22:40 | Comment(13) | TrackBack(0) | 旅行記 このエントリーを含むはてなブックマーク

2011年09月15日

【画像あり】日記:おれのなつやすみ

皆さん簡易宿泊所は好きですか?

僕は好きだ。

どれくらい好きかと言えば、別に何の目的もないけど、とりあえず簡易宿泊所に泊まりたい、だらだらと酒飲みながらテレビを見ていたい、そのままバイキングで食べ切れない量の朝飯を食べたい、そして帰宅したい、というくらいに好き、大好きだ。

そこにはそこはかとないロマンが眠っているからである。

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posted by 肉欲さん at 21:48 | Comment(12) | TrackBack(0) | 旅行記 このエントリーを含むはてなブックマーク

2009年05月21日

2009年03月20日

2006年03月21日

THE THAI B

2日目。ツアーの都合上5:00に起きることになった。
普通に考えたらかなりキツイのですが、僕はかなり眠りが浅い&早起きにメチャクチャ強い(2時間も寝れば十分)ので難なくクリア。
しかし起きない男が二人。OとK。

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posted by 肉欲さん at 15:37 | Comment(4) | TrackBack(0) | 旅行記 このエントリーを含むはてなブックマーク

2006年03月20日

THE THAI A

今朝起きて爽やかな朝の日差しを浴びながら、さあ今日も趣味のスケボー(サンジェルマン号)で代々木公園まで行って一汗かきますか・・・と思って玄関を開けたところ、

(そもそも僕はスケボーなんて持ってたのか?)

という根源的且つ究極的な問題に直面した。
これが、後々においてまさかあんな大事件に発展するとは誰も予想できなかっただろう。そう、ヨシコ(58)でさえも……。



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posted by 肉欲さん at 18:22 | Comment(2) | TrackBack(0) | 旅行記 このエントリーを含むはてなブックマーク

2006年03月19日

THE THAI @

さて、明るいホリデーだというのにお前らは今日も今日とて肉欲企画か。

飯→オナニー→肉欲企画→オナニー→肉欲企画→肉欲企画→オナニー→ボサノバ

多分そんなルーティンワーク?世間が言わないなら俺が言ってやるよ、お前ら終わってる、てな!



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2005年11月11日

京都旅行記E

いい加減長すぎるこの旅行記、しかしこれでもまだ全日程の半分も書いてないというのだから驚きだ!
「もう見たくない」「どうでもいい」「死ね」といった温かい励ましは、絶賛受付中です。


参照:京都旅行記@ 京都旅行記A 京都旅行記B 京都旅行記C 京都旅行記D


朝、目を覚ますと、カーテンの隙間から差し込む温かい陽光が僕を包んでいた。
新しい朝がきた。希望の朝だ。
そんなフレーズを思わず口ずさむ。新しい朝、か・・・。
「おはよう。よく眠れた?」
声の方に目をやると、筋肉質のたくましい男がコーヒーを持って立っていた。
「ああ、サブちゃん・・おはよう」
僕はサブちゃんからコーヒーを受取ると、香ばしい豆の香りを肺いっぱいに満たした。
「いい香り・・」
目を細めてそう呟くと、サブちゃんは僕を慈しむような目で見つめて、そっと額に口づけをした。
「ダメ・・・」
言葉だけの抵抗。僕はあっさりとサブちゃんに身を委ねる。
「君はワンダフルだよ・・・」
ゴディバのチョコよりも甘い言葉を囁かれ、僕は身も心もチーズフォンデュのよう蕩ける。
「サブちゃん・・・」
サブちゃんはじっと僕の目を見つめる。少し茶色がかった彼の目は、ジョントラボルタよりもセクシーで。
「セ・ラ・ヴィ」
彼の低いアルトが、僕の鼓膜をそっと撫でる。
そして僕は、ゆっくりと、菊を開いた−−−−−


「お兄さん、あの」
僕「なあに?サブちゃん」
「えっサブちゃん?」
僕「あ・・いやその。ハハ」
気付くとそこは先ほどの酒場。どうやら僕の貞操はまだ無事らしい。
僕「なんでしょうか?」
「お兄さん、一人で来たの?」
僕「そうです、旅行でこちらまで来ましてね」
「そうなんですか。どこから?」
僕「東京です。でも出身は山口県です」
「えっ、マジで?!僕も山口なんすよー!」
僕「マジっすか?」

何たる偶然。この広い世の中で、しかもたまたま入った酒場で同郷の人間と知り合うとは…運命って不思議、本当に。
結局膝を突き合わせて話していると、別に彼らはホモの人ではありませんでした。ガタイがいいのは、肉体労働のお仕事ゆえに自然とそうなったそうな。そりゃそうだよ。僕は安堵の息を洩らした。
そのまま彼らと閉店のAM4:00までダラダラと酒を飲み、山口での再会を約して僕らは別れた。楽しい夜でした。

