「僕たちは生まれてから死ぬまで、ずっと一人なんだ!」
――なんてことを突然に、そして情熱的に語ってしまえば、きっと周囲の方から
「ああ、この人は青春ノイローゼ状態なのね」
という趣旨の視線を向けられるだろう。皆さんも是非注意して欲しい。
ただ、『人はずっと一人だ』という意見、それは強ち間違いともいえない。もちろん僕たちは家族や友人、あるいや恋人などと共に過ごすことができる。が、長いスパンで人生を見れば、一人で居なければならない時間の方が相対的に多い。僕たちは『ずっと一人』とまではいかないまでも、『割と一人』なものである。
一人で過ごす時間は非常に退屈だ。それは我々を取り巻く環境が、価値観が、社会の全てが、往々にして"一人で過ごせる"ようには作られていないからだ。ご家族で!恋人と一緒に!サークルの仲間と!職場の方々と!……そんな惹句、日常のそこかしこで頻繁に見受けられる。
なるべくなら誰かと過ごしていたい!おそらく多くの人はそんな風に思っていることだろう。だが、一人で過ごさなければならない時間が必然的に訪れるものだとすれば――その時、僕たちはどうするべきなのであろうか。誰かといたいのに誰もいない、そんな状況だ。
盲目的に『一人なんて嫌だよ……苦しいよ……』と嘆き続けることも一つの手ではある。が、そんなのはあまりにも心に体に不衛生な感じなので、オススメはできない。それよりも
"どうすれば一人の時間をより楽しく過ごすことができるか?"
こう考えることが発展的な姿勢ではないだろうか。
丁度一年ほど前、それと類似した考え方を一つの日記にしたためた。
『一人』で行動することについて考える
詳細は読んでいただければ分かるので割愛するが、掻い摘んで文意を記せば『どうせ店員も他の客も自分なんかに興味ないんだから、一人で焼肉くらい余裕でした』という心温まる随想だ。
ただ、あの時は意図的に記述を省いたのだけれど、正直に言って誰しもが焼肉屋に赴ける財力があるわけじゃない。あるいはそもそも焼肉屋まで行くのが面倒、もっと言えば『息を吸うのも面倒だぁー!』という
「ホーラ、一人でも行ける場所なんて沢山あるじゃないか!」
みたいなことを語ってもまるで的外れ。そもそも外に出たくねーんだよ!前提が成り立たねーんだよ!というシャウトが即座に飛んできかねない。
でもご安心下さい。大丈夫、僕も生きていると割かしそういうマインドになる日が多いっていうか、年がら年中"あの日"ですから。「どの日?」と言われれば、そこはもう「多い…日……///」と答える他ないし、そこはもう察してよ男子…!(サイテイ…!)
近年稀なレベルのキモを以て一見さんの排除に成功したので、そろそろ主題へ。今日は『マジで家に一人でいる時にも楽しいアレコレ』というプレイスタイルについて熟考してみたい。ただ、僕も視野の狭い人間ですので、いきおい『僕の場合ならどうしているか』的な視点からしか語ることができません。それでも参考になれば、誠に重畳。
■無目的にインターネットを徘徊する
出た!大本命!と、思わず膝を打った方もいるかと思うのですが、コレね。ダメだよ。ホント、まるでなっちゃいない。
確かに僕は『一人で過ごす時間』について検討しており、その意味でいえば無限の情報を提示してくれるインターネットというのは垂涎の存在だ。ニュースサイトにいけば様々なニュースが、動画サイトにいけば夥しい数の動画が、wikipediaにいけば玉石混淆の洪水のような知識が、そこに待っている。それらをぽつねんと眺めていれば、おそらく時間それ自体は消費できるだろう。
しかし、である。それが本当に楽しいのかどうか、これはまた別次元の問題だ。なるべくなら『楽しく!』『ステキに!』一人の時間を過ごしたいところ、インターネットを"無目的に"巡回する行為、こいつは少々いただけない。
なぜか?理由は一つで、僕も意図して"無目的に"と書いた通り、それが行為の性質として極めて受動的なものでしかないからだ。たとえばインターネットを開いてYahoo!Japanのトップページを見る。ニューストピックに目を遣ると
『リトルマロン旬さん、中出し?!漂う栗の香り』
みたいな狂った文言が踊っていたとしよう(ご本人の名誉に配慮して、一部仮名でお届けしています)。あなたは『へえ、オグリッシュがねえ……』といった風情でリンク先をクリックする。そしてその先のページで様々なことを知ることになるだろう。
