先日の日記でムードとロマンの違いについて僕なりの見解を書き殴ったのですが、やはり一般的に女性の方がムードを愛でる、という傾向はあると思います。
ただ、それは絶対的なもんなんかじゃなく、僕もエクスキューズを付しているように『一般的』な話なのであり、かつ『傾向』でしかない。女の人にだってロマンを追い求める人はたくさんいるし、男にだってムードを好む人もいる。あるいは、両方好きな人だって。
性差、というものは確かに存在するでしょう。それはあくまでも差別ではなく区別のレベルだし、やはり男と女というものには異同があるもんです。でも
『100%ここが違う!』
というのは結局のところ生物学的な部分、たとえば喉仏があるかとか、月のものが来るとか……そのくらいのことでしょう。そしてそれとは別の、"社会的な行動パターン"というのはあくまで『傾向』でしか語れないわけです。当たり前なんだけど。
でもその『当たり前』のことが、若いうちには見えにくい。ともすれば、歳をとっても見えにくい。若いうちは見識が狭いから見えにくくなるし、また見識が狭いまま歳をとってしまえば、その価値観が凝り固まってしまい修正がきかなくなる。よって、歳をとってからも『当たり前のこと』が当たり前じゃなくなる瞬間が訪れてしまう。自分の有する価値観、経験則、あるいは常識めいたものが、この世の全てであるように感じられてしまう。
そのことは色んな状況に敷衍して語ることができるとは思いますが、ことに『男女論』に関してはその『当たり前が通じない状態』が生じやすいのではないでしょうか。
「男ってさー、すぐに中で出すよね!絶対!」
この人の場合、『男=100%中で出す』という妄念が心にあります。ただそれは、あくまでもこの方が出会った人がそうなのであって、男の立場から言わせてもらえば『100%』だなんてことは有り得ません。もしかしたらそういう傾向は存するのかもしれませんが、『男⇒中出し』という条件関係は否定しなければならないでしょう。
「女って絶対会計払わないよなー!」
同じく、これにしてもこの人が出会った女性が『総じて』会計を支払わなかっただけのことであり、全ての女性が会計を払わないことなんて有り得ないのは明白です。一般論としては成り立つかもしれませんが、『絶対』ではない。もしかしたら、両者とも本心では『絶対』だなんて思っていないのかもしれませんが、個人的な意見としては人前で『絶対』という副詞を用いるのは得策ではないと思います。絶対〜を連呼する人は、大抵周りの人に侮られがちです。
ただ、それでも。若い我々は、未だ経験の浅き日に『ああ、女って総じてこうなんだ!』などと妄信してしまう場合があります。それはある意味で無知蒙昧であった頃の悲劇でもあり、他人からすれば喜劇とも言えるのかも知れません。
あれは僕が19歳の頃だったか……と、この枕で始めることの多いこと至極な感じなんですが、振り返ってみれば僕が19歳の頃はマジでアンビリーバブルな出来事が続出していたので仕方がない。それはそれとして、とにかく19歳の頃。
当時付き合っていた方というのが、それはもう大層なぬいぐるみ好きで、部屋のいたるところにぬいぐるみ。トイレにもぬいぐるみ。冷蔵庫の脇にもぬいぐるみ。挙句の果てには風呂場にもぬいぐるみ……と、まるで『狂気!ぬいぐるみの館』みたいなクレジットが付きそうなほどのぬいぐるみ魔だったのですが、ある日僕が彼女の家に行った時のこと。
彼女の机の脇には従前から熊のプー、という無職の完全体みたいな獣が鎮座ましましていた。それ(=プー)自体は彼女部屋に赴いた当初から『そうあるもの』として存在していたため、僕は別段何の感慨もなくその日まで彼のことを受け入れていた。
ただこの日、その脇に新しく『ピグレット』というピンクのマテリアルが電撃参戦しているのに気付く。僕は何の気なしにそのピンクのモノに近づくと、ヒョイと手をとって曰く。
「豚おるやーん」
何も考えずに発した一言だった。軽い、本当に軽いトーンだったと思う。当時、まだそのピンクが『ピグレット』だなんてキュートな名前を付されていることを知らなかった僕は、生物学的に考えてダイレクトな『豚』という呼称を用いた――したところ、その脇から彼女が暴雨よりも荒々しく、そして光よりも迅速に、僕の手からピグレット――豚と呼ばれたピンク――を奪い去る。すわ何事?!突然のことに困惑した僕は、ビックリして彼女の方を見た。
「豚とか……豚とか言わんとって!!」
ものすごい怒気を孕んだ声だった。僕は半ば呆けながら、それでも何とか口を開く。
「だ、だって豚やん……豚そのものやん……」
「ちがう!この子はな……この子は……○○ちゃんやねん……名前で呼んであげて!」
つまるところ、彼(あるいは彼女)は一般的な『豚』ではなく、れっきとした名前があったらしい。そして、それを無視した上で僕が安易に『豚』呼ばわりしたことに大層ご立腹だったのである。それでも釈然としなかった僕は、その後も彼女に
「よく考えて見ろよ、だってそれ豚だぜ?ホラ、ここに尻尾も」
などと論を尽くして彼女を落ち着けようとしたのだけれど、その甲斐もなく逆に彼女はフルスパーク。彼女にとってその名前がいかに大切なのか、思い入れがあるのかなどを懇々と語られ、さらにそれまで僕にとっては『ただのぬいぐるみ』でしかなかった全ての奴らに、それぞれ名前があったことも判明。それら全ての名前までも猛レクチャーされる結果となった。
聞きながら、僕は思い出す。そういえば俺が7歳の頃、クリスマスプレゼントでサンタのぬいぐるみを貰ったことがあったっけ。当時、ゲームギア(ゲーム機。定価4万円くらい)を欲しがっていた僕は、朝起きてそのサンタを見た瞬間『舐めちょる!!(≒舐めてやがる)』と叫びながら床に叩き付けたな……結果、アイツの名前は『ナメちゃん』になったんだっけ……と、そんな追憶。突然、頭の中に。
結果として何が起きたか。その件の後、僕の精神世界ではこんな憲法が出来上がった。
『若い女の子の所持するぬいぐるみには、全て名前がある』
OH...ジャパニーズクレイジー...と思われるかもしれないが、当時の僕はこれを『100%』の事実だと信じ込んでいた。そして疑うこともなかった。だからその後、彼女が新しいぬいぐるみを買ってくれば『オッ!そのぬいぐるみ何て名前なの?』と、まるで居酒屋の暖簾をくぐりながら『オッ!やってる?』(ヘイ!)みたいにフランクな調子で聞いたし、また彼女も『うん、これは〜』と返したものだった。そんなもんだから、僕の確信は増々強くなっていく。19歳の頃であった。
ただ、人はいつか別れる。それは僕だって例外ではいられなくて、だからいつしか僕はその人と別れてしまい、そして新しい彼女と出会った。20歳の頃である。
初めて彼女のお宅を訪問。緊張が高まる。キレイに整頓された部屋、真新しい寝具の香り。それら全部が何だか気詰まりで、二人の間に微妙な沈黙が流れる。
(何か、会話の端緒は!)