10月30日(日)

快晴です!前日までの雨がウソのようです!
っしゃー!折角の晴天だし、いっちょ爽やかに京都の街を歩くかー!!
なんて願いは、世界平和の実現よりもハードルが高く、二日酔いの僕が布団から這い出したのは、夕方の4時になってからでした。まったく京都は…恐ろしい街だぜ……!!
とりあえず7時から神戸の街で旧友と会う約束をしていたので、そのまま神戸に向かう僕。
駅前で友人達との再会を果たし、僕らはその中のT君オススメの韓国料理屋へ入りました。
ここで僕らは飲み、かつ喰らい、かつ語らいの大盛り上がり。
やはり久しぶりに会うと話題が尽きません。
そのまま二次会になだれ込んだのですが、まあやはり男子が4人以上集まった場合って下ネタな話に終始しますよね。当然。
ということでご多分に漏れず我々も下ネタ大爆発な会話をダイナミックに披露していたのですが、突然S君が

「ちょっとKさんに電話してみるわ!」

まあKさんってのは女の子なんですが、僕らと同じ高校だったのですね。
僕らも酔っていたので、やはりこの辺りで宴席に華が欲しい。イーネ!!それイーネ!!ということになり、S君は神をも冒涜する勢いでダイヤルオン。会話の様子を固唾を飲んで見つめる我々。ゴクリ…。

「Kさん、来るって!!」



 *     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。  
      +    。  |  |
   *     +   / /  イヤッッホォォォ!
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +
      ,-     f
      / ュヘ    | *     +    。 
     〈_} )   |            
        /    ! +    。     
       ./  ,ヘ  |
 ガタン ||| j  / |  | |||
――――――――――――


俄然盛り上がる僕たち。やはり宴席には華がないとね!華がね!
ということで、Kさんを交えて2次会は始まった。
僕はKさんとほとんど喋ったことがなかったので、会話の一つ一つをとっても新鮮でした。
いやー、楽しいですね。もうこうなるとお酒が進んで仕方がありません。
次から次へと空く徳利。ガハハ、ジャンジャン持ってこんかい!!

で、まあ、気付いたら翌日の昼だった訳で…。
10時間近く記憶がありません。
(∩゚д゚)アーアー キコエナーイ
まあ起きた場所はS君の家だったので、とりあえず放火、殺人、レイプなどの重犯罪行為は行ってはいなさそうですけれども、しかし、やっちまったよ・・・。
とりあえず関係者各位に謝罪メールを射出し、僕は神戸散策へと旅立った。

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↑クリックしてやって下さい。
やる気が出ます。
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2005年11月10日

京都旅行記D

大不評の旅行記ですが、まだまだ続きます!エヘヘ!!

参照:京都旅行記@ 京都旅行記A 京都旅行記B 京都旅行記C

京都は条例で建築に対し一定の規制がある為、東京に比して圧迫感が少ない街並みであった気がします。建物が低い。
また祇園なども回りましたが、やはり昔の風情をできる限り残している街並みというものは、いいものですね。木造の家々に感じ入ってしまいました。

お分かりの通り、上述した話は全て建前であって、まあ2割くらいはそのような思いを抱きはしましたけれども、残りの8割以上は
【京都のオナゴ、ごっつかわええやん・・・!】
とかそんな感じ。

いや、京都の人が本当に国内において特段にカワイイのかどうかは科学的な証明を待ちたいところではありますが、何て言うんですかね、旅先で見かける女性ってなんだか綺麗に見えませんか?見えますよね、当然。
という訳で、僕は観光の大半において街並みなどは2の次、すれ違う女性すれ違う女性を徹底的に視姦。頭の中はどピンク。
仮にVシネマが出るのならば
「湯煙三太夫〜肉欲の京都旅行〜」
とか、まさにそんな感じ。

「え?三太夫って誰?」
「は?湯煙?」

なんて思ったそこのアナタ。そういう野暮な疑問は墓まで持っていって。お願いだから。後生だから。

ということで、ボンヤリと道行く人を眺めながら、関西の人のセックスってどんなんだろうなあ、
「いやあー アカン アカンのよー そこはアカンてー」
「何をいうかー 開かん開かんて股はあいとるではないかー ウゲヘヘ」
こんな感じかなあ、さすがに関西弁は違いますなあ、とか考えてた。考えてたら日が暮れてた。Fuckkkkkkkkkk!!!

