肉欲企画。

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2008年06月06日

チンポ、いまどこに

 
 
もしもチンポが家出をしたら――

その可能性。ない、と言い切ることができるのだろうか。
チンポが家出。そんな状況は存在し得ない!なんて誰が断定できるのだろうか。チンポは家出しない?本当に?1%の例外もなく?

最近、衝撃を受けた言葉がある。


お前にチンポが生えてるんじゃない

チンポにお前が付いているんだ



苛烈なまでの情操教育に服するあまり、僕たちは愚かにも本質を見落としていたのではないか。ともすれば僕たちは、自分という存在、その"心"みたいなもの、あるいは脳髄、脊髄、それらが己の全てを律していると思いがちだ。しかしそれは本当に正しいのだろうか?

その常識、本当に常識なんですか。

人体にはまだまだ解明されていない点が数多ある。確かに、あらゆる思考は脳により紡がれているという科学的なデータも存するだろう。だがそれはまやかしなのかもしれない。いや、僕は何も陰謀論の話をしたい訳ではない。ただ、現代を当然のように取り囲んでいるこのシーン、そいつに一石を投じてみたいのだ。

チンポ、なんじゃないだろうか。

僕たち男という生き物は、総じてチンポに支配されながら生きているのかもしれない。頭で物事を考えているつもりになっているだけで、実のところ思考の本質、それがチンポにあり、チンポが全てを律しているのだとすれば。その仮説を、聖書的に読み替えればこうなる。

はじめにチンポがあった。チンポは人とともにあり、チンポは人だった

一点の曇りもない論理である。古来、僕たちはチンポだった。また、チンポは僕たちだった。両者の関係性にはズレなんてなく、かつそこに主従関係などあろうはずもなかった。

しかしながら現代におけるチンポの扱いときたら、どうだろう。知らず知らずの内に我々は『チンポ=付随物』と妄信し、また『チンポ=ただの道具』などという悪魔的思考に身を委ねている。どうしてなのだろうか?そんな風に考えていい道理なんて、どこにもないのに。

大体において、僕たちはこれまで何をしてきた?科学技術を発展させたのは確かに我々だ。だけどその結果ときたら、どうだ。人々は銃器で殺し合い、利便を追及しすぎるが余り環境をひどく破壊し、親は子を虐待し、子は親を殺し、そして最後には海が死ぬでしょう。山が死ぬでしょう。これが僕たちの行ってきた、数々の所業。

でも、チンポはどうだった?朝は元気に僕たちを起こしてくれた。寂しい時、チンポはいつも股間でニッコリ微笑んでいた。辛いとき、僕たちの心をそっと慰めてくれた。好きなあの子に告白する勇気をくれた。僕たちを生み出す端緒となり、また尊い子孫を生み出す契機にもなった。時には陰毛とかくれんぼもしたし、たまに冷蔵庫の中からチン毛が見つかる――だなんてお茶目な部分も。その度にチンポ、照れくさそうに笑ってた。

これが僕たちとチンポとの差異だ。比べてみるとよく分かる。僕たちはカスだ。憎しみと腐敗と破壊の連鎖を紡ぐばかりで、何も学んじゃいない。チンポさんはあんなに頑張っているというのに。いつまでも同じ場所をグルグルと、グルグルと僕らは。

一体、どこで道を間違えてしまったのだろうか――

そんな逡巡を抱えつつある時だった。
僕のチンポが家出をしたのは。

朝起きると、テーブルの上に置きザーメンがあった。白い、本当に白い精液で、チンポは僕にメッセージを残していた。

『SA YO NA RA』

僕は慌てて股間をまさぐる。そこにはもう何もなくて、つるりとした皮膚がただ広がっているばかり。それでも楽観的だった僕は『お腹が空けば帰ってくるだろう』と考え、チンポの好きなオカズをたっぷり用意してチンポの帰宅を待った。