それではいけない!いや、別にいいんだけどさ、なんつーかその……確かにあなたはスモールマロン・旬さんの様々な情報を得ることはできるだろうけれど、それはあくまでも偶発的な出来事だ。メディアが恣意的に垂れ流す限られた情報の中から、何となく選んだ情報がそれだっただけのことである。ある側面から見れば"自分の判断でそのページにたどり着いた"とも言えるものの、別の面から見れば"それしかなかったから、何となくでそこにたどり着いた"とも表すことができる。
結果としてその情報がものすごく有益となることもある。しかし、そんな風にしてマス(大衆・大量)に踊らされ、体勢に飲み込まれ、人混みに流されて変わっていく私をあなたは時々上手に叱って・・欲しいんだろう?!罵られたいんだろう?大丈夫、僕にはしっかり分かっている。
『そんなことないもん!Yahoo!Japanのニュースを見ているのだって、すごく楽しいし自分で選んだことだもん!流されてないもん!』
というおしゃまなキュートガールからの声も聞こえてきそうだ。でも、皆だって一度くらいは確認したことがあるだろう。そう……大学のレポート課題のために『邪馬台国』の情報をインターネットで検索していたら……いつの間にかwikipediaでトムソンガゼルの情報を黙々と収集していた自分の姿を。そしていつの間にか(ピーッ!)組三代目組長の出自についての項目を読み耽り、気付いた時には窓の外はすっかり暗闇。そしてあなたは
『なぜオレは、あんな無駄な時間を……』
と、三井寿の心になって己の行動を悔やむのだ。つまるところ、これが無目的にインターネットを徘徊する行為の背後に潜む闇なのである。踊っているつもりが、踊らされていた!そんな歯がゆい、でも誰しもが陥ってしまう、冥府魔道。

(トムソンガゼルが悪い、という話ではないが……)
能動的にいこう。踊らされるのではなく、激しく踊ってやろう!一人で過ごす時間を考える時、忘れてはならないマインドがそれだ。僕は何もインターネットを徘徊することが悪い、と言っているワケじゃない。けれど、あまりにも多くの情報を提示された場合、人間は却って堕落する傾向にあるのも確かだ。何してもいいよ!と言われること、それは即ち、何をしたらいいか分かんないよ!という皮肉な懊悩にも繋がりかねない。
「今日、何が食べたい?」
「なんでもいいよ、別に」
恋人からこんなことを言われ、思わず彼女の頚椎をヘシ折りたい気持ちになった男性諸君!いるでしょ、この中にも。果てしなく自由であること、そして際限なく無目的であること、というのはそれだけ怖いことなのだ。扱いには気をつけなくてはならない。
制約というと堅苦しく聞こえてきそうだが、ある種の楽しさを追求するためには己を不自由な状況に叩き込むことがむしろ必要な場合もある。そして一人で過ごす場合――自らをそのような窮地に追い込んだ方が、却って能動的かつ刺激的なタイムを過ごせることも、ある。
■明るい家族計画
まず僕の場合であるが、非常に心がブルーな時で、なおかつ一人で過ごさなければならない状況。そんな時、僕は不動産屋に赴く。別に不動産屋に行かなくてもいい。手元に物件情報があるのであれば、とりあえずそれでいい。
それらの情報を前に早速シンキングタイム。テーマはズバリ『どの部屋に住むか』だ。もちろん実際に引越しをする必要はない。あくまでも「もし、今自分が引っ越すなら……」という思考ゲームでしかない。ただ、これが中々楽しいのである。
家賃、立地、築年数、間取り、敷金礼金――物件情報を前にして、僕らが検討しなければならない項目は限りない。僕の場合でいえば、まず最も低額な家賃の物件から検討し始める。家賃1万円、とかそういうの。大体そういう物件は風呂なし、トイレなし、ついでにベランダもなし、という三重苦タイプであることが専らなので、僕はその物件を見ながら『こんなとこに住めるか!』と行き場のない怒りを叫ぶ。そして逆算的に『今、風呂もトイレもある生活を営んでいる自分は、何と幸せなんだろう!』とビーハッピーな精神状態に。怒りと喜びを同時に味わう、という寸法だ。無論、タダである。
次は最も高額な家賃を誇る物件に目をやる。風呂あり、トイレあり、ベランダありで管理人も常駐、もちろんオートロックでフロアは総大理石!そして気になるお値段は、なんと月々28万円!僕はその物件を見ながら『こんなとこ住めるか!』と、再び行き場のない憤りをサクレツさせる。そして逆算的に『いつか、あいつらのところまで……!』とビーアンビシャスな精神状態に。憤怒と向上心を同時に得る、という算段だ。無論、タダである。