仕方がないので一旦友人宅に荷物を置きに戻ったのですが、道すがら、変な集団を目撃しました。
女の子が8人くらい集まっていたのですが、まあこれというのが見るからにアホで、例えて言うならばそうですね、クラブだかバイブだか行った施設に夜な夜な赴いて、挨拶がわりに素股とかしてそうなそんなレベルのギャル集団だった。
着てる服もまたアレな感じで、ローライズだかローションプレイだか知りませんが、もうパンツがはみ出るどころじゃなく、思いっきりケツ、いわゆるヒップが、外界に向かってアウトブレイクしているんですね。ズボンから桃が。叩き割ったらなんとか太郎が出てきそうな桃がね。まあ全然汚かったけどな。
で、そんな偏差値27クラスのギニュー特戦隊ばりに羨望のエリート達が揃いも揃って何をしていたのかと言いますと、何かパラパラ踊ってんのよ。京都の街で。ケツ丸出しで。いや、ケツ丸出しかどうかは知りませんけど。
おいおい、今日びパラパラかよ!と、思いましたよ。当然。
でも、知り合いから聞いたところによると、今京都の街ではパラパラが流行っているそうなんですよ。
しかもただ流行っているだけじゃなくて、車の通りが少なくなった深夜、道路の中央にワンボックスカーをズドン!と駐車。他の車をせきとめ安全を確保し、道路の真ん中でパラパラを踊っているらしいんです。まさにキチガイ。間違いない、京都府民は確実にキチガイ。キチガイオブザワールド。

僕もキチガイフェチとして、そのようなキチガイの勇姿を一目焼き付けておこう、と硬く決意したのですが、まだ時間も早かったためか道路でパラパラを踊っている猛者たちは見ることができませんでした。
とりあえず約束していた知人と飲みに行って、PM11:00に戻る。
観光マップなどを眺めながら、いい加減疲れたのでそろそろ寝るかー!なんて思っていたその時、窓の向こうから何やら…
(♪…ンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!)
轟くウーハー。
間違いない。
【奴ら】、だ………!!

走った!僕は一目散に走った。
アスファルトを蹴り、何度もつまづき、でもひたすらに走った。
そして大通りに着いた!パラパラはいずこに?

そこにいたのは一台のワンボックスカー。
後部座席に積んだ大型のスピーカーから、浜崎あゆみの音楽が流れている。
すぐ傍に、ギャル男風の男が二人。手持ち無沙汰に携帯をいじっている。
踊っている人はいない。
人通りもない。
そう言えばこの日は夕方くらいから警察の巡回が異様に多かった。
おそらく、近隣住民からの要望で取締りを強化したのだろう。
少年少女は、取締りを恐れその身を隠したのだ。

しかしあのギャル男二人は違った。
夢を捨てられなかった。
(俺が…俺たちまでが逃げたら……この街は終わってしまうのや!)
使命感に駆られた彼らは、一縷の望みを賭け、いや、最後まで仲間を信じて、ワンボックスを走らせた。

「なあ、タカシ……」
「ん?どうしたんや?」
「俺、結婚しようと思っててん…」
「…!そ、そうかあ、おめでとう!」
「やから、今日は、最後の夜になるかもしれへん。すまん」
「あ、謝るなや!そうかー、おめでとう!ホンマおめでとう!」
「おおきに・・・」
「せやったら、今日は、パーッとやらなあかんな!」
「おうよ!やらいでか!」

その5分後。
虚しく響き渡る浜崎あゆみ。
四条の街に、寂寞と佇む二人。
最後の夜。
二人は、声もなく、泣き叫んだ。

まあなんていうか、近づいて聞いたワボックスカーの音楽は本当にうるさくて、正直に言えば、思ったね、死ね!とかね! ホント、低脳は死んで下さい!
世のため、人のために!練炭とかで!

パラパラを見られなかったのは残念でしたが、いつまでもここにいても埒があかないので、とりあえず飲み屋を探してフラフラ歩いていると、なかなか良さ気な店があったのでとりあえずイン。
店内は薄暗く、客の入りもまばら。まあ12時回ってたしね。
「一人です」
言って、僕はカウンターについた。
今日はワインばかり飲んでいたので、日本酒が飲みたいなあ。
メニューを繰っていると、どうも隣からの視線を感じる。
見てみると『好物はプロテインです!』みたいな屈強そうなマッシブガイが二人いるんですよね。これはあれか、ホモか。ホモの人か。おかーさーん!ホモの人からお歳暮がきたよー!とかそういうことか。そういうプレイか。
まあ、一人客が珍しいんだろ…と思いなおし、酒をオーダー。
一人でチビチビと酒を飲みながら、これまでの出来事を振り返っていたのですが、どうもね、なんかね、やっぱり視線を感じるんですわ。

この時に思ったんですよ。まさかここはハッテン場なんじゃないかって、ね。
【ハッテンの定義:合意にもとづく匿名的な男性間性交渉】
ちょっと待てコラ。どこに合意があるのか、と問いたい。
いや合意してないから!承諾はまだないから!僕、処女ですし!処女は、大事に、したいやん……?(襟を噛みしめながら)
って!僕の菊処女はどうでもいいんですが。
まあここまでは僕の一方的な妄想ですけれども、もし万が一ここがヤマジュン的世界だったら、僕はどうなるのだろうか。

・お兄さん、カワイイね

・お兄さん、一人なの?