チンポは、しかし、帰ってこなかった。

3日目の朝。僕はついに警察に捜索願を出すことを決める。『息子がいなくなってしまって……』悄然とした様子でそう語る僕に優しい言葉をかける警官たち。すぐに大掛かりな捜査本部が設置された。もしかすると誘拐事件かもしれない――そう考えた警察は、家の電話に逆探知装置を設置した。

ここで警察はようやく大事なことを思い出す。

「お子さんの特徴は?」

「笑うと、キレイなえくぼの浮かばないヤツで……」

「写真などはありますか?」

「ええ、写メールでよろしければ……」

僕の手にした携帯電話のディスプレイを見て、警察は愕然とする。そこに写っていたのは、どう見ても僕のチンポそのもの。その様子に気付くことのできなかった僕は、携帯をカチカチといじりながら『これが江ノ島で撮ったやつで……これがお台場……そうそう、鷺宮でも撮ったっけなあ……』と、自慢の息子をノーカット・バージョンで警察に提示した。その様子に集まった警官はしばし唖然としていたが、しばらくすると僕の携帯を奪い取り、静かに口を開いた。

「――14:53、現行犯で逮捕する」

ガチャリ。
僕の両手に、冷たい手錠が嵌められた。

・・・

(チンポはどこに消えたのだろうか?)

取調室で激しい尋問を受けながら、僕はそのことだけを考える。6月と言っても、夜はまだ寒い。どこかで雨露の寒さに耐えながら、体をガタガタと震わせているんじゃないか。そう考えると、僕の動悸が一気に激しくなる。

チンポ、チンポ――!!

叫ぶ。心の中で。
今はもう、どこにいるかも分からない相棒に向かって。

3日後。幸いなことに不起訴処分を受けた僕は、ようやく取り調べから解放された。僕はそのまま当て所なく駆け出す。かけがえのないチンポを探すために。

道行くチンポが全て自分の息子のように見える。『チンポ?!』そう叫びながら振り返ることも、幾度となくあった。でもそこにあるのは、僕の息子とは似ても似つかぬ赤の他チンポ。僕は肩を落とす暇もなく、また駆け出した。

「チンポ、チンポどこ行った!?」

足が鉛のように重い。肺が張り裂けそうに痛い。それでも止まらない止まれない、止まることはできない。僕は寝食を忘れて町中を駆け巡る。この町角のどこかに、チンポの笑顔が見つかることを願って。

それでもチンポは見つからなかった。

・・・

「私も昔あったなァ」

ふらふらになりながら入った居酒屋で。カウンター越しに、大将が突然そんなことを語った。僕は右手に持っていた焼酎を握り締め、思わず『え?』と間の抜けた声を出す。

「お客さんのオチンチン。家出しちゃったんでしょう?いや私もね、昔自分のオチンチンが家出したことがありましてねェ」

がんもどきのおでんを菜箸でひっくり返しながら、大将はのんびりとした口調で語った。僕は大将の顔をじっくりと見つめる。柔和な顔を浮かべた気のよさそうな中年だった。

「それで、どうされるんですか?もう諦めるんですか?」

菜箸の動きをピタリと止め、少しだけ挑戦的な目つきを僕に投げかけてくる大将。試すような惑わせるようなその声色に、思わず僕の頭は混乱に包まれる。

「諦めませんよ……でもこんなに探してもどこにもいないんじゃあ、あいつはもう……」

刹那、僕の瞳に涙が溢れた。止まらなかった。大将は何も言わない。しばらくの間、僕の嗚咽は止まらなかった。

「……息子さん、どうして家出をしちゃったんでしょうねェ」

流れる涙が止まる頃、大将がゆっくりと口を開く。大将は相変わらずこちら見ようとはせず、ただ漠然とおでんの火加減を調節してた。

「どうして、って……」

「息子ってのはねェ、いつまでも息子のままじゃァないんですよ。親はなくとも子は育つ、ってな言葉もありましてね――お客さん、失礼ですけど、息子さんが家出をした理由を考えたりしましたか?」

