したところ、幾人かのマイミクの方(♀)から
「オッパイパブって何ですか?」
といった質問を投げかけられ、僕はとっても狼狽した。
「オッパイパブってそらお前、オッパイのあるパブのことやろ!アホか!」
刹那的にそんなことを思った。けれど、そっと足を止めて自分の思考を立ち返ってみると、全く以て答になっていないことに気付いた。アホは、僕だ。どうやら、僕が己の人生劇場を歩いているうちに、いつの間にか
「オッパイパブ=全世界的な共通言語」
と思い込んでいたらしい。そんなことはあろうはずもないのに!
ということで今日は『あなたの知らない世界〜オッパイパブ編〜』をお届けします。もう、そんなの知りたくもないわよ!というセンチでキッチュな淑女は今すぐブラウザの戻るボタンを叩き押して『おしゃれカンケイ』をご覧下さい。
オッパイパブ、あるいは『ハッスルパブ』や『セクキャバ』などと呼称する地域もあるのだろうか?とにかく今日は便宜上『オッパイパブ』とする。
僕が初めてオッパイパブ(長いので以下はOPと略す)に足を踏み入れたのは、高校2年生の夏休みの時だった。暇と性欲を売るほど持て余していた僕らは、いつものように何をするでもなく近所のコンビニにたむろし、カッコつけて煙草を吸ったり誰かの家に集まってオナニー競争などに興じていた。
(補足しておくと、オナニー競争は俗称シコリンピックとも呼ばれており、密室に集まったガイたちが同じAVを閲覧しながら、誰が最も早くフィニッシュできるか?!ということを競う競技のことだ。見事金メダルに輝いても、特に嬉しくないのがこの種目のミソである。)
そんな感じで、世界一どうでもいい夏を過ごしていた僕らだったのだけれど、そこに一台の車が颯爽と現れた。中に乗っていたのは、おそらくシンナーか何かの影響なのだろう、歯をガタガタにドレスダウンした地元の先輩だった。
「お前ら、オッパイパブ行くぞ!」
車のパワーウィンドウが開くか早いか先輩はシャウトする。それは電光石火のオファーだった。僕らには挨拶する暇すらなかった。
「オッパイパブ、っすか?」
「おう、めっちゃええぞ!ホント、ぶちええんっちゃ!」
ぶち、とは山口地方の方言で、おおよそ『very much』とか『so』とかその辺りの意味合い。だから先輩はこの時
「Hey guys! Oppai pub is so much very cool cool cool!!」
と僕らに伝えてくれたわけである。僕らとしても『Oppai is very good!!』という全世界共通の価値観は有していたので
「なるほど、先輩の言うことには一理あるのかもしれない。いや、百理くらいはありそうだ!」
と思い、深く考えることなく脊髄反射の勢いで先輩の車に乗り込んだ。先輩の乗っているグロリアには、シンナーのハードスメルが漂っていた。僕は無言で窓を開けた。
「でも先輩!僕らはお金がないであります!」
「だいじょうびぁ!俺、今日パチンコで買ったけえ全部奢っちゃるわハハハハハ」
言葉の最後の方は風に消えていったけれど、少なくとも今日のオッパイは全てタダ!オッパイ無料お試し!ということは即座に認識した。あんまり好きな先輩ではなかったけれど、今日だけは尊敬するよ!先輩!僕らは一様にそんなことを思った。
「ここじゃあ!」
誰よりも早く車から降りる先輩。その後ろを借りてきた猫のように着いていくティーンたち。飲み屋街の一角にあったその店の看板は全方向的にムラサキ色で、明らかにまともな店ではないことを僕らに推知させた。
「先輩!この店がその、”アレ”でありますか!」
「おう!オッパイや!」
何らひるむことなく、繁華街のど真ん中でオッパイと言ってのけた先輩はとても頼もしく見え、僕にはその背中が西日本一大きく感じられたのであった。
「でも延長はなしぞ。あと、一番短いコースやけえの」
先輩は急にトーンダウンした。僕は店先に掲げられていた料金表に鋭く目を走らせる。
【20分 2000円】
その夏、否!その年もっとも濃密な20分は、オッパイと共に始まったのであった。
・・・
「お飲み物はどうなさいますかー?」
髪を短く刈り込んだボーイが僕らの席(僕&友達)にやって来た。
(えっ!?飲み物?!オッパイは!?!)