・一人で飲んでも寂しいだけだよ、さあ、こっちへ来いよ。

・じゃ、出会いを祝してカンパーイ!

・おもむろにセックス (翌日、何故か内股の僕)

こ、こええぇぇぇぇ…!
所詮この世は弱肉強食。弱いものは捕食される運命。
油断してはいけない。心を強く持って、頑張って、棒太郎!ファイト、棒太郎!


隣の男A 「…あの、お兄さん」


さ よ う な ら 、 僕 の 処 女 ! !


次回、『先生、バスケがしたいです・・・』に続く。


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2005年11月08日

京都旅行記C (実はB)

参照:京都旅行記@ 京都旅行記A 京都旅行記B


すみません、手違いで一つ飛ばしておりました。
位置づけ的には今日の記事が、京都旅行記Aの続きとなり、その続きが昨日更新した京都旅行記Bとなります。
ややこしくなって申し訳ありません。
でも反省はしてない。



10月29日 (土)

京都二日目。


昨日食べた鴨川ダックの呪いが僕を襲う(二日酔い)。頭がガンガンに痛い。


この瞬間僕の足はJRへと向かい早々と東京行きの切符をリザーブしかけたのですが、僕はまだ京都に来て12時間も経過してないので、気合いを振り絞ってようよう布団から這い出し、揺れる頭を何とか叩き起こしつつ僕は京都の街へと繰り出た。

頭は痛くとも腹は減る、それに加えて


「何かご当地の食べ物を賞味したい、いやむしろ賞味しなければ損だ。京都に失礼だ」


というマインドになるのだから空腹も一層激しさを増してくる。

散策しながら虎視眈々と京都の食べ物屋を眺める僕。するとガイドをしてくれていた友人が


「そういえば君は昨日、ラーメンを食べたいって言ってたけれども、アレ、どうする」


なんてことを言う。

昨日、と言われても、先の日記で書いたように鴨川ダックの呪いでデロデロのドロドロに酔っていたので、話した内容どころかどうやって宅まで辿り着いたかすら判然としない。

しかし、そうやって覚えていないことを認めてしまえば

(あっ、こいつは簡単に酒に酔う人間。

ついぞ何時間か前に話したことさえ覚えてない唐変木。

ということは巧みな言辞を以ってこいつを騙すことなどは容易いことということになる。

ここは一つ、消費者金融などの保証人にして私は借銭でマカオあたりに飛び立って自適な生活を送ろう)


ということになりかねない。
つまり人生というものは一寸先は闇。
言葉一つにしても慎重を期さねばいけません。


「ああ、ラーメンね、いいね、食べたいね。」


という風に、僕の心の深遠をひた隠しにして一応話を合わせつつ、しかしよく考えたらラーメンを食べたいという気持ちもない訳ではないなあ。と思った。

というか、

(よく考えたら今はむしろ、積極的に食べたい。ラーメンを。貪るように中華麺。これがいい。これこそが京都。)

という風情になってきた。


この辺りに至ると、


(いやむしろ、ラーメン以外に食べるべき物なんてありますのん?この世に。)


と思い始め、


(え?なんだす?オムライス?ビフテキ?アホちゃう?)


みたいな、ラーメン万歳!他の食べ物は死んでいいよ!みたいな、そんなカオスな思考回路になるのだから本当に不思議、人間って。


「いいね。ラーメンいいね。

というか、僕としてはむしろどちらかというと好意的に、積極的に、いやもう超絶的にラーメンが食べたいと言うのが本音のところで、他の提案なんて考えられないっていうか、大胆に却下するよ、それは。

ということでラーメンを食べに行こう。すぐ行こう、それ行こう、やれ行こう。

で、どこのラーメン屋がいいのかな」


と、私はワキワキして連れに提言した。すると


「いや、それが私もわかりまへんねん」


ラーメン株大暴落。ブラックマンデー。


この辺りのラーメン屋には詳しくないとのこと。

であれば、電車にでも飛行機にでも乗って旨いラーメン屋にでも行けば良いのでしょうが、折角飛行機に乗るのであればラーメンよりも、むしろ積極的にフレンチや卓袱料理などに舌鼓を打ちたい。

仕方がないので我々は各々の視覚・嗅覚・経験則をフル動員して、辺りを俯瞰、前傾姿勢でラーメン屋をサーチした。

すると、一軒、どちらかと言えばしなびた風情のラーメン屋が眼前にズトン!と登場。

やったよ、良かったよ、ガラガラ、ラーメンひとつ!