チンポがどうして消えたのか。どうして――と考え、そこで僕はようやく気が付く。チンポを探すことに必死で、チンポが家出した理由を何一つ考えようとしていなかった自分のことに。

「親子関係ってのは一方的なもんじゃないんですよ。時に助け合い、時に教え合うもんなんですよねェ。それを忘れて、親ってなァ身勝手に息子を育てた気持ちになっちまう。自分だって息子に育てられてるって言うのにねェ……」

思い出す。チンポといた日々のことを。
初めてオナニーをしたあの時、チンポは僕になんて言った?

(やったね、父さん!)

そう、あの時。
僕は決して一人で立ったわけじゃなかった。
初めての時だけじゃない。
オナニーの時、そこにはいつも息子がいたはずだ。

振り返る。チンポと過ごした幾つもの夜のことを。
初体験のあの晩、チンポは僕をどう導いた?

(そこは尿道だよ、父さん!)

だから、あの時。
僕は確実に息子に助けられていた。
初体験の時だけじゃない。
セックスの時、そこにはいつも息子がいたはずだ。

(それなのに俺ときたら――)

荒んだ生活を送っていたな、と思う。無機質なオカズ、インスタントな女優たち。手早くフィニッシュすることばかりに腐心して、いつしかオナニーは義務的な作業になっていた。セックスはもう数年ほどしていない。最後に女性と接したのだって、アレは高円寺のピンサロ ――花びら三回転5000円ポッキリ―― だったはずだ。ナウマン象に激似の女を前に、息子のヤツが精子のような涙を流してたっけ。

だからチンポはきっと。
『SA YO NA RA』の文字だけを残して。

「父親失格だな……」

ため息と共に、情けない声が漏れ出た。今ならよく分かる、決してチンポが家出を"した"んじゃない。僕がチンポに家出をするように仕向けていたのだ。少しずつ、長い時間をかけてゆっくりと、確実に。

「…時に見えなくなっちまうんですよねェ。距離が近けりゃ近いぶんだけ、相手の姿や心がボヤけちまうんだァ。そんな内に父親のことが疎ましくなったのかなァ――いつの間にか、うちの倅も家出しててねェ」

大将はあくまでも淡々と語る。その声はとても平板なもので、過ぎた過去を懐かしむでもなく、悲しむでもなく、ただ率直に言葉を紡いでいた。

「失ってから色んなことに気付いたっけ。情けないもんで、その時まで息子の大切さなんて分からなかったし、知ろうともしてなかった。そりゃあ荒れましたよ。『あれほど大事に育てたのに、どうして!』ってねェ。でもね、しばらくしてから気付いたんです。私は長いこと、自分にチンポが生えていると思っていたけど……チンポに自分が付いてたんじゃないのか、ってねェ」

「チンポに……」

「私らみたいなモンは、結局チンポがなきゃ何もできないんですよ。男かどうかの証明だってできやしない。子供たちに向かって『ホラ、チンコプターだよ!マラマラマラマラ……』ってチンポを振り回す、そんな簡単なことすらねェ。だからそう、忘れちゃいけないよお客さん。自分がチンポにくっ付いているんだ!って。そのことをさァ」

「でもそんな、今さら――」

「もう遅い、って?本当にそれでいいのかなァ。どうすんの、あんたのチンポ?忘れられるの、チンポと過ごしたこれまでの日々?いーや、忘れられないね。あんたがチンポを忘れたフリしても、チンポと過ごしたこれまでの人生はきっとあんたを、そしてチンポのことを忘れない、忘れることなんてできゃしないんだァ。だからホラ・・」

