今日キャンパス内を闊歩していると、10代後半ないし20代前半そのものといったルックスの男女が環状になりつつ、その手を天空に向かって突き上げていた。僕はその光景をじっと見つめながら2秒考え、彼らはきっとチャネリング部に相違ない、という結論を叩き出した。春である。あれはきっと、チャネ部の新入生勧誘活動だったのだと思う。
※チャネリング…常識的な通信手段では情報をやりとりできないような相手(何か高次の存在、神など)から、特別な能力によって情報を交信すること
一定の例外はあるにせよ、基本的に人というものは集団を組成して生活を営む。一番大きな枠組みとしては『社会』というものが考えられるけれど、それ以外にも大小様々な性質の集団が存在している。それはたとえば『家族』であったり『職場』であったり『学校』であったり。
大学のサークルなんかも集団のひとつだ。世の中には様々な趣味・嗜好の人が存在しており、たとえばテニスが好きな人たちが集団をなせばテニスサークル、音楽が好きな人であれば軽音楽部、落語に興味のある人が集まれば落語研究会…と、具体例を出せば枚挙に暇がない。サークル、部、研究会、と集団を形容する名詞は場合によって異なるが、内実に関してそれほどの差異はない。
チャネリング部。実際に僕が目撃した人たちがチャネ部だったかどうかは判然としないが、ここは乱暴に『彼らはチャネ部だった!』という前提を維持しつつ話を続けたい。再三になるが、世の中に色んな価値観が存在する以上そのようにしてチャネ部が存在しない、と決め付けることはできないのだ。
さて、皆さんにおかれましてはこの『チャネリング部』という文言を見てどのような感想を抱かれただろうか。勝手に推察させていただくが、おそらく皆さんは内心において『何だか暗そう』『相当電波入ってんな』『ケミカル系のドラッグが主食っぽい』『きてます、きてます』みたいなことを思ったのではあるまいか?そして同時に、こんなことも。
「大学生活楽しむんなら、やっぱテニサーとかでしょ!チャネリングとか……青春の浪費じゃね?」
抜けるような青空の下、学校のテニスコートで黄色い球を追っかけながら、華々しくテニス!飛び交うボレー、そしてスマッシュ!リターンエース、サービスエース、ノータッチエースが激しく交錯する!試合が終わればシェイクハンド&ハグ、弾け飛ぶようなスマイル。週に一度は皆で飲み会、夏は合宿冬はスキー、嗚呼揺ぎ無い青春の日々よ――そんな煌びやかな、青写真。きっと夢見ることだろう。サブタイトルは『一球入魂 〜戻らない日々〜』でキメだ。
対して、チャネリング部。暗い部室の中、煌々と光る一本の蝋燭!それを車座になって取り囲む虚ろな目をした部員たち!飛び交う真言(マントラ)、そして宇宙言語!学研ムー、MMR、ユリ・ゲラーの写真集が激しく交錯する!チャネが終われば報告書作成&計画会議、白湯で黙想。週に一度はコーリングビースト、夏はオーパーツ発掘冬は恐山登頂、嗚呼揺ぎ無い亜空間の日々よ――そんなマイナス100度の、青写真。きっと当局からマークされることだろう。サブタイトルは『毎日霊魂 〜戻れない日々〜』でキメだ。
別に僕はチャネリングのことを長々と語りたいわけじゃない。そもそも僕にはチャネリングに関する知識がない。ただ、テニス部とチャネリング部を比較した場合、相対的にチャネ部の方が不遇に扱われることが多いのではないだろうか?そのことを摘示したかっただけのことである。
いわゆる『リア充』と呼ばれる人々。日々の生活が充実し、活動的で社交的で、予定のあらざる日はない。一般的なイメージとして、テニスサークルなどを組成しているのはそんな『リア充』な人たちだと考えられていることだろう。実際のところ本当にそうなのかは微妙なところだが、あくまでも一般論としての話だ。
これを読んでいるテニスサークルの人の中には、実際のところ『リア充』でない人もいるだろう。が、世間の目は厳しい。『テニス』という単語を聞いた途端に我々は
『こいつ……なんてパウワ(power)だ!』
と恐れおののき、次の瞬間に『サークル』という言葉が続いた時
『おのれフリーザ!この星ごと消す気か!』
