肉欲企画。

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2007年07月21日

酒に溺れる心理学、そしてその合理的言い訳の手法

僕は酒が好きだ。
僕の兄も酒が好きだ。
僕の両親も酒が好きだ。
ついでに、僕の親族も揃って酒が好きだ。

泥酔するまで酒を飲む彼らないし僕を見て、いつも思う。
そんなに忘れたいことでもあるのだろうか?と。

 
様々な意見があるだろうけれど、僕は『酒なんて所詮法で許されたドラッグだ』という中島らもの意見に同意する。

酒は人を狂わせ、また乱れさせる。

適量の酒を飲むと、ひどく楽しい気持ちになる。
世界がくるくると回りだし、見るもの全てが愉快に思える。

あるいはそれを過ぎると、陰惨な気持ちになる。
深酒の際には訳もなく当り散らしたい気持ちになることがある。
見るもの全てが気に障り、普段の姿からは考えられないほど粗暴になる。もしくは厭世的な気分になる。

そして翌日は眩暈のするような二日酔いに襲われる。
頭はガンガンと痛み、立ち上がっただけで吐き気がする。
タバコを吸っても砂のような味しかせず、およそ食事など摂ろうという気にもなれない。

これらは全て、薬物中毒者における『グッドトリップ』『バッドトリップ』『副作用』の概念に酷似している。ただ酒が合法であるという一点のみが、薬物を摂取した時に現れる人体への作用と、飲酒の際のそれとの説明の分水領となっているに過ぎない。

もちろん、適度な酒は僕らにとって最良の友となり得る。
日本人傭兵として著名な高部正樹氏も『銃砲飛び交う前線に出て緊張しきった神経はそう簡単には癒えない。ただ酒と添い寝してくれる女だけが、その神経を弛緩させてくれる』と述べている。

付き合い方で見せる色が変わる、というのは酒も女もドラッグも同じということだろう。大切なのは用法用量を守ることでしかない。

そして僕は、あるいは僕の一族は、その辺りのバランス感覚を著しく失している。我が家の家訓は『酒は飲んだら呑まれろ』であった。加えて、僕が個人的に好きな言葉に

酒のない国へ行きたい宿酔い(ふつかよい) また三日目に戻りたくなる

というものがある。どれだけ辛い二日酔いに悩まされても、その翌日にはまるでそれが義務であるかのようにビールのプルタブを開けている僕の姿がある。酒のない国に逗留する期間は驚くほど短い。

どうしてこれほどまでに酒を飲むのであろうか。
病理学的な定義でのアルコール依存のステージにまでは未だ及んではいないが、それでも人並み以上に酒を飲んでいることは確かだろう。以前は『酒の味を楽しんでいるんだよ』という苦しい言い訳を放ったこともあったけれど、正直に言えばそれは詭弁だ。

結局酒なんて、3杯以上飲んでしまえば微妙な味の違いを楽しむことは難しい。もちろん楽しめる人も存在するのだろう。しかし僕に関してはそれは当てはまらない。

酩酊感を得たいがためだけに飲む酒の味は、空疎だ。暑い日に飲む一杯の生ビールの味は十分に『目的』になり得るけれど、それ以上飲む酒は楽しい気分に達するための『手段』でしかない。

そして『手段』に成り下がった酒というものは非常に恐ろしい。『酩酊したい』という目的が明確であるため、どんどん手段を選ばなくなってしまうからだ。酔うことさえできれば、どんな酒でも受け入れることができるからだ。

つまるところこの『目的』と『手段』の倒錯が、僕をして飲酒に走らしめる遠因となっているのではあるまいか。であるとするならば、どうして酩酊感を得ることが至上となってしまったのだろうか。

認めたくはないことではあるが、この文脈においては『酒』という手段を『覚せい剤』に置き換えても残念ながら成り立つことになる。両者の違いは刑罰と依存度の軽重でしかない。

忘れたいことがさほど多いとも思えない。いや、もしかするとそれは自覚していないだけのことかもしれないのだが、少なくとも自分の中ではそれほどストレスが溜まっているとは考えていない。

とするならば、そのようにして飲酒を欲してしまうのは僕の有する享楽的な性格が原因なのだろう。楽しいから飲む、ハイになれるから酒を空ける。そこにあって酩酊感を求める理由は、おそろしく単純でかつ救いようがない。