そこまで言うと、大将は初めておでんをかき混ぜる手を止めた。そしてカウンターの上に設置されていたネタケースの中に手を突っ込むと、最高の笑顔と共に僕に向かって――

「今もこいつと一緒なんだァ」

大きい、それでいてどこか懐かしい感じのする己のチンポを誇らしげに示した。それは黒い、本当に黒いチンポだった。

「戻られたんですね」

「今はもうお互い好きにやってますァ。でもたまに、また私ンところにくっ付いてもらったりもしてますよ。『もうそんな歳でもないけど』って、倅は恥ずかしがりますけどねェ……」

大将ははにかんだような笑顔を浮かべる。いい笑顔だ、僕は心からそう思った。同時に嫉妬する気持ちも、少しだけ。だからその時。

「大将はいいですよね。そうやって無事に帰ってきたんですから。所詮他人事、って訳だ」

言うつもりもなかった言葉が口をついて出た。羨ましかった、憎かった、惨めだった。そんな全ての思いが複雑に絡み合って、あんなにも優しくしてくれた大将に向かって最低の言葉を投げかけてしまったのである。

(もう帰ろう)

暗い気分で席を立とうとした時、大将が僕の肩を押し留めた。あまりにも強い力で掴まれたため、僕は目を白黒させて椅子に腰を落とす。

「これも何かの縁だァ、お客さんに紹介しましょう」

「紹介?一体何を?」

「あそこに座ってるお客さんなんだけどねェ……」

大将が親指で店の片隅を指し示す。見るとそこには、一人静かに酒を飲んでいる男が座っていた。

「あの方が、何か」

「あの人はなァ、ここらじゃあ有名な、チンポ師なんだァ」

チンポ師――そう言えばどこかで聞いたことがない。僕は慌てて席を立つと、丁度男もゆっくりとこちらに歩み寄ってくるところだった。

「陳さん、そういう訳だァ。ひとつこちらのお客さんの力になってやってよ」

「お困りのようですね。でも大丈夫、お宅の息子さんはすぐに見つかりますよ。さて、まずはお写真を見せていただけますでしょうか?」

流暢に語る男に圧倒され、僕は思わず携帯電話を取り出して息子の写真を開く。男はディスプレイを眺め、ふむ、と短い一言を発すると、おもむろに穿いていたズボンを脱ぎ始めた。

そこにあったのは――男の股間に植わった、二本のチンポ。

「一体何を・・」

「これが陳さんのダウチングだァ。よーく見ときなよ」

ダウチング――その言葉にどこか聞き覚えがない。戸惑う僕をよそに、陳さんは目を閉じて集中力を高め始める。すると見る見るうちに陳さんの二本のチンポが逞しく漲り始め、怒張し、天を向く。その姿、まさに龍が如く。

そして数分後。
突然カッと目を見開いた陳さんが、重々しい一言を発した。

「……晴海……埠頭……」

「晴海、晴海?!晴海埠頭に僕のチンポがいるんですか!?」

「ええ、間違いないです。僕のチンポは確実にそう言っています」

「ダウチングの信頼度は――」

僕の言葉に陳さんはニヤリと笑うと、確信に満ちた声でこう言った。

「外れる時以外は絶対に当たります」

十分だ――叫んで、僕は駆け出す。気付けば外には雨が降り始めていた。『大将、陳さん、本当にありがとう』、走りながら声には出さずに呟いた。『食……逃げ…ァァ!!』大将のそんな言葉を背中で聞きながら、僕は走る。

・・・

「チンポ……」

降りしきる雨の中、傘もささずに立ち尽くす。

「父、さん……」

そこには確かに、僕のチンポが立っていた。

「ビラッ?ビラビラ?」

見ず知らずのオマンコを脇に従えながら。

「その娘さんは、どちらさんなんだい?」

「父さんには関係のないことだ」

チンポは冷たく言い放った。あの日笑顔で僕と語らったチンポは、そこにはいなかった。僕とチンポ、二人の距離はすぐそばのはずなのに、なんだかもう手の届かない彼方へ行ってしまったように感じられてしまう。

「ビラッ?ビラビラ?」

「心配しないで。さあ、行こう」

「待ってくれ!!」

チンポがオマンコと共に歩き出そうとしたその時、僕はチンポのカリを掴んで引き止めた。ここで別れるわけにはいかない。不意に、大将の言葉が耳朶に蘇る。『どうすんの、あんたのチンポ?』――離したくない!