となれば話は簡単なのですけれど、しかし、店の前で僕たちはふと考えた。

果たしてこの店がベストオブ京都なのかと。

やっぱりどうせなら美味しい物を食べたいと願うのが人情。
京都汲んだり来て、ようよう見つかったラーメン屋が、ものごっつ不味い店であった場合どうなるでしょうか。おそらく


あまりの衝撃、並びに悲しみ、そして激怒のあまりに修羅と化した僕がニトロを持って四条を激走

→僕は一路金閣・銀閣に強襲

→放火&爆破


くらいはする可能性は否定できません。
ここはゆっくり店を吟味する必要があります。

相方に聞いてみた。


「どうしよう?」

「どうしようって、何が」

「あのラーメン屋だよ」

「そりゃ、ラーメン屋ですよ」

「いや、そうじゃなくて。旨いのかな」

「さあ…」

「さあ、って、僕には土地勘がないんだから、一つ頼むよ」

「ああ。うーん、うーん、看板は新しいですよね」

「あっ確かに新しいよね。新しいけどでもそれが?」

「いやっ、つまり、看板を新しくできるほど儲かっている、と」

「おわっ、お前、天才だす」


ということで、我々は風味、客の入り、風評などを一切考慮することのない全くの新しい判断基準

『看板視覚法』

という審査を用いることにより、このやたら怪しいラーメン屋へとインした。ガラガラガラ


入って慄然としたのは、確かにここはラーメン屋で、表立ったメニウにも

『ラーメン』

『チャーシューメン』

なんて言った通常期されるべき品目が並んでいて、まあここまでは良かったのだけれども、メニウを裏に返すとそこには


『手羽先』


バードウィングか。
まあ手羽先はまだいいよ。
スープのダシはトリもアリだしね。

でもそこから更に続く字。


『鯖寿司』

『稲荷寿司』


ここにおいて我々の得も言われぬ不安は一気にピークへ。
エンジンのメーターで言うところの「F」を遥に振り切った。


ラーメン屋に鯖。
稲荷。


そんな話はついぞ聞いたことがない。
ラーメン屋はすべからくラーメンを出して然るべきである。

しかし現に我々の前には稲荷や鯖寿司がメニウとして存在しており、というか隣の客はむしろ既に稲荷を食している。旨そうに。実に旨そうに。


相方に言った。


「き、君、こ、これは」

「こ、これは」

「い、いなり、だよ」

「い、いなり、ですね」

「や、やばくないか」

「や、やばいっすね」

「さ、鯖。い、いなり。こ、ここは何屋だす」

「た、確か、ラーメン屋だす」

「すわ、なぜ、鯖?いなり?ワイ?」

「あ、あばばばば」


僕らは戦慄。発狂。手負いの虎。

しかしここで帰る訳にもいかない。
既に水も飲んだしタバコも吸った。

仕方ないので覚悟を決めた。
我々は仏頂面する店主に向かい、恐る恐る


「ら、ラウメン……ふ、ふたつー」


とオーダーした。すると


「ラーメンだあ?ふざけんねぃ!
ウチにゃあそんな小洒落た代物は置いてねえんだよ!
冷やかしなら帰っておくんな!
おい!トミ!塩撒け!塩っ!」


と突如店主がチャキチャキの江戸っ子に豹変、昂然と叫んだ。


なんてことはビタイチなくって、店主は極めて鷹揚に、
へい、かしこまり、
と僕らのオーダーを優しく聞き入れてくれた。

僕らはドキドキしながらラーメンを待った。


5分後、ラーメンは無事到着。

醤油とも豚骨とも言えぬ色をしている。

我々は恐る恐るスープを啜った。



果たしてラーメンは、非常に美味しかったのである。



醤油ベースのスープであろうが、豚骨も使っているのであろう、コクは深く、若干脂っこいかもしれない。

しかし浮いている油ほどにはしつこさを感じず、むしろ細めんに絡まって心地良いほどだ。

また、ネギは九条のモノであろうか、非常に歯ざわりと風味がよく、これが箸休めの役割を担っている。


「き、君。これは」

「う、うまいっすね」

「メニウだけでは分からないこともあるものだな」

「そうだす。そうだす。」



僕らの背後では、なぜか、ヤミ金融ドラマ

『ミナミの帝王』

が昼も昼間から勢いよく流れていた。



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2005年11月07日

京都旅行記B

参照:京都旅行記@ 京都旅行記A




(前回のあらすじココカラ↓)