『楽しければそれでいーじゃん!』

同じセリフを若い娘が言うのならば可愛げもあるだろう。
しかし僕は、一応若いことは若いけれど、世の娘たちとは異なり『生えて』いる。また若い女には価値があるけれど、若い男には総じて価値がない。

だから価値も有せず、また生えている存在である僕が

『楽しいんだからしょうがないじゃーん!』

なんて厚顔にも言ってしまうことは、何と言うか援交娘が『どうしてエンコーがダメなの!?どこに被害者がいるの?!みんな幸せになってるじゃん』と逆ギレしているような状況にも似ている気がする。要するに、救いようがないってことだ。

しかしながら性格を改善するのはいかにも難しい。そして飲酒習慣が性格から起因している以上、その習慣を根絶することも同様に難しいということになる。

であるならば、いかにしてその習慣を合理的なものとして説明するか、いかにして自分を正当化するか!?酒なんてむしろ飲むべきだろ、オイ!!と、その整合性を保つロジックを捏造することに腐心するのが前向きな発想ということになるだろう。こういうことを考えられるように人の脳というものは進化したのだ……僕はそんな風に確信している。

本音のトロのところで僕が叫んでいるのは『楽しいからいいじゃーん!』というものであるが、それは通らないのは先ほど確認したところだ。そうだとすれば、一体どのようなロジックがモアベターなのだろうか。

・・・

ウチの兄貴ってのが酒の好きなヤツでね……だから兄貴の分まで俺も飲んでるんだ。

「どうして酒ばかり飲んでいるの?」という問いかけに対し、今夜はハードボイルドにキメ。オン・ザ・ロックのジムビームをニヒルに傾けながらそんなことを呟けば、誰しもが口を閉じるだろう。あるいはそんな渋めの言葉に、口を閉じつつ貝を開くこともあるかもしれない。今夜はお前にシングルモルト。ツーフィンガーもキメちゃうぜ。

この言葉のミソは、決してウソを吐いていないということだ。こんなことを言われてしまえば

『ああ、この人のお兄さんは死んでしまったのね』

という妄念に囚われてしまう人もいるかもしれないけれど、僕としてはそんなことは塵とも言っていない。ただ、兄が酒が好きであること、そして彼の分まで酒を飲んでいること、という二点のみである。この辺りが日本語の有する滋味だ。

・・・

次の朝に飲む一杯の水の旨さが忘れられないんだ。

二日酔いの朝に飲む冷水は、まさに甘露だ。どれだけ辛らつな二日酔いに襲われようとも、あの一杯の旨さだけは確かである。その水の旨さが僕を魅了して、だから酒を止められないのさ……というこのロジック。

少しだけシャレも利いていて、でも確かにあの水の味は深酒をしないと味わえないわけであり、また水を飲むためだけに酒を飲むというバカバカしさ故に『どうして酒ばっかり飲んでいるの?』という追求をする気も削ぐことのできる言い訳。

・・・

誰かが潰れれば、誰かは正気でいられるだろ。だったら俺が前者になるよ。

『あえて』の汚れ役を買って出るているように錯覚させるこのセリフ。『俺はいいから先に行け!なあに、こいつを倒したらすぐに追いつくさ』というシャウトにも似たこの文言は、つまるところ確実な死亡フラグ。

とはいえ、5人以上で飲む場合はかなりの確率でこのセリフは正当性を有する。酒乱が5人集まった場合、誰か一人は不思議なことに世話役、会計役の位置に収まるものだ。それは働きアリの寓話にも似ている。

働きアリの活動の様子を観察した場合に、よく働くアリが2割、普通に働くアリが6割、全く働かないアリが2割という構成になる。その働かないアリの2割を別の土壌に集めると、結局同じ2:6:2の割合になる

ただ、以前僕と兄が西荻で二人で飲んだ時、お互いが気付いた時にはそれぞれ三鷹と吉祥寺駅のベンチで寝ていたことを思い出すと、やはり5人未満ではこの言葉の説得性が薄くなるようなのでご注意を。

・・・

■『一盃 人、酒を呑み 三盃 酒、人を呑む…って、論語の言葉なんだけど、僕は酒を飲んでるんじゃない。酒に呑まれてるだけなのさ

先ほどから口調がどうもキザっぽいのだけれど、その辺は適宜ニュアンスを変えるように。こんなまま喋ったら、違う意味で二人のトークが絶滅しかねない。

さて、屁理屈の常套手段として『訳もなく権威的な一説を引っ張り出す』というメソッドがあるのだけれど、これはまさにそれに乗っかった格好。実際のところ喋っている内容よりも『論語』という一語に重点を置いていることがポイント。