「そこは敏感だからやめてくれって言っているだろう!あなたはいつもそうだ!!」

強い力でカリから僕の手を振り払うチンポ。そう言えば、こいつはいつもここを攻められるのを嫌がってたっけ。全く、自分はチンポの何を見ていたのだろうか?僕は小さい声で『すまん』とだけ呟くと、再びチンポと対峙する。

「お前はそれでいいのか?」

「……」

「俺と過ごした日々、過ごした場所、過ごした思い出。そいつを全部捨てて、お前はそれでいいってのか?俺は耐えられない!だから頼む……行かないでくれ……」

降り続く雨の音だけが二人の間を支配する。チンポは何も言わない。僕もそれ以上何も言おうとしない。微妙な沈黙が二人を包んだ、その時。

「僕はこの膣(ひと)と幸せになるんだ」

「ビラ……」

見るとそこには、寄り添う一本のチンポと一枚のオマンコ。何かを聞いたわけではない、だけど僕も一人の親だ。二人の関係がどんなものであるのか、それは一瞬で察することができた。夫婦(めおと)。

「だったら皆で一緒に暮らせばいい。なに、稼ぎなら心配しなくたっていいさ。今さらオマンコが増えたところで、全然」

「そうじゃない!そういうことじゃないんだ、父さん。僕は、僕は――ひとりで立ちたいんだ、分かるだろ。それに父さんだって……僕らが夢中になって愛を育む姿を見て、平気でいられるわけないじゃないか……」

重い一言だった。想像してみる。息子と、その脇にいるどこの馬の骨とも知らないオマンコが、毎日イチャついているその姿を。

「……」

「それが答えさ、父さん。だからこれでサヨナラなん――」

「待って!」

その時、突然第三者の声が響き渡る。女の声?僕らは揃って声のする方を向いた。

「京子!?」

そこにいたのは数年前に別れた僕の恋人、京子だった。京子は荒い息をあげて傘も差さずに立ち尽くしている。どうして京子が、ここに。

「オマンコ、探したわ」

「ビ、ビラビラ……」

そう呟くと、オマンコの方へにじり寄る京子。まさか京子も?僕の頭は一気に混乱したが、それはチンポも同じのようであった。

「さあ帰りましょう。また一緒に生活を……」

「ビラーーッ!!」

絶叫が轟く。瞬間、オマンコはその場を駆け出していた。慌てて京子もその後を追う。次いで僕も、そして最後にチンポも。

「待って待ちなさい!オマンコ、ストップ!」

「ビラッ!ビラーー!!」

「京子とオマンコ!そっちは危ない、海だ!」

僕のその声はあまりにも遅すぎた、そして遠すぎた。突如、世界がストップモーションのように動き始める。オマンコの勢いは止まらぬまま海へと飛び出し、そしてその後を追って京子も、また。

―――!!

激しい音を立てて海に落ちていく京子たち。僕はそのまま、何も考えずに海へと飛び込んだ。ただひたすら、京子の無事を祈りながら。

(くッ……!)

僕は決してカナヅチではない。また、海が荒れているわけでもない。しかし、どういうわけか全く上手く泳げないのである。なぜ、と強い疑問を抱いたその時、僕はその理由に気が付いた。

チンポだ。
チンポがないから、舵が取れないんだ。
それはまるで、片翼のツバメのように。

(なんてこった……)

絶望的な思いが胸を包む。俺はこのまま死ぬのだろうか?また息子の笑顔を見ることもなく、京子を助けることもできず、俺は、俺はこのまま――しかし思いとは裏腹に、僕の体はどんどんと深い海へと沈んでいく。