そう思って部屋を見渡した僕、その目に飛び込んできたのは――カエルのぬいぐるみだった。キタコレ!僕は心でガッツポーズ。理解のある彼氏、というところをアピールしよう。そう思った僕は、得意気な顔をして、曰く。
「へぇー、カエルねえ。で、この子の名前はなんなの?^^」
決まった。彼女が僕の右ストレートを受け、軽やかにリングに沈んでいく光景が頭に浮かぶ。何も足さない、何も引かない。そんなニヒルな僕の語り口。そしてそれを受けて、彼女は曰く。
「は?名前とかないし」
非常に平坦な声だった、とお伝えしておきたい。サブタイトルは『シャロンストーン 氷の微笑』。凍えてた、僕の心が。凍えてた、彼女の表情が。シン、と静まり返る部屋。それでも何とか平静を保った僕は、もう一度言葉を紡ぐ。
「いやいや、あるでしょ^^名前とかホントは^^」
「何言ってんの…?」
大変に抑揚のない声だった、と記しておきたい。サブタイトルは『シャロンストーン 氷の微笑 アンレイテッド・エディション』。ここで僕はようやく気付く。永遠は、何処にもない――彫りの深い人の言うことは、やはりいつでも正しいのである。
否、永遠ではなく、絶対。多言を要するまでもないが、僕は非常に狭い世界の中で絶対、すなわち
『女の人は絶対ぬいぐるみに名前付けるよね』
みたいなことを確信していた。けれど、絶対なんて絶対ない。そのことを、あの時の僕には理解できなかったのである。そして起きてしまった、悲惨な事故。まあそんなに深刻でもなかったけど。ただ、とんでもないピエロを演じる結果になってしまったことだけは確かなことである。
「いやいや、そんなバカなことは絶対しないしw」
そう思ったあなた、本当に?1%の例外もなく?あなたの言う『絶対』は本当に絶対なのでしょうか。もう一度よく考えて、全ての事故は油断と慢心から起こるのだから。
『自分だけは!』
『ウチの子に限って!』
本当にキレイな死亡フラグ。誰かが言いました、"有り得ない、なんてことは有り得ない"――だから、どうか僕の経験を対岸の火事と思わず、誰にでも訪れ得ることなのだと思って警戒していただければ……それが何よりのこと。
皆さんにおかれましても、『絶対』という言葉の孕む魔力にゆめゆめ惑わされることなきように。
ところで本件とは全然関係ないんですが、カワイイ子が来るよ!っていう合コンってカワイイ子こないよな。絶対に。あと、ブログとかで『リア充憎いです><』とか言ってるヤツは、そいつ自身が割とリア充だったりするよね、絶対。もしくは、自称天然って絶対ただのキチガイか、もの凄く腹黒い人でしかなかったりするよね。絶対そう。絶対に、そう。
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でも同感、リア充死ねば良いのに><!
体型はプーだった
と叫んだリトル肉欲最高wwwwww
もう絶対そうですよね!?
俺も絶対そうだと思います。
言った後に言葉の違和感に気持ち悪くなるんですけど、この便利な言葉はやめられません。
という自分の中の偏見を崩せるように頑張ってます
手前ェだけぢゃね?って思う。
男性は絶対縞パン好きなんですよね^^
肉欲企画。がランキング一位だ^^
「えー、ふつう、そーでしょ」とか。
とか言ってくれやがった方々に肉さんの言葉を聞かせたいです。
そう思っていた時期もありました
セルフフェラチオはエコ。
だってティッシュを使わないんだぜ。
エコブームの真っ只中だもの。絶対流行る。
女子が言う「今日ね絶対、絶対に中に出しちゃダメだよ!」の絶対も絶対じゃないんですよね、わかります。
16の時に衝撃をうけました
それは、ある。
今でもしっかりその名前で呼んでる。
最近「絶対」の後に「的」をつける人がいます。俺の周りだけかもしれませんが。
「これ風呂で使うもんだって〜絶対的に。」
日本語おかしいですよね?
雰囲気で「的」つけてるだけですよね?
いらいらしません?絶対的に。