今年に入ってからというもの、このブログにおいて 『のび太の肛門破壊シリーズ』 というマニアには垂涎の逸品を上梓し続けており、このままその流れに沿って肛門破壊的なブログを書き続けようと思っていたのですが、先日お会いした御仁が非常に苦々しげな表情で
「あれはちょっと上級者向け過ぎて自分には……普通のブログを読みたいのですが……」
などと宣ったため、大変不本意ではありますが、在りし日のことを思い出しながら、肛門破壊以外のブログをしたためよう、と思います。
女子力、という概念が提唱されてから久しい。
そのことについて一家言をお持ちの方も多いかもしれない。
ひとたびそれは脇におき、僕が見たところ対立概念である 男子力 というものに言及があることはまずない。これはまことに歪なバランスである。
なぜそのようなことになったのか。
思うに、男子力というのは即ち
「女性とセックスに至るためのテクニック」
というそれに肉薄するからだ。
もちろん、女子力にしても広く考えれば、同様である。女子力を高めた末に何があるのか、マッスルオリンピックに挑むのか、といえばそうではなく、世俗というバトルフィールドにおいて、あまねく他の女子どもを狩り、押さえ、あるいは殺し、唯一無二のATMを手にすること。それが女子力の招く帰結だ。
その過程において、当然セックスという概念もマストになるだろう。
だから、結局、女子力は 『願う異性とセックスを獲得するための力』 ということになる。
その意味で、男子力と女子力、というのは、抽象的なレベルで同一だ。
だが。
男子力に言及が不足されがちなのには理由がある。
目的とするものが女子力と同様であっても、それを培うために要するプロセスがあまりにも雑だからだ。
『LINEを導入しよう!』
俺はその雑誌を破り捨てるだろう。訊きたいのはそんな眠たい話ではない。いかにして己が有するポのチンを有象無象の誰かにブチ込むメソッドを欲しているのであって、くだくだしく入口を教えて欲しい訳ではないからだ。
『前戯を丹念に……』
殺すぞ、の世界だ。いきなり出口から先の世界をレクチャーしてどうする、ということである。そういう側面から語る男子力があってもいいが、今は話が違う。
類例として 『メールはマメに』 とか 『女性はお姫様のように扱おう』 などの言があり、その他数多くの提言を俺は目にしてきたが、ハッキリ言ってそんなものは虚仮だ。編集者が締切に間に合わせようとして無理くり作り上げた戯言でしかない。
「活字にすれば説得力あるだろ、馬鹿な読者が買うだろ、ほら買えよ……」
という、消費者を舐めくさった出版社サイドの態度を向こうに感じるべきである。唯一の例外は北方謙三先生の放った 『ソープに行け』 これくらいのものだ。
入口でも出口でもない地平に立たされた、哀れな子羊。そいつが克己して出口まで駆け抜ける脚力、それこそが男子力である。やれメールがなんだ、女はお姫様だ、などとそんなものはJPOPの作り出した歪な幻想だ。今すぐ忘れた方がいいし、そんな迷妄じみたことを流布した輩に心当たりがあるのなら、あなたの責任において、そいつを屠るべきである。そんな極悪人を野に放っていては、いけない。
ただ、そうは言っても真の男子力を語る場合、どうしてもケーススタディにならざるを得ない。分かりやすい指針でバシッと示せれば良いのであるが、おそらく僕にはまだそこまでの力は無い。それについてはここで深くお詫び申し上げておく。マジでソーリー。
■誘うとき
これについて懊悩する男性も多いだろう。そもそものステップをどう踏み出すのか……という部分、これは非常に頭を悩ませるところであると感じられる。故に世にはびこる焚書モノの雑誌、あるいはクソのようなニュースサイトