※ただの日記です
今日スーパーに買い物に向かうと、珍妙な光景にでくわした。
僕がケッタマシーン(≒チャリ)を駐輪場に止めると、遠くの方で怒号が聞こえてきたのだ。
(画像はイメージです)
そこには取っ組み合いをする中年の男女、そしてその近くに二人とはかなり年齢の離れた若い男性がいた。
(ケンカだ!)
僕は優秀なシックスセンスで事態の全貌を鋭く察知。不謹慎ながらも、胸のムネ部分がとてもワクワクした。
激しくファイトする二人の姿を遠巻きに眺める。彼らが何を話しているのかはよく聞こえなかったが、取り急ぎ『ものすごいケンカをしている』ということだけは如実に伝わってきた。春まっさかりな今日この頃である。
(画像はイメージです)
中年の女性は、ガキの使いに出てくるキスおばちゃんによく似ていた。気がした。かなりハイなテンションでオッサンに掴みかかっている。MDMAでも飲んでいるのだろうか?まるで野に放たれたビッグフットのような勢いで怒鳴り散らしていた。
(画像はイメージです)
対して、オッサンのボルテージもクライマックス。オバサンに負けじと怒号を上げる。近くでは、僕のみならず他の人たちも固唾を飲んでその様子を見守っていた。それに気付いているのかどうかは分からないが、二人の押し問答は止まることなく続いていく。果たしてどうなる?!この勝負。
(画像はイメージです)
もちろんその脇には、二人のバトルを穏やかな様子で止めようとしている人物がしっかりとステイ。先ほどから僕の注目度ナンバー・1である謎の青年のことだ。その彼、たぶん二人に比べると二回りくらい年齢が離れている。誰なんだあの青年は。戸惑う青年の表情が、僕の心を鷲づかみにするのを感じる。
(画像はイメージではありません)
立っているのに疲れた僕は、ベンチに腰掛けてじっくりと二人の織り成すバーリトゥードゥを眺めることにした。押しては引き、引いては押しの好カード。一進一退!どちらも全く譲ろうとはしない。二人のバトルはいつしか膠着状態、仕方なく僕はタバコを取り出し火を点けた。すると、その刹那。
(ガッシ!)(画像はイメージです!)
突如、組み合っていたオジサン(安部譲二似)が右ストレートをサクレツさせる。これは最早傷害事件だ!僕の中のジャスティスが激しく吼える。だが、その3秒後。
(ボカ!)(画像はイメージです!)
勢いよく殴り返したのは、永遠のライバル力石!ではなく、激しいパーマの掛かったあのオバサンだった。ウーマン・リブ。僕の心にそんな単語が踊り狂う。しかし、こうまでなってしまってはもう傍観しているわけにはいかない。現場で起きてるんだ!胸の中に住む織田裕二が『サンバディ・トゥナイ』を歌い始めた。僕はベンチから重い腰を上げ、ゆっくりと足を踏み出す。そして!
(画像はイメージです)
公衆電話にて、迅速に110番通報。なに、市民としての義務です。そういえば4年前にも通報したことがあったな…なんてことを考えながら、粛々と警察からの問いかけに答える僕。
「どうされました?」
「男女が暴れておりまして。ええ」
「どういう感じですか?」
「そうですねー、打つも打ったり、投げも投げたりと言いますか」
「なるほど。では二人がケンカをしていると?」
「いえ、若い男性も一人いますねぇ」
「了解です。では、あなたのお名前をお伺いしたいのですが」
「○○です」
「下の名前は?」
「××です」
「どうもありがとうございます」
僕は再びベンチに腰を下ろすと、またも悠然とファイナルファイトの様子を眺めた。二人は相変わらず取っ組み合っているものの、すぐそばの若い兄ちゃんは静かにその模様を眺めているのみ。あの人は一体何をしているのだろうか?というか、三人の関係性は、一体?
3分後。警察官が徒歩で現れた。実に早い初動だったと言わなければならない。3年前のあの日は通報してからパトカーが到着するまで優に15分は掛かったものだ。僕は万感の思いでその様子を眺める。
(画像はイメージではありません)
少しだけ近付くと、事件の全貌が少しだけ露になる。オバサンはいつの間にか地面にへたり込み、オジサンは唾を飛ばしながら警察に何やらシャウトしている。謎の若い兄ちゃんは警察からの事情聴取(と思しき質問)を受けており、僕は日本の治安が守られたことに安堵の溜め息をつきながら、やっとスーパーへと買い物に向かったのであった。
それにしても、あの三人は一体どういう関係だったのだろうか?ヤクザとそのイロ(情婦)、そして間男?いやしかし、あのオバサンと(夜的な意味で)一戦を交えるのは相当な胆力を要するに違いない。痴情のもつれというのはどうにも……あるいは教育方針を巡っての争いとか、そういうことなのだろうか?真相は闇から闇だ。
色んなことを考えながら、僕はスーパーで切り干し大根とキュウリを買う。買い物を終えて外に出ると、辺りはすっかり夕闇に包まれていた。
拳で語り合っていた二人の姿はもうどこにもなくて。
見上げると、ただ葉桜だけが静かに微笑んでいた。
そして僕のチャリの後輪は、どう見てもパンク。
タイヤの表面に刺さった画鋲が強烈な自己主張を僕にカマす。
なぜか前輪は無事だった。
実話である。
ついでに、サドルもなくなっていた。
実話である。
僕は帰路、ずっと立ち漕ぎで帰った。
実話である。
全て、今日という春の日に起こった、真実のストーリだ。
■私信
できればサドルを返して下さい。
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腹筋がやばすw
あ、チャリ御愁傷様です。キュウリとかさしこんだらいいと思われます。
ケッタ=チャリ
ケッタマシーン=原チャ
最高にムカつく顔をしてるなぁ…
人の感情を揺らす絵を描けるのが
心底羨ましい
サドルにはブロッコリー的な物をさしておくといいと思います
こういう日記好きだww
サドル取っちゃいました∩(^ω^)
なんという、マキバオーな回。
オレのサドルをかえせ〜
素敵です!!笑