ラーメン食べました><

(前回のあらすじココマデ↑)



腹は充たされたので、どちらかというと帰りたくなったのですが、しかしこれではわざわざ京都汲んだりラーメンを食べにきただけ、ということになりますのでしぶしぶと観光に向かいました。


やはり京都と言えば清水だかキオスクだとか言った施設を見なければ始まりません。
ということで我々は清水寺に向かって行軍を始めた。


って、意気揚揚と向かったのに、何これ。

坂じゃん。

急勾配じゃん。


あれか、京都はあれか。殺す気か。
こんな心臓破りの坂を登らせて、京都は俺を殺す気か。


全く無知蒙昧といいますか、僕は清水が山の上にあるだなんてちっとも知らなかった。目の前の坂を見て愕然とする僕。
これ、昇らなあきまへんのん…?

しかし清水は一度は見てみたかったので、僕は決意を固め坂を昇り始める。

すると、何やらここには


「二年坂」

「三年坂」


と称された、二つの由緒正しき坂があることが判明。

ただの坂にまで歴史を求めるなんて、京都の方々はなんて粋なんだろう、と僕は思った。

そしてようよう辿り着いた二年坂。


「ほう、これが二年坂」


厳格な佇まい。

美しい坂フォーム。

僕は感心の溜息を洩らした。


やはり歴史の深い坂は違う。
坂マニアにも愛されている坂なのでしょう。


僕は連れに言った。


「君、これが二年坂だよ」

「そうみたいですね」

「何やら、心が洗われる気がしないか」

「そうみたいですね」

「歴史のある坂だそうだ」

「そうみたいですね」

「どんな謂れがあるか、知っているかね?」

「知りません」

「僕もだ」


揃いも揃って無知無学。
己の怠惰を猛省していたところ、坂の脇にポツリと立て板があった。


「君、あれは」

「も、もしや」

「たぶん、説明書きだろう」

「み、見ましょう」

「う、うん」


古い立て板。これでようやく二年坂のベールが解かれる。

僕の見立てではこの坂、おそらく、ある一組の恋人の逢瀬に用いられたものと考えられる。

その二人は、織姫と彦星の上を行く複雑な境遇、つまりはおそらく2年に1度しか会えないという悲劇を抱えていたのだ。

そして彼らは、我が身を儚んで、終には清水の舞台から飛び降り心中を図った……。



これだ。繋がった。点と点が線になった。

僕は満足して立て看板を覗いた。






この坂でこけると、2年以内に死にます by二年坂』






ファック・ユー、京都。俺のトキメキを返せ。

そんな場所をプッシュしてどうする。

京都、狂った街。



「まあ。関西流のギャグ、ということか」

と強引に納得して、ふと顔を上げると唐辛子屋があり、そこには


『世界一辛い七味唐辛子、あります』


とあった。


僕も世界一の男としては、同じ『世界一』という惹句を見過ごすわけにはいかない。僕は連れと共に店に入った。


「たのもう!」


僕は叫んで店内に突入。
するはずもなく、静かに店の中を進む。
すると、奥のほうに、あった、ありましたよ、世界一の七味が。


僕は連れに言った。


「君、これが」

「こ、これが」

「世界一なんだよ」

「せ、世界一でっか」

「そうだす」

「ありがたや」


と神妙になって拝んでいると、どうやら試食ができるそうだ。


「試食ができるそうだね」

「ひとつ、食べときまひょ」

「えっ」


戸惑う僕を尻目に、唐辛子をドバドバと手のひらに振り掛ける連れ。その量、明らかに通常の3倍。さすがに赤いヤツは違う。


「ちょっと、キミ、いくらなんでもそれは」

「いただきマンモスー」


ペロリ、とたいらげる連れ。


「ど、どうだす?」

「………」


京都に、涙雨が降った。

僕も、一粒、ペロリと舐めた。

世界一は、ダテじゃないと思った。

(一振りで通常の七味唐辛子10振り分くらいの辛さは感じました。これは危険。)




まだまだつづく。



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2005年11月06日

京都旅行記A

参照:京都旅行記@




京都行きを決意したのは良かったものの、早くも暗い気持ちに陥ってしまった。なぜって席に座れない。これ以上の災厄があろうか、いや、ない。

しかし今回の不幸は、事前に準備を怠った僕に若干の過失が無いとも言えないし、小さいことにクヨクヨしていては大きな人物にはなれない。

また、かつてイエス様も言いました。


『暗いと不平を言うよりも、進んで灯りを点けましょう』


部屋が暗ければ、嘆く前にあなたが灯りを点ければいい、イエスはそうおっしゃった。そう、席がない!席がない!と嘆く前に、もっとポジティブ、レッツポジティブに生きて行けば人生はいつの間にか好転していくのです。


そう思い、車内をキョロキョロ見渡すと、あるじゃないですかオープンスペースが。
それはつまり車両と車両の連結部、すなわちデッキ。

(キリスト様、こういうことなのですね?)