みたいな感じで絶望する。それくらいのインパクトが『テニスサークル』という単語には潜んでいると言っても過言ではない。過言だ。
よって「リアルを充実させたい!」という強い妄念に憑り付かれてしまった者たちは、目の前にチャネ部とテニサー……いや、あんまりテニサーと言っているとテニスサークルの人に怒られそうなので言い換えるが、まあイベントサークルがあった場合、きっとわき目も振らずにイベサーへと駆け込むであろう。この文脈での『リアルを充実させたい』という言葉、それを僕なりに翻訳すると、
「女の子とたくさん知り合いたい!」
ということであり、更に意訳すると
「あわよくばセックスも!」
ということになる。異論も反論も許さない。そして『不潔!』『最低!』みたいな謗りも許可しない。なぜか?6年前の僕が傷つくからである。察して欲しい。
ここでようやく本題に入るのだが、じゃあチャネ部に入ってしまえば『そういう』行為、いわゆる女の子と仲良くなるとか、彼女を作るとか、酒の勢いで女の子のアソコ(当ブログの性質上、アソコがどこなのかについての詳述は避ける。あえて地番で言うならば『女市裸区下半身町膣丁目大陰唇番地Gスポット号』のことである。分からない人はGoogleマップで『中出しベイビー』と検索してみよう)と肉体言語で語り合う……などのことが絶対にできないのだろうか?どうも、僕にはそう思えないのである。むしろ、チャネ部などの零細なサークルに入ってしまった方が、いわゆる性的なマターと遭遇するチャンスが多いような気がして仕方がないのだ。
僕が高校生の頃の話だ。当時の僕は、もうこれまで再三語ったので詳細を省くが、とにかく青春の全てをおっぱいパブに注ぎ込んでいた。1枠1番、三冠の名馬オッパイパブスキーの一点買い。それが僕のセピアな思い出。二ヶ月に一度は小遣いを握り締めて友人と共におっぱいパブへと疾走していたものである。少し話は逸れるが、もしこれを読んでいる人の中にタイムトラベラーがいるならば、頼む!辛いだろうが、あの頃の僕をどうか殺して欲しい。出来れば、の話であるが……。
さておき、そんな感じでおっぱいパブという邪教を盲信していた僕だったのだが、当時の僕はおかしなことにどこか同級生を見下していた節があった。それはおそらく『オッパイ経験者』としての自分を過度に評価していたからであり、周りの友たちが『童オッパイ』であったのに対し、自分が『ヤリオッパイ』であったという事実が大いに寄与していたことだろう。オッパイマイスター、オッパイマエストロ!僕は授業中、ひとりソムリエになった気分で級友たちを眺め回した。少し話は逸れるが、もしこれを読んでいる人の中に異空間転移装置を持っている人がいるならば、スマン!苦しいだろうが、あの頃の僕をできるだけ楽にあの世へと送って欲しい。可能であれば、の話であるが……。
僕のクラスには文芸部に所属する人たちが何名かいた。文芸、といっても太宰やゲーテの方面にはあまり興味がないらしく、スレイヤーズやファム&イーリー、ないし天地無用!などに青春の全てをBETするという、色んな意味でパンクな部活だった。僕は多くは語らないが、文芸部――それは山手線的に言うと御徒町の次、神田の前にある駅が非常に似合いそうな人たちが結集する部活であった、とだけ言っておこう。
「それってあきh」
おっと、チャンコ増田氏の悪口はそこまでだ。僕は多くは語らない。
当時、脳のミソ部分がスカスカのパーだった僕は、そんな彼らが部活動のことを熱心に喋っているのを見て『フフ、そんな青春でいいのかい?俺なんてもう、数多のオッパイを駆け抜けているのだぜ』と、エアー伊達メガネをクイクイと動かしながら冷笑していた。少し話は逸れるが、この中にマインドアサシンがいたら……止めよう。詰まるところ僕は過去という十字を背負って粛々と生きていくほかないのだ。
そんな虚構の優越心に浸っている時、僕のところに驚愕の事実が雷鳴のようにやって来た。季節は秋、何もかもが物憂い時期である。
「肉ちゃん……文芸部の○○と××、何か付き合ってて、もうセックスとかガンガンやっとるらしいぞ……!」