また、間取りだけに注視するやり方もある。僕はエアー妻とエアー息子、そしてエアーシベリアンハスキーを傍らに引きつれ、エアー会話でこう語る。
「うーん、この間取りじゃあ……二人目ができた時になあ?母さん(笑)」
エアー団欒の中、エアー爆笑が響き渡る。エアーポチもエアー遠吼えをカマし、僕はエアー説教をしつつエアー……やめるが、つまり想像は無限だ!ということである。そしてこれこそが能動的だ、ということでもある。また、別の角度の楽しみ方としては、あまりにも高い敷金礼金に憤り、『おい、敷金返せよ!!』とエアー大家に対してエアー訴訟を提起する……というのも心がワクワクしてくる案件だ。楽しみ方は、本当に様々なのである。人生って深い。
■三都物語
次に僕の場合であるが、何だかやるせない気持ちで、とにかくどこかに行きたい!みたいな心になった、そんな時。僕は旅行のパンフレットを用意する。ない場合は別に『じゃらん』などの旅サイトでも構わない。情報があればそれでいい。
様々な情報を前に、早速シンキングタイム。どこに行こうか――想像の中で、僕は果てしなく自由だ。登戸、いいかもしれない。佐渡島?悪くないね。金沢文庫か……それもまた良し。しかし今回は・・
「そうだ、秋田に行こう」
あたりをつけた僕は、秋田での滞在プランを練り始める。といっても、改めて秋田を調べることは面倒なので、自分の中に僅かながら存在する秋田の情報、それをかき集めて構築するのみ。たぶん、おそろしく歪な形での滞在日程が組み立てられることだろう。が、本当に行くわけではないのでそれでも僕は構わない。
・秋田美人
・きりたんぽ
脳内のCPUをフル動員して得られた結果がこれだ。この二つのみで秋田の全行程を練り上げるのは骨の折れる作業だが、それはそれで旅の醍醐味である。雪深い町……トレンチコートの襟を立てながら、僕は鈍行の電車を降りる。当て所なく街を彷徨った僕は、そのまま昔からある小料理屋へ入るだろう。
「おいでやす」
のれんをくぐると女将の声がした。肌の調子は若くみえるが、ひどく落ち着いた雰囲気を漂わせている。おそらく未亡人、そんなことを思った僕は言葉少なげにカウンターに座ると、おもむろに口を開いた。
「きりたんぽを……」
もくもくと湯気を立てながら姿を現すきりたんぽ。すぐにそれには手をつけず、茫漠と湯気を目で追いながら、ぬるくなった日本酒をちびりと舐める。そしてようやく箸を持ち上げ、未だ湯気治まらぬ鍋の中に箸を突っ込み、自慢である比内地鶏の身を摘みあげ、頬張るのであった。美味しい――。
とまあ、その後は女将とよろしくやったり、引き止める女将を振りほどいて青森に向かったり、と様々な旅行日程になるのですが、長くなるので割愛。ちなみに『おいでやすは京都の言葉でしょ?』とか『それ、酒飲みに行ってるだけじゃないの?秋田じゃなくてもいいんじゃないの』ないし『つーか三都じゃないですよね』なんていう無粋な意見は全部無視します。僕のことは放っておいて下さい。
■夜に輝き 夜に翔び
最後に僕の場合なんですが、一人で過ごさなきゃいけなくて、それでもどうしても心がモヤモヤする、そんな時。僕は様々な風俗情報誌をコンビニで探します。別に雑誌じゃなくてもいいです。情報があれば、それでいいです。
様々な情報を前に、早速シンキングタイム。どこに行こうか――想像の中で、僕は果てしなく自由だ。ヘルス、マットプレイ、おさわりパブにトルコ風呂!脳髄がクラクラしそうになる単語を前に、早くも僕の思考回路はショート寸前、今すぐ会いたいムーンライト状態。ただ、純情ではないのだけれども……。
こういう時、僕はまず『オプション』の項目から検討する。オプション、というのは、基本料金に上乗せした金額を支払い、より高みを目指してフライハイ!なプレイのことである。分からない人はご両親に聞いてみるといいが、掻い摘んで説明すると泌尿器科・肛門科のドクターが激怒しそうなプレイが主だ。もちろん僕にそっち方面の興味はないが、あくまでも思考ゲームなのでワクワクしながら想像する。
このマリという子は……決して悪くはないんだが、ちょっと乳がけしからんな……翻ってこのクリスという子、明らかに年齢を誤魔化してやがるぜ……ここは"敢えて"人妻という手も……いや、オレはそんな自分を誇れるのか?将来生まれる息子に誇れるのだろうか……そう考えると、この『おパンツ女学院』というネーミングもスリリングで捨て難いものが……しかし……しかし……!