僕は感謝し滂沱の涙を流しながら、デッキに荷物を置いてどっこいしょと座った。半分くらい寝転んでた。

いやー、考えてみれば自由に足を伸ばせるこちらの方が快適かもしれないね。それを、あちらの自由席の方々は、何と言うかまあ狭い座席に押し込められて。足も満足に伸ばせやしない。ちょっとでも隣の座席の領土を侵犯しようものなら、即・抗争が勃発、ひどい時には殺人事件に発展、とかそういうことも十分にあり得ます。つまり自由席の模様は現代日本の縮図。


翻って、こちらデッキ。快適です。足を伸ばせます。寝そべれます。リクライニングで後ろの人から舌打ちされることもありません。みんな馬鹿だなあ。みんなもっとデッキに来ればいいのに。まっ、やはりここが天才と凡夫の差というかね


「すいません、お客さん。そのような体勢では他のお客様のご迷惑となりますので」


共産主義は資本主義に倒壊せしめられ、ブルジョワジーはプロレタリアートに革命を起こされ、デッキ主義は自由席組、並び指定席組からの謀反により解体を余儀なくされた。やはり社会の縮図はデッキにも当てはまるのである。ファック・ユー、キリスト。


僕はしょんぼりして、デッキの隅に体育座りをして静かに書籍を読みふけった。社会の辛さを肌で感じながら。


それにつけてもこうして体育座りで新幹線に乗っていると妙な心持になりますね。

というのも、普段は何気なく乗っている新幹線ではありますが、よく考えれば新幹線が300キロものスピードを出しているのと同時に、我々も新幹線の力を借りて300キロの速さで進んでいる、ということ。これを意識したことがありますでしょうか。

つまり僕は現在、『世界一早い体育座り』ということになります。時速300キロで疾走する体育座り。

窓の外には森林が広がります。

そのうっそうとした森林を駆け抜ける、恐ろしいスピードを誇る体育座りの男。


ああなんて…素敵!


このようの思い至り、ようやく僕は先ほどからの座席問題にまつわる懊悩から開放されました。だって僕は今、世界一なのだから。座席なんて瑣末な問題だぜ。








51194285_244.jpg

(世界一の男 ロイター通信)


そうこうしている内に、新幹線はようやく京都に到着。所要時間およそ2時間半。日本はどんどん狭くなっていきますね。

京都駅では、素敵なことにワインの試飲会などという催しが執り行われておりました。思わず

(ちょっとあのブドウ汁飲みたいなあ)

との欲求を抱きましたが、飲んだら酔うまで飲むという性分故、来て早々ドロドロに酔っ払うのは、やはり、あかんだろう、ということになり、泣く泣く見過ごす。人間って、少しずつでも成長していくのですよ。


と、思っていたのですが、結局待ち合わせていた人と、まあ一つご飯でも、ということになり、居酒屋に入りましたけどね。2歩進んで3歩さがる。僕は人間の真理を見た思いです。

入ったものは仕方ないので、強い気概を持って酔うまい、酔うまい、と意識しながらメニューを見ていたところ、


『鴨川ダック』


という面妖な一品があったので、女給を呼びつけ


「すんまへん、この鴨川ダックとは、なんだす?」


と聞いた。したところ


「はあ、北京ダックの鴨川版だす」


との答えを受けた。


そして僕は


「はあ。鴨川。」


と返答した。


何やらちっとも分からない。が、ここはもう東京ではなく京都。意味が分からないのは決してあちらの責任ではなく、京都の文化に疎い僕の責任なのだ。

諺は教えてくれる。

「老いては子に従え」

「郷に入ってはゴーダマ・シッダールタ」

僕は異国に来ている以上、その地に身を委ねなければならないのだ。

その際、余計なプライドや美意識は不要、というか障害にすらなる。

そういうものを取っ払うのに一番効果的なアイテムは何でしょうか。

そう、酒です。


僕は、迷わずに日本酒を飲み、飲み、そして飲んだ。





初めての京都の夜。僕はデロデロに酔った。

四条の柔らかな風を感じながら、一日目の夜は更けていった。


つづく



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2005年11月05日

京都旅行記@

旅に出たくなった。
理由などない。
風に誘われ花に誘われ、ただ漠然と旅に向かったのである。



…これによく類似したくだりが、先日出版された町田康の「東京飄然」という本の冒頭に出てくるわけですが、まあまさにそんな感じで決意された今回の旅行。旅行の決意から出発まで2時間もかからなかったものな。