『そうか、論語でも言っているのか。じゃあ仕方ない』

と思わせることを狙った格好である。よーく吟味してみれば、

「へえ、人を呑むんだ。だから何?最初の一口はあんたの選択でしょ」

としか言いようのない言い訳。
なので、通であればここから

「で、他にも酒に関する格言ってのは古くから伝わっていて、例えば『酒の神バッカスは、海の神ポセイドンより多くの人を溺れさせた』ってのもあるんだよ」

みたいに話を広げ、そもそもの質問が何であったかを忘れさせれば良い。つまるところ、ドゥユアベストということである。

・・・

じゃあ俺が酒を飲む理由を当ててみて?

もし一緒に飲んでいる相手が吉良吉影であれば、こんな返答をした瞬間に

質問を質問で返すなーっ!!疑問文には疑問文で答えろと学校では教えているのか?

という叫びとともにパイツァダストをぶちカマされ爆死、というところなのだが、まあそうそう短気な人間もこの世にはいないので、とりあえず及第点の返し。

ここでは、つまり思考の主体を己から他人に移行させるのが狙い。当人からすれば、目の前の人間が酒を飲む理由が分からないからそんな質問をしているのであり、だから今まで考えもしなかったテーゼを己の頭で考えなければならなくなる。

こういう時は結構面白い回答が口から出てくることが多く、あとはその回答をこちらが上手に料理してやれば自然と会話の方向は別のベクトルに向いているだろう。

あるいは『質問を質問で……』と怒られたとしても

「おっ、お前JOJO好きなの?!やっぱトニオのイタリア料理は一度は食べたいよなぁ〜」

とJOJOトークに持ち込めば満点。

・・・

うるせえ、セックスさせろ

この際ハッキリ言うと、例えば女性とサシで飲みに行っているという時点で確実にセックスフラグが林立してるわけであり、そこにあって『どうして酒ばかり飲んでいるの?』だなんてミトコンドリアみたいにどうでもいい質問を投げかけているのは女性側からの隠れたサイン。

「もうお酒なんていいからさ……早く私を野良犬のようにファックしてよ!!

と女性が思っているのは九分九厘間違いない。残りの一厘は、まあアノ日だったってこったろう。その場合は『セックスできないけど、早くしゃぶらせてよ』ということになる。

なので、男の責務としてはそんな質問に真面目に取り組むではなく、いち早く目の前の女性をモーテルないし藪の中に引っ張り込むことであり、そこにあってはどんな言葉も儚く響く。というか言葉がそもそも必要ない。あなたが為すべきなのは、手元のジムビームをグッと飲み干し、女性の肩を掴んで羽賀研二の瞳でコックリと頷くことのみ。それが女心ってことだろ。これからは男がガッツリとリードする時代、いわゆるマンコ2.0の時代なんだから。

・・・

ということで、いかがだったろうか。酒を飲む理由というのは複雑にして多岐に亘るものだけれど、その根源というのは恐らく精神学的なダークなものになると思う。そしてそういうダークな話は、往々にして酒の席にはそぐわない。

そうであれば、いかにしてライトな話題に切り替えるか?そこのところを努々忘れないようにすることが大切なのである。自分語りは気持ちいいけれど、聞いている方は気持ちよくない、あるいは少々鬱陶しく思うというのは一定の真理なのだから。


というようなことを焼酎を飲みながら書きました。
やっぱ酒だよな。

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posted by 肉欲さん at 21:00 | Comment(25) | TrackBack(0) | 日記 このエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
今日新世界で僕だけの新世界を発見した男からのコメント


やっぱ酒やで!


…酒が合法的なドラッグで良かったと心から思います。
あいかわらずだるまはうまかった。
Posted by ポーカマe at 2007年07月22日 00:37
喉がやけつく感じがどうしてもだめだ
Posted by at 2007年07月22日 00:38
しょっちゅう飲む人にとってはご飯を食べること、寝ること、セックスすることと同じくらいナチュラルな行為。
Posted by at 2007年07月22日 00:43
記事の投下時間が時空を越えた…
キングクリムゾン?
Posted by 流動食 at 2007年07月22日 00:43
18歳ぴちぴちのティーン,この間初めてのマーライオンになり,初めての二日酔いを経験しました…死ねますねあれ、辛い…
Posted by ドエム at 2007年07月22日 01:53
二日酔い、三日酔いしてる最中の水が旨いのはガチ。
Posted by Sago at 2007年07月22日 01:53
酒は好きだがすぐに酔うらしく、開放感を感じる前に頭痛に襲われ飲み続けられない。