立ち読みしながら、脳内はまさにヘヴン状態。ラガーが目指してはいけない花園にダイブ・イン!である。ただこの場合、あまりにも雑誌に没頭し過ぎた結果、背中がお留守になるような事態は避けたい。プレイに対して一人激しく懊悩するあなたの姿を近所のおばさんに見られてしまえば、それは人生レベルのフィニッシュを迎えざるを得ない結果になるからだ。鉄火場に身を置いている自分を自覚すべきだろう。冷静と情熱の間、だから活路はそこにしかない。
多言を要することではないが、いくら興奮が高まったからといって実際にプレイに臨むことは、ならない。結局こういうのは、ひたすら" if "を楽しむのがミソなのである。現実に店に行ったりすると、次回から" if "を楽しめなくなる可能性が高い。
たとえば別の日、雑誌に目を落としたあなたは、こんなことをふと思う。
「そういえばこの店、サービス最悪だったよな……」
ネガティブな思いは宿便のように残り、楽しかったはずの想像タイムはたちどころにしぼんで行く。B'zの『ヒミツな二人』という曲の中に
♪知ってしまった途端に飽きるんだとさ
という一節があるが、知らない方が楽しい世界もある。それは他の想像にしてもそうで、僕は秋田を知らないからこそ空想の秋田を無限に楽しめるのだし、また部屋の間取りにしてもそうだろう。ま、旅行や物件はそう簡単に実行に移せないんだけど。風俗の場合はそうではないのでご注意願いたい。
ということで、いかがだっただろうか。一人の時間というのは何かと退屈で、つまらなくて、もの寂しいものだ。けど、見方を変えればこんなにも楽しく過ごせるのである。少なくとも僕の場合は、であるが。その他にも
『出前のメニューを激しく検討する』
『スーパーを廻って一番高価な味噌を見つける』
『ホームセンターに赴いて紙ヤスリの目の荒さを比較する』
など、具体例を挙げればキリがない。要は何でもいいのであるが、本当にちょっとしたことでも『興味を持って能動的に選んだ、想像した!』という部分があれば、一人で過ごす時間も以外と悪くないもんである。
ただ、振り返って考えた時の虚無感ときたら、これは半端ない。何も残らない分、wikipediaを回っていた時とは比べ物にならないくらい死にたくなること請け合いである。皆さんも気を付けて欲しいっていうか、TOEICの勉強でもしてなさいって。いい大人なんだから。
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はい。
【肉欲より】
有益な情報thxです!慌てて記事を修正することにします。
なんもねーww
・・・・よね?
45000HIT、おめでとうございます
旅先や出先において、これで妄想するのも良いですよね。
あわわわその顔面偏差値は…なお店や地域から、思わず勝手に過去を思い描いてしまうようなホストやフードル達、ママさんに心奪われてしまいます。
孤独のグルメならぬ、孤独の風俗
世相も見える様な気がして一石二鳥。
何もすることがありません。
あと脳内マンションの脳内模様替えとか。
楽しいです。
菊に寄り添う雑草のたくましさに想いを馳せます