その言葉を耳にした瞬間、僕は死にたくなった。いや、生きていたくなかった!という形容の方が相応しいかもしれない。セックス、それはあの日の僕がどれだけ願ってもついぞ手にすることができなかった、セレブたちの嗜み。手を伸ばしても届かない、理想の彼岸。矮小な僕は、それでも何とかセックスの端緒だけでも掴もうと、身銭をはたき、愛のないオッパイに狂っていた。それで良かった、それでもいいと、思っていた。それが、あの日。
「しかもな、○○は△△ともセックスしとって、××も■■とセックスしとるんやって……!」
そう、文芸部は部活動という体裁を取り繕いながら、その実彼らは一家八人の大家族だったのである。僕は恐怖と戦慄から全身をワナワナと振るわせつつ、そっと○○さん(♀)の顔を窺い見る。スプーだ!○○さんの顔面を見るや否や僕は叫びかけたが、強靭な胆力でこれを堪えた。別に顔の美醜が問題となる話ではないが、例えば僕がデリヘルを頼んで扉の向こうに○○さんがいれば、17.3回は『チェンジ』と呟く、それだけは確かだ。そんな○○さんも、今はもう遥か遠く、雲上の世界に……。
この狂乱の出来事から僕が学んだことはただ一つ。『組織が狭く閉鎖的である場合、却って男女は獣と化すことがある』。少々暴論かもしれないが、これは今も確信として僕の胸に残っていることだ。
たとえば、少し話が異なるかもしれないが、こんなケース。
・・・
【高校、新学期。クラス替えがあって、4月】
「おいおいジュンちゃん、うちのクラスみた?」
「ああ、マジ女子のツラがヤベーよな!お先真っ暗だぜ」
「だよなあ。おてもやんみてーな女しかいねーじゃん!終わったわー」
【衣替えが終わって、6月】
「夏服になったなー」
「つかさー、奈津美って結構胸でかくね?」
「うわー、ジュンちゃん手当たり次第って感じじゃん!」
「バッカ、ちげーよ!」(えっ、俺、戸惑ってる?)
「ジュンちゃんはオッパイ星人だなあw」(奈津美……だと……?)
【秋、再び衣替えのシーズンが来て】
「だいぶ寒くなったねー、ジュンちゃん」
「そういや、奈津美ってメガネからコンタクトに換えてたよねー」
「えっ、奈津美がどうしたって?」(こいつ、まさか……)
「ああいや、そうだ、駅前でストUやろうよ!」(俺、奈津美のこと……)
【進級前、桜が芽吹き始めた頃】
「もうクラス換えか……1年も早いよな」
「ああ、来年も一緒のクラスになれたらいいのにな」
「……」
「……」
「なんか、さ」
「ん?」
「最初は、イケてない女子ばっかだなー、とか思ってたけど、結構そんなこともなかったよね……」(奈津美……)
「ああ……そうだな……」(奈津美……)
・・・
こういうことって結構あると思う。たとえばクラスの割合が【男:女=9:1】とかである場合、一層顕著に生じるのではないだろうか。人間というものは結局、環境に生きる存在である。その環境において選択肢が著しく少ないのであれば、その限られた選択肢に全てを賭ける傾向にあるような気がする。
最初はカワイイだなんて思っていなかったトメ子が、今は俺の中でこんなにも大きな存在に……そんな経験をしたことのある男子!いるでしょ、絶対に。あるいは理系の学部に通っている方々などは現在進行形でそれを経験しているかもしれない。
ここにおいてようやく話は元に戻るが、たとえばイベントサークル。確かに見た目も華やかで、サークルの気風が気楽である分色んな人たちが集まりやすい。今風の若者たちは飲み会やビリヤードなどに興じ、一見するとその活動はふしだらにも見えることだろう。
しかし、人数が多いということは即ち【選択肢の多さ】でもある。カワイイ人、カッコイイ人が数多はびこる組織において、少々の努力程度では異性の関心を買うことができない。結局、一点集中型にイケメン、イケ女がモテにモテモテ、その余の人材はただ粛々と酒を飲む、時にはゲロを吐くほど酒を飲まされる、あるいはワリカン要員として呼ばれるのみ……といった状況に陥りやすい。切ないが、これが一定の真実だ。