その時だった。僕の体に自由が戻ったのは。
僕は目をこらす。そこには確かに

「……チンポ」

「さあ、行きましょう父さん!!」

チンポが、僕のところに戻っていた。

・・・

「京子、しっかりしろ京子!」

泳力を取り戻した僕は、迅速に京子とそのオマンコを抱えて陸へと戻った。京子は幸い海水を飲んではいなかったようで、すぐに意識を取り戻す。

「――ここは?」

「晴海だよ。さっきと同じさ」

「・・!オマンコ、私のオマンコは?!」

「ここさ」

京子に向かって静かに手を開く。そこには疲れ果てたオマンコが、すうすうと軽い寝息を立てていた。

「良かった……」

「京子、まずは久しぶりと言いたいところだけど……一体何があったんだい?良かったら聞かせてくれよ」

「……」

暗いため表情はよく分からなかったが、京子がどこか喋りづらそうにしているのは確かだった。それでも僕は粘り強く京子の言葉を待つ。しばらくすると、京子はぽつり、ぽつりと自分の身に起きた出来事を喋り始めた。

突然オマンコが家出したこと。
警察に逮捕されかけたこと。
オマンコとの日々を反省したこと。
満さんという女性にダウマングをしてもらい、この場所を探し当てたこと。

そして、今。

「なんてことだ」

話を聞き終えた時、僕はそう言うだけで精一杯だった。数年間音沙汰なかった僕と京子、それなのに何から何まで僕と同じで、そしてここで再会した。

「私が悪かったのよ」

泣きそうな声で京子はそう言った。分かり合えずに京子との別れを決めたあの頃、でも今は、京子の気持ちがよく分かる。その遣る瀬無さも、悲しみも、後悔も絶望も、すべて丸ごと――僕には分かる。

「ビラッ!ビラビラ」

「父さん、感動の再会はそこまでだ。僕らは船の時間がある。だからもうこれで」

「待ちなよ」

僕は去り行こうとするチンポの根元を掴むと、体の近くにグッと引き寄せた。

「お前がそのオマンコさんと生涯を共にするというのならそれでいい。人生は一度きりだ。お前はお前の人生を歩むべきなんだ。だけどそこに俺と……」

そこで言葉を区切ると、僕は黙り込む京子の方を見る。そして。

「あいつが、京子がいれば。誓おう、俺はもう二度とお前の、お前たちのことを不幸にしない。お前と京子とオマンコさんを、絶対に幸せにしてみせるさ」

「父さん……」

「ビラ、ビビラ……」

「……」

いつしか雨は止んでいて、空から丸い月が僕らを見下ろしている。水面に浮かぶその月は波間に在ってきらきらと輝き、穏やかに僕たちの姿を照らしていた。

・・・

「待ってよー!!」

遠くから京子の声が聞こえる。振り向くと、京子は芝生の上を息を切らせて走っていた。僕はその姿を穏やかな心持ちで眺める。

「二人は?」

「ええ、さっき無事に成田に着いたみたい」

あの晴海での日から数ヶ月後、僕と京子は入籍した。チンポとオマンコさんはそのことを羨んでいたみたいだけれど、彼らには籍がないので入籍のしようがない。ただ、そんなことをしなくても二人の愛は変わらずにいることだろう。

「でも、せめて挙式くらいはな」

そう思った僕は、二人にハネムーンをプレゼントした。行き先は微笑みの国、タイ。彼の国ではチンポやオマンコに対する考え方が日本よりも柔らかく、だからきっと二人のことも暖かく迎え入れてくれることだろう。楽しい旅行になるといい、僕はそんなことを思った。

「ねえ、つくしが生えてる」

京子が指し示した先には、春の訪れを物語る植物が逞しく植わっている。その時、僕らの前を幼い子供が駆け抜けた。可愛らしい声を上げて走りまわすその姿を見ていると、思わず僕の目も細くなった。