だから二日酔いはないが…それは果たして幸せなのかは疑問。
Posted by at 2007年07月22日 02:24
毎回の事ですが、親類と飲むと、常々母方の祖父の内臓は肝臓が殆どを占めているのではないか?と思う程、祖父は浴びるくらい飲みます。
そして全く酔いません。

アル中等では無いので、殆ど妖怪の類です。

その血統は、愚父のコップ一杯で酔う体質のせいで打ち消されてしまいます。

僕も肉欲さんみたいな純血液アルコール系に生まれたかった。
Posted by 火為 at 2007年07月22日 04:58
好きな仲間と飲む酒は格段に旨い。
これは、一人で食べるより、皆で食べる方が美味しいことと同じであるように、酒は限りなく食に近く、欲に近いものであると思います。
そこに、酒があるから飲むんだよ。
ただそれだけです(´ω`)
Posted by ヒロ at 2007年07月22日 07:30
うちの親戚は皆やばい。5人で缶ビールなら40本位消える。
お酒飲めるようになったら浴びるように飲むな・・・・今も多少嗜んでるけど。
Posted by Sim at 2007年07月22日 08:43
「だったら水を毎日飲んだら?」
「この水を飲むために酒を飲むんだろうが」

こんな感じの台詞があった。
多分ガダラの豚。

中島らも論からの肉欲論への転換。
肉さんカッコイイ。
Posted by オッサン at 2007年07月22日 09:09
「宿酔いは、人生の彩り」と嘯いていた時期が、私にも在りました…
Posted by ユカ at 2007年07月22日 09:12
酒の良さがわからないボクは25にしてガキという事で……。
Posted by M2 at 2007年07月22日 14:21
ビトウィーン・ザ・シーツを、気になるアノ子と飲みながらつまむオードブルは、ニセ華京院よろしくカブトムシをヴォリヴォリ喰うのがこの夏のマスト(カナブンでも可)
Posted by ピアスのマー坊や at 2007年07月22日 14:24
酒を飲まなければ面白いことも言えなきゃ、女の子に甘い言葉の一つも言えない根性無しの僕にはアルコールは欠かせません。

それと、一回マーライオンした後のリスタートの1杯の旨さは異常ですね(・∀・)
Posted by ぜぜ at 2007年07月22日 18:15
肉欲と酒は心の友よ〜!

どどどドラえも〜ん!
ににに肉欲〜!
Posted by おでこに○肉 at 2007年07月22日 19:29
( ^ω^)なんというオワタ…
Posted by だいきょう at 2007年07月22日 20:43
この世で一番うまいのは水だと思う。ただし水が輝きを増した姿、それが酒だと思う。
飲む理由を聞いてくる奴がいたら答えは一つ『飲まなきゃ、テメェと話できっか!!』しかない
Posted by 深海 at 2007年07月22日 23:02
「酒は理屈じゃない!」
酒の肴に肉欲企画を読んでるものの戯言
Posted by ペンネ at 2007年07月22日 23:54
「宮内庁は21日、アルコール依存症と診断され、宮内庁病院に入院していた三笠宮寛仁さまが同日午前、退院されたと発表した。」
とにかく身体と心を病まない程度に飲めればOKかなと。らもさんも飲酒で階段から…。気をつけてね(´・ω・`)
Posted by 葉月 at 2007年07月23日 02:25
カントですね
Posted by 名無し at 2007年07月24日 00:11
パイツァダストじゃなくてバイツァダストじゃなかったっけ。
Posted by スージー at 2007年07月24日 10:10
毎日飲んでいる者としてみれば、質問の意味がわからない。

何で酒ばかり飲むの?

暗くなったからだよ。

という回答になってしまう。
病的な依存症に片足つっこんでます!

今はまだビール。
Posted by なおP at 2007年07月24日 20:50
飲むなら飲まれろ当たり前。それでM男の歯を殴って折り、翌日こけて肋骨と鎖骨を折り極め付けの言い訳で『お前カルシウム足りてないやろが!』とヤカラ飛ばしました。
中途半端は何事も良くない感じです。
Posted by 佐伯 at 2007年07月27日 00:16

昨日久しぶりに泥酔してしまった。
楽しかったが後悔中。やはり二日酔いはつらいですなー
Posted by at 2007年08月13日 08:59
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