のっけからオッパイが来るものとばかり思っていた僕らは慌てた。けれど、よく考えたらこの店のジャンルは『オッパイ+パブ』であることを思い出した。先に飲み物を聞いてきたということは、どうやらこの店のメインはあくまでも『パブ』、オッパイはサブ的な位置づけにあるらしい。酒のつまみに、オッパイでもいかがかな?というコンセプトなのだ。初心者はいつだってヒヤヒヤさせられる。
「オッパ、ビールください」
しまった!どうやら僕の心のブレーキは半壊していたみたいだ。僕は『イ』の部分でようやく急ブレーキをかけ、何とかビールを注文した。ボーイが去った後は冷静を装っていたが、もし『オッパ』という謎の飲み物が出てきたらどうしよう……と気が気ではなかった。
「どうぞ」
出てきたのは紛うことなきビールで、僕はホッと胸を撫で下ろす。対面に座っていた友人と軽く乾杯をした。ただ、僕も彼もビールどころではなく、ティーンの可愛いお目めはもの凄い勢いでクロールしていた。はす向かいに座っていた別の友人も同じだったらしく、だから僕らの目は一様に
「オッパイはまだか!オッパイをもてい」
とシャウトしていた。
薄暗い店内にはそこかしこで痴態が繰り広げられている。遠い視線の先には、僕らといくつも違わないであろう女の人が、乳を丸出しにしておじさんの膝の上に座っていた。そのおじさんの、まあしまりのない顔ときたら!それは名状しがたいものがあった。あんなだらしのない顔をした人が、昼間は
「課長、稟議を!」
「ダメだ、ならぬ!」
「あんたは頭が古いんだよ!」
「黙れ小僧!」
みたいなやり取りを会社でしてるのだろうか?と思うと、僕はこの社会の暗部を見た気持ちになり心が暗くなった。
また、店内には色とりどりの店員さん、花よ月よの娘さんたちがいたのだけれど、その中には明らかに国技向けの体型をした方というか、新弟子チックないでたちをした女性というか、冬でも暖かそうなタイプの女性、言い換えればドスコイな感じの女性が僅かながら存在しており、もしあれが僕の担当になったら……!と思うと、余計僕の心は暗くなった。十代の少年の心というのは、まことジェットコースターのようである。
「こんばんわ〜」
不意に右から声をかけられる。僕はビクッ、として顔を上げると、はたしてそこには女性がいた。すわ、新弟子か!?と訝しがったけれど、見上げた先にはほっそりとした女の人が立っておられた。僕はこの時、生まれて初めて神の存在を信じていい気持ちになった。
彼女は僕の横に座る。英語的に言えばサイド・バイ・サイドというアレだ。僕は緊張からだろう、ビールをググイと煽った。
「こういうお店ははじめてなの?」
「ん?ま、そういうことになるのかな?」
そういうこともなにも、完全に初めてじゃねえか!コノヤロウ!なんてことは思うことなかれ。およそティーネイジャーの男子というのは自尊心と羞恥心だけて生きている、というのが通説だ。だからこのくらいの見栄は、寛大な心で許して欲しい。
改めて彼女の方を見る。とは言っても、そこは自尊心の塊なので直視はできない。目の筋肉を全力で駆使して、史上稀に見るほどの横目で彼女の佇まいを精査した。着衣はおそらくワンピース、メイクはギャル系、オッパイは、あんまり大きくないぜ!たぶんB、いやヘタをするとAかも!?でも、小さくたっていいじゃない!だってそれはキミの個性なんだもの。僕はこの時、巨乳に全く興味を有しない自分に感謝した。
「じゃ、脱ぐねー」