「二人が帰ってきたら……」

そう言ってニッコリと笑うと、僕の意図することに気付いたのか、京子が顔を赤らめて俯いた。

穏やかな風が吹く。
その風を受けて、チンポによく似た野太いつくしがさらさらと、さらさらと、気持ち良さそうに踊っていた。

(完)

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posted by 肉欲さん at 01:58 | Comment(52) | TrackBack(0) | 日記 このエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
些細なことですが…

「存在し得なんて」→「存在し得ないなんて」
では?
Posted by at 2008年06月06日 02:02
なんでだろう、なんかすごくいい話なきが……しませんwwwwww
こんな夜中にお疲れ様です
Posted by at 2008年06月06日 02:16
クオリティ高すぎだろjk
気づけば惰性でオナヌィしている自分に気づかされました。
Posted by 赤犬 at 2008年06月06日 02:23
注意書きでなんだと思ったら・・・・別に普段通りの日記じゃん
ていうか昔はこういう日記が多かったじゃんw
何を今更w
Posted by   at 2008年06月06日 02:25
肉さんのこういうぶっ飛んだ発想が好きですw
Posted by あきら at 2008年06月06日 02:25
>「さあ、行きましょう父さん!!」
なんか鬼太郎がすごく頭に浮かんでしまったw

卑猥だ・・・と思っていながらもラストで胸がつまった自分を疑います。
Posted by at 2008年06月06日 02:31
あんたってやつぁー…
Posted by at 2008年06月06日 02:41
私の人生の中で、まさかオマンコそれ自体に萌える日がくるなんて想像もしていませんでした。
Posted by さな at 2008年06月06日 03:12
こんな奇妙な物語なのにどこか優しいお話な気がした。

間違いなく洗脳されてますw
Posted by y at 2008年06月06日 03:57
奇才、卑猥、最高だね。
これからも肉欲棒太郎に酔い続けます。
Posted by ヒンシミ at 2008年06月06日 04:13
オナニーマシーンの『家出』っていう曲を思い出しました。
こんな感性の人が世の中に2人もいるなんて。ビクッビクッ
Posted by KTR at 2008年06月06日 05:24
盛大に吹かせていただきましたw

やっぱ肉さんすげぇよw
Posted by メジロ at 2008年06月06日 08:15
すごい文章の才だな、浮かべれなかったのは独立したオマンコのえだけですね
Posted by at 2008年06月06日 08:26
ホラ、チンコプターだよ!マラマラマラマラ…wwwwwwwwwwwwwwww
カオス過ぎるwwwwwwww
肉さん大好きですwwwwwwwwwwwwwwww
Posted by at 2008年06月06日 08:44
ひとり勃ちwwww

今回、大好きだなぁ
Posted by at 2008年06月06日 10:32
これは文○科学省推薦指定図書ですよね。わかります。   
Posted by ぽー at 2008年06月06日 10:53
一回死んだ方が良いな
Posted by at 2008年06月06日 11:34
ダウマングw
一体どんな動きをするのか?
Posted by ユウニィ at 2008年06月06日 11:40
なんでここまで爽やかに下品なんだろうwww
この類いのもの大好きです。
Posted by たえこ at 2008年06月06日 11:49
不覚にもSA YO NA RAで涙腺が緩んだ。
ありありと絵が浮かびました。私も愛娘を大切にします。
Posted by 彩乃 at 2008年06月06日 12:15

「僕、君の栄養になりたい!」
チンコがそう願うから仕方なく俺はイラマチオしてるんDANE!