反して、チャネ部というものが実在した場合。きっとそのメンバーはかなり限られた層で構成されるだろうし、部全体の人数もそれほど多くないだろう。言い方は悪いが、選択肢が少ない分だけチャンスの巡りは多くなる。もちろん実際はそんなに単純な話ではないし、様々なサークルが存在していることも事実であり、こんなのはあくまで傾向としての話だ。
ただ僕の経験則上、過度に閉鎖的な組織に属している人たちは、そのコミュニティの中で異性をとっ変えひっ変えしている可能性が非常に高い。彼らが外見においてどれだけ真面目なナリをしていようとも、である。それが絶対的な真理だ、なんてことを言うつもりはないが、星の王子様という作品にはこんな言葉がある。『本当に大切なものは、目には見えない』。至言だと思う。
ちなみに僕は、そういう風に同じコミュニティに属する異性にばかり恋しちゃう人のことを『ビバリーヒルズな人』とこっそり呼称している。言葉の由来は、かつてのテレビ番組『ビバリーヒルズ高校白書』からである。
クラス内での恋、バイト内での恋、研究室内での恋、職場での恋、様々あるが、ビバヒルの宿命を背負ってしまった人たちは徹頭徹尾自分の属するコミュニティの内部で恋をしまくる。結果、その中の人間関係を完膚なきまでにクラッシュしまくる。穴兄弟・穴姉妹も増えまくる。恋する気持ちは仕方のないことといえど、それは随分切なくて罪深いことのように思われてしまう。
気付けば先日の日記と同じような論調になってしまったが、とにかくも春だ。浮かれやすい季節である。特に新大学生なんかはバリバリに恋をしてしまう時期だと思うけれど、どうか気を付けて欲しい。僕の見立てによれば、4月に付き合ったカップルは高い確率で5月に別れる。10組いれば13組は破局すると思っていい。その後に残るのは、きっと居酒屋のレシートと後悔だけだろう。それも人生の肥やしになる、とも言えるけれど、できることならば腰の据えた恋を育んで欲しいと思う。
補足しておくと、浮かれまくってサークルで知り合った異性にガリガリとメールを掃射するのは絶対にやめた方がいい。その情報はほぼ100%の確率でサークルの女子たちに伝わっている。異論も反論もいらない。そして僕には何も聞かないでいただきたい。あと、タイムトラベラーもしくはタイムマシンを持っている人、ないしマインドアサシンかずいは迅速に僕のところに連絡を下さい。報酬、弾みます。
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自分も来年は大学生。恋、育てたいです。
何も聞かないでいただきたいの気持ちがわかる自分も殺して欲しい。
レズの壷たらいうAVを思い出しました。
それにしてもちくしょう、
俺の大学時代をこうも公衆の面前にさらすとは。
あれ…気がつけば既に4年生になっとる。
あるある。理系で女子は2割程度だったけど、なぜかベクトルは理系の女子にしか向かないんだよな。
「諦め」が、いつの間にか「希望」に姿を変える。環境変化に順応するのは何も身体だけじゃない。
良い記事でした。ありがとう。
ところでナルキッソスは見ました?
出会いがないから、恥も、ない…!orz
僕が馬主になったら名前これ付けさせてもらいますね。
数学の上ではカオスだが
人生においてはこれが真実と言わざるを得ない
男:蟻の如く
女:6人
しかも皆顔が残念な方ばかり…
いつかこれに妥協してしまいそうな自分が怖い((゚Д゚ll))
勉強になりました
その通りだと存じます
とにかくこれだけは言わせて下さい。
肉さん最高。
そういえば、七夕の短冊企画で「彼女ほしい」と肉さんにお願いした者ですが、つい先日できました、感謝するお( ^ω^)
高三の時は女子三名に男子三十名ぐらいのクラスだったんですけど、わざわざ対象をその三名に絞って考えてるときがありました
涙で前が見えません。
ダメ!ツボです〜
ってか ビバヒル状態と形容する方がここにもいたとはwww
パパには秘密もみるといいですよ!
そういえば私も肉欲七夕で彼氏欲しいですと願ったら2週間たたずしてできてまして☆まだ付き合ってます(o^∀^o)ほんと肉さんのパワーすごいわぁ…今年もやりましょう。
男女比が1:13だった高校時代。体育祭でリーダーしてるだけで7割増かっこよく見えた奴らは究極のイリュージョニスト。