二言三言会話したあと、まるでスーパーにキュウリを買いに行くような調子で、彼女はワンピースを上から腰のあたりにまで落とした。ちょっとお嬢さん、あんたそんなことするために高校出たの!?親御さんは知ってるの?!マジでさぁー!!などと瞬間的に思った僕は、どうやらモラリスト。
「おおう…」
それでも、目はオッパイに釘付けになって離れなかった。だから、僕のモラルなんて結局そのくらいのものなのだ。でもこういうお店に来て説教をするような輩よりは、1000倍マシだぜ!みたいな自己肯定をして、もう一回オッパイを見た。そこにはオッパイがあった。もう一度オッパイを見た。オッパイだった。
「これ、オッパイ、だよね」
「へ?」
しまったー!思考が中央特快高尾行きとなって僕の口から出てしまった瞬間である。実は僕、生のオッパイを見たのはこの時初めてであり、その感激たるやチョモランマ級。その衝撃をして僕を狂わせたのである。
考えてみればこの状況というのは全く狂いきっているわけで、なぜなら出会って3分と経っていない女性が僕の眼前にオッパイを、ナマの状態で突きつけているのだから。そういうのってちょっとないぜ。少なくとも16歳の僕の心にはガツンとキツいのがきたね。どうするんだ?僕にこのオッパイをどうしろというんだ!?
もちろん触るしかないのだけれど、見るのすら初めてということは、触るという行為はもっと初めて、言ってみりゃ超初めてなわけだ。
なんだか僕は、誘われるままに目の前にオッパイを触ることが、とんでもない犯罪行為であるような気がしてきた。触ったが最後、店の入り口あたりから青い制服を着た国家権力が乱入してきて
「話は聞かせてもらった!」
みたいなことになり、逮捕、退学、一家離散、路上生活、孤独な末期、みたいなことに、なっちまうんじゃねえの?!ということを、この時本気で錯覚した。そのくらいの罪悪感が僕の脳内でダンスしていた。それはまさしく、童貞のカルマ。
「じゃ、上に乗るねー」
でも相手もプロさ。僕のカルマなんてまるでシカト、淡々と、事務的に、決められたプロセスを辿る娘さん。あれよあれよという間に、知り合って5分も経たないお嬢さん(おそらく婚前)が僕の膝上に腰かけ、だから僕の顔面は一瞬にしてイン・フロント・オブ・乳になった。訳が分からなかった。
刹那、彼女の肩越しに向かいの友の様子が見える。
小学校からの幼馴染は、恍惚とした表情で女の子の乳を揉んでいた。いや、『揉んでいた』なんていう生易しいものじゃない、揉み『しだいて』いやがった!あの、野郎。
「触らないの?」
舌ったらずな声で女の子が僕に問いを投げる。
「触る」
頭の中で何かが弾け、僕の脳内に阿波踊りの音楽が流れ始める。
♪踊る阿呆に見る阿呆、同じアホなら踊らな損々
昔の人は本当にいいことを言う。こんな店に入って、俺は何を恥ずかしがっていたのだろうか?どうせ右も左も同じようなアホばかりじゃないか!だったらせいぜい2000円分は、いやこの際8900円分くらいは乳を揉まなきゃ損に決まってる!僕はこの時、ようやく腹を括ったのである。
「どれ、ひとつ」
それはクセ、なのだろうか。僕は何をするにもまず匂いを嗅ぐ傾向がある。この傾向は口に入れるものに対して顕著なのだけれど、この場合で言えば僕が乳を揉むだけで終わるはずがない、絶対にその後は口に含むに決まっておる!絶対に乳首をねぶる!という確信があったので、まずは匂いを嗅ぐことにしたのだ。それは、半ば本能の行動だった。
季節は夏だった。
彼女は、だから、ワキガの人だった。
もちろん強烈なタイプなワキガではない。気合の入ったワキガであれば、近づいた瞬間に察知できるはずだろう。その意味で、彼女はワキガの世界で言えば、まだまだ4回戦ボーイ程度のものだったのだけれど、それでも至近距離だとはっきり分かったのである。先生、吉田さん、ワキガでやんす。