産声上げてからずっとそう思ってた。
Posted by イラマチオ at 2008年06月06日 14:50
救いようもなく、こんなにも下品なのに……どうして心の汗は止めどなく流れては落ちるの。どうして心が揺れるの><
分かんないよ肉欲さん……。
Posted by 花屋敷 at 2008年06月06日 14:53
「そこは尿道だ」
このセンスw素敵ですw
私の生娘も家出しないよう気をつけますw
Posted by ペ茶 at 2008年06月06日 15:26
なぜあの話題からここまで話を膨らませられるのか不思議です。やはりあなたは下ネタ界の偉人なんだろうね。大好きです
Posted by ヌラリヒョーン at 2008年06月06日 15:40
大好き
Posted by at 2008年06月06日 18:14
『まずチンポがあった』
計らずもキリスト教系学校に入学してしまって三年になる俺…こないだこの元ネタを授業で習ったwww
Posted by 高校生 at 2008年06月06日 19:52
肉さん、今日のネタ久々にキタよww
Posted by   at 2008年06月06日 22:59
何ゆえ不覚にも涙ぐむのだろうか…
さすが、肉さん。
手を叩かずには入られない…
Posted by U at 2008年06月07日 23:22
この話、どこかで聞いた覚えがない。
Posted by HG at 2008年06月08日 07:33
今日、童貞喪失したよ
これからもチンポと仲良くします!
Posted by at 2008年06月08日 09:54
この発想はなかったwww

ビラビラいいすぎですwww


笑いが止まらないww

肉さん、寝不足の日曜日の昼間に笑わせてもらいました。
Posted by K at 2008年06月08日 11:26
おもろかったです
Posted by taneko at 2008年06月08日 17:40
なんぞこれwwww
Posted by at 2008年06月08日 19:44
ムスコの解釈次第で無限の可能性を秘めた作品ですね。

ようやく卒論の題材が決まりました。肉さんありがとうございます。
Posted by 文学部生 at 2008年06月08日 19:58
わーい!
祝!ランキング1位!
チnポに幸あれ!
Posted by 郁 at 2008年06月08日 19:58
作中、チンポは日本語を喋っているのに何故オマンコは人語ですらないんでしょう。
世の娘達を蔑んでいらっしゃるのでしょうか、納得いきません。

うちの娘は5ヶ国語操れます。
Posted by モンスターペアレンツ at 2008年06月08日 20:49
ダウマングで噴いた
Posted by at 2008年06月08日 22:33
うーん、素晴らしいんだが、チンコは普通にしゃべってるのにマンコが「ビラ」しか言わないところがちょっと、正直不愉快だった…
女を軽く見てるような印象を受けた

でも他はよくできてるっていうか上手くまとまっててよかった!

なんだかんだ文句を付けつつ肉欲企画、毎日見ちゃうし。
Posted by らぁ at 2008年06月09日 01:44
オナマシじゃねえかwww
Posted by at 2008年06月09日 07:35
良い話だな、おいw推薦図書にしよう♪
Posted by クーン at 2008年06月09日 14:47
元ネタは、南国アイスホッケー部ですよね?
Posted by at 2008年06月09日 20:45
チンコオマンコはリンクする者としか話せないんじゃね?
Posted by at 2008年06月09日 21:36
ランキング一位おめでとうございます!!!
tんこmんこで一位とか日本オワタ\(^o^)/
Posted by at 2008年06月11日 02:03
聖書への冒涜wwwwww
Posted by humid at 2008年06月12日 00:29
ごめんなさいち○こは形状わかるんですけど、肉と一体化してるもう片方はどんな姿か想像すると気持ち悪いです・・・
Posted by もりこ at 2008年06月12日 03:03
何故か鬼太郎を思い出しました。
Posted by ぽん at 2008年06月12日 10:12
「ゆっくりしていってね」

ここに優しさを感じました。
やっぱり肉さん大好きです
Posted by at 2008年06月13日 14:01
フタナリ次郎はいつ登場するの?
Posted by at 2008年06月13日 21:54
才能の無駄遣いw

肉さんネ申!
Posted by ♂ at 2008年06月17日 23:22
ネ申!!!!!!
Posted by なな at 2008年11月26日 22:26
これは本当にひどい(笑)
Posted by at 2009年06月18日 22:53
最高ですね。涙が出そうでした。
Posted by もう at 2013年03月02日 20:38
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