行き先は関西。


これには少しく理由がありまして、恥を忍んで言えば今から丁度三年前にも僕は一人でフラリと関西へと旅立ったのです。

今では信じがたいことですが、この時は精神がかなりファニーな状態、流行の言葉で言うと鬱、になっており、

『自分ってなんだ!』

といった類の思春期独特の懊悩を抱いた挙句、一路関西に向かった、とかそういう感じ。今思い出しても香ばしいですね。


そういう訳で僕も大学卒業を目の前にして、一度原点に立ち返ろうということで目的を京都に定め、さあ旅の準備です。最低3泊はするだろうから、それなりの準備を整えないと…。




rア ぼうたろう の アイテム



・パンツ 3枚

・充電器

・文庫 4冊



これだけの備えがあれば、まず間違いはないかと思いましたが、万一に備え出掛けのコンビニでチュッパチャップス(コーラ)も購入。これでいざ大震災が起こっても、僕一人だけ大飢餓から生き残れる!という寸法です!(新幹線で食べた)


夕刻、準備を整えた僕は一路東京駅へ。
東京一、いや日本一のターミナル駅たる東京は人でごった返している。

飄然と決めた旅行ですので当然の如く乗車券などは持ち合わせておらず、よちよちと切符を買いに行く僕。

最近はデフレが激しいことこの上なく、中野−新宿間のJRチケットなどおよそ150円で手に入る始末。こんなことでJRの財政事情は大丈夫なのかな?と思わず心配せずにはいられません。

まあでも、安くチケットが買えることは消費者としては嬉しい、というか迎合すべき事柄ですので、僕はにこやか&スマートにJR職員に向けて


「東京−京都の新幹線片道で」


と申し付けた。したところ


「12000円です」


「え?なんだす?」


「12000円です」


責任者出て来い、と思わず叫びかけてやめた。周囲にはテロ対策で警察が目を光らせている。こんなところで叫べば瞬時に逮捕&裁判、スイカはタッチ&ゴー。

思わず目の前が真っ暗になった。い、いちまんにせんえん。ファッションヘルスに行ける値段じゃないか。


この時僕の脳内で

『ファッションヘルスVS京都』

という注目のカードがPRIDEばりに熱い戦いを繰り広げたのは言うまでもない。実力は伯仲。勝負は五分と五分。泥仕合が予想された、が、リング脇のセコンド(僕の前頭葉)から

「初志貫徹だ!」

というアドバイスが飛んだため、京都は一気に優位にたち、辛くも勝利を収めた。


× ファッションヘルス−京都 ○

1R 3:47 (決め技:松葉崩し)


それにしてもえげつないどすなあ、JRはんも。短い区間の料金を安うしといて、わてらを篭絡した挙句、長距離運賃でガッポリ稼ぐんやからなあ。かなんで、正味の話。

と、唐突に関西弁。内心は早くも京都に向かう姿勢は万端だったのだ。けれども、12000円という急迫不正の侵害に僕はすっかり打ちひしがれ、晩年のホセ・メンドーサ(写真)のような体たらくで汽車に向かった。


線路は続くよどこまでも、不幸も続くよどこまでも。僕が購入したのは自由席だったけれど、どういう訳か席は全て埋まっておりました。

尊い僕のことですので、長い旅路を立って過ごすなんて荒業は到底できるはずもありません。これでもし僕がその道のプロであれば、おもむろに気弱そうな兄ちゃんの席の横にでも立って


「あーあー、座りたいのう!わしぁごっつ席にすわりたいのう!」


と鷹揚に叫べば万事解決なんですが、生憎と僕は任侠道にはとんと縁がないのでそんなことできません。というかもやしっ子ですしね。

とにかく僕ができることといえば我が身の不遇を呪うことばかり。しかしこの場合僕は何一つ悪いことをしておらず、だから悪いのは他の乗客ならびにJR(東日本)ということになります。


(みんな死ねばいいのに…!)


そんなポジティブな呪詛を撒き散らしながら、のぞみ356号新大阪行きは、時速400キロくらいで僕の体を運んでいくのでした。

つづく



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posted by 肉欲さん at 16:44 | Comment(4) | TrackBack(0) | 旅行記 このエントリーを含むはてなブックマーク

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