「どうしたの?触らないの?」
「いやー、はは、それにしてもいいオッパイしてるね。遺伝?」
僕の頭の混乱は深みを増し、なぜか彼女のオッパイの家系図を掘り起こそうとしていた。そうじゃないだろう、バカッ!しかし走り出したトロッコはもう止まらない。僕は乳丸出しの彼女を膝に置いたまま、結局最後まで乳にはノータッチで、世界で一番濃密な20分をフィニッシュしたのだった。
「また来てね!」
「あ・ああ・・・」
女の子に手を引かれ、店を後にする僕。たぶん新橋から始発で帰るサラリーマンみたいな顔をしていたのではないだろうか?見たことないけど、そんな気がする。僕の記憶に残ったのは、初めて見るオッパイと、乳を揉む友人のだらしのない笑顔と、そしてセンチメンタル・フレイバーだけなのであった。
・・・
読み返してみると、システム云々には一切触れてない気がするのですがそこはご愛嬌でしょう。その後、僕らの周りでは爆発的なオッパイパブ・ブームが巻き起こり、右も左もオッパイパブの話ばかり。バイトの給料日になると風よりも早くオッパイパブに駆けつける猛者が続出したというのだから、いやはや本当に狂った果実が勢ぞろいしておった。
僕はというと、バイトなんてついぞしていなかったので、昼飯の弁当代をコツコツと貯め、その後も友達と足しげくオッパイパブに通い続けました。今思えば、そんなんする情熱を彼女作りに傾けろよ!と思わないでもないんですが、それはそれでいい思い出になったのでよしとしましょうかね。あとまあ、同級生の女子連中に僕らがオッパイパブに通っているのが普通にバレていたのがサイコーにクールでした。ゴミムシのように扱われてた。
【注:お酒はハタチになってから】
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死ぬほど顔をうずめたものだ
そんな俺は負け組。
え?違うの?
小説の中にだけ存在するのかと思ってました。
尊敬ですね
相手はキャバ嬢だった。懐かしい・・・。あの頃の家の周りはなんかそういう夜の仕事の人の溜まり場だった
でも。乳首、黒くないぜー!?
「どれ、ひとつ」
だ
壺。
後輩たちは足しげく通ってはいたが。それはもう狂ったように。
オッパイパブ行きたいなぁぁぁ
オッパイもみたいなぁぁぁぁぁ
否、青春を謳歌した肉さんに乾杯
肉さんの青春=おっぱいパブ
でFA?
目を瞑るか鼻を摘まむか。
結局のところオッパイ初タッチミーはいつだったのですか?
時給が2500円だったo
2500円で1時間もおっぱいもまれるとか・・・
ほたるだったら300円でいいよ
抜きたい気持ちが勝ってピンサロしか行ったことがなかとです。
ウルフルズのバカサバイバー。
おっぱい目の前にして心乱れる肉さんw
友と3人で行き、2人にはまぁまぁの子。
自分には横峰○くらをさらに微妙にした感じ?
チューしたらカレーの匂いがしたとよ。「カレー食べた?」って質問をぶつけてみたとよ。
したら「はぁ〜?! 食ってねぇよ!!」ってさ。 こわい。 普通に萎縮した。
だって19歳だったもの僕。
まぁ ガッツリ乳もみーの口すぃーのして
やりましたけどね! あはは
もっかい行きたい・・。今日行くか・・。
乳首も忘れずに!!
そんな私はおっパブは行ったことありませんが,
「行ったら〜?」とやたら言われます。
そんなに良いのかおっパブ。
ちなみに私女子ですが,さすがに行っちゃまずいっすよねぇ?