ということで今日はmixiの方の日記から転載。いつもの日記とは多少毛並みが違いますが、そこはご愛嬌ということでご了承下さい。
なお、これは自動更新になっております。たぶん今現在の僕は下関で泥になってるんじゃないかな。おさけ怖い。
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できれば沈黙していたい。
能弁な人をどこか胡散臭く感じてしまうのは何も僕だけではないと思うし、であればこそ古来より『沈黙は金、雄弁は銀』という言葉もある。喋りたいことがあっても、あえて黙るという行為は、本当に精神力を要すると思う。
始終黙っている必要はないし、無口と寡黙はその意味合いにおいて少し違う。色でたとえると、無口が黒だとすれば、寡黙はセピアな感じだ。感覚的に言うと、そうなる。外部との関係性を断ち切るのが無口で、相対した時にくすんだ鏡のように自分の姿を映し出すのが寡黙、とか個人的にはそんなように思う。
翻って、能弁はミラーボールみたいなものだ。様々な色が煌びやかに辺りを照らし、見た目にも飽きない。けれど四六時中見つめていると目はチカチカするだろうし、賑やかしいからこそいつかどこかの段階で静かな場所、風景を希求するようになる。人はダンスホールの中では生活できないからだ。
優秀な人は沈黙の有する価値を本能的に知っている。それは時に黙ることによって、相手に安らぎを与えたり、また喋らないことで相手の思考をリードできることを理解しているからだ。僕の知人の中にも随分女性にモテる人間がいるけれど、飲み会などで彼らの所作をつぶさに観察していると、ここぞという時はきちんと黙って相手の話を聞いている。そしてまた、聞き終わってもしばらく言葉を発してないことが多いように感じる。
反して、『モテたいんだよな〜』と常日頃から主張している友達なんかは、あまりそうじゃない。相手の言葉を遮って「いや、そこはそうじゃなくって……」と己の意見を主張し始めたり、そうでなくても相手が喋り終わるや否や「いや、気持ちは分かるけど実際のところ〜」と気炎を上げて『オレ論』をぶち上げたりしている。彼らの言葉に耳を傾けると、言っている内容は正しいのだけれど、やっぱりそれは正しいだけで、だから別段彼の口から発せられなくてもよかったことになる。言葉は正しくても、発せられる状況が正しくない、ということだ。
「オレの言ってること、間違ってるか!?」
間違ってはいないだけに、彼の言葉は余計に乾いたものとなってしまう。そして飲み会の席に流れる、お寒い空気。誰かが「そろそろ終電が……」と言い出すのも、概ねこのタイミングだ。この辺が、僕が数年来肝臓を痛めつけながら知った、この世の真実であるように思う。
能弁であることが悪いわけじゃない。けれど、往々にして上手いこと女性を『コマして』いるのは、巧みに寡黙さを演出している男たちなのだ。酒を飲むとどうしても口数が多くなってしまう中、彼らは強靭な精神力で己の喋りたいことを封殺し、ここぞというところできっちりと黙る。
「彼氏の暴力が辛くて、最近は付き合いがしんどくなっちゃったんだ……」
バーでサイドカーを傾けながらデートの相手がそう言った。おそらくこの言葉を向けられた時、僕の場合は
「訴訟だ。訴訟を起こそう。民事と刑事でキッチリ追い込もう」
というようなことを能弁に語り、だから彼女との関係はきっちり終電でフィニッシュすることになる。僕は帰りの電車の中で『証拠はなるべく残せ』など、無意味な義務感にかられたメールなどを送りつけるのだろう。もちろん心の中では『オレ、いいことしたな!』と確信している。
もしこれがおモテになる方、通俗的な言い方をして『ヤリチン』と称される方々であれば、「彼氏が……」のくだりを聞いても、すぐには返答しないような気がする。彼はとびきりドライなマティーニをおもむろに飲み干すと、少しだけ遠い目をカウンターの奥に向けた後、彼女の方にしっかりと向き直る。そしてコケティッシュな風情で口を開いて、曰く
「しんどいのか」
それだけポツリと呟くのだろう。そんな気がするぜ。ジュン!そして、これはヌンコがマれる音。終電はなくなり、後は始発を待つばかりになる瞬間だ。
知識として役に立つのは、圧倒的に法律のお話だ。なぜなら後者の状況で発せられている「しんどいのか」という言葉は、ただただ相手の発言内容をオーム返ししているだけだし、その言葉が有する情報量はアメーバの塩基配列よりも陳腐だ。けれど、ヤリチンの発する「しんどいのか」の六文字は、場の雰囲気や空気感も相まって、どの宗教の教典よりも尊く鼓膜に響く。そこにあって、『民事なら100万はとれるね』という僕の言葉は、本当にカスだと思う。
折に触れて黙ること、それは世を渡っていく上でかなり大切なスキルのようだ。僕はあまり実践できないからこそ、それができる人はなお更に輝いて見える。彼らが語る女性経験の話は、全体的に面白い。その時彼らはここぞとばかりに喋り捲る。あの女のフェラチオは絶品でね……と、僕らは見たこともない女性の話をする時の彼らの目は、いつだって鋭い。
彼らは決して無口ではない。ただ、寡黙になるべき状況を誰よりもよく理解しているのだ。そんな彼らの経験人数は、50や60ではきかない。きっと沈黙はしても、チン黙はしないということなのだろう。
結局のところ末尾の一文だけでも、僕は永遠に沈黙できないことがよく分かる。きっとこれもカルマなのだ。チン黙て、お前。
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往々にしてお喋り私は、面白いと思われる反面、疎まれることも多々あります。
必要な時に黙ることができるというのは、やはり立派な才能なんでしょうね。
くやしいビクビク
チン黙と聞いて、不能な友人の息子を思い出しました。
それだけです。
いつもと違うけどこういうのも良いんじゃないかな〜と思います(・∀・)
mixiは敬遠していたけど、こういう日記が読めるなら
登録してみても良いかなぁと少しだけ思いました。
肉欲さんみたいな人は、両性から好かれるのでしょうね。
理解したいのか、理解して欲しいのか。
抱きしめたいのか、抱きしめて欲しいのか。
答えはいつも……
ホット!ロッキンッッ!!
できても2日か3日です。
こういう技術を身につけるようがんばろ・・・
もっと言って!!1
説得力はプレゼン、演出で全て決まると好きな小説家も言ってましたなぁ…
分かっちゃいるけど難易度高いですよね。
肉さんカコイイ!
勇ましく語るのが良、沈黙が可、中途半端は不可という意味です。
間違えやすいのでご注意下さい。
金は昔から価値があったようですよ。
知らなかった。2倍勉強になります。
…って言ってる時点でオレも…。
雄弁は銀、沈黙は金、行動はダイヤモンド。
空気読むとか相手のニーズに答えるとかそういう能力はものすごく価値があることだとは思うけど、肉欲さんは間違ってないと思う。
>人はダンスホールでは生活できないからだ。
う〜む
た、たれかあるっ たれかある〜っ
て、手だれじゃ しゅっ、手淫じゃあ〜っ
「悪役とヒーローの同居、
思慮深い愚者の魂
背後に寄り添う賢者の遣い」
コ、コラムニストになるべくして…。
おのれっ
永久保存じゃっ!
中学生には、ちと強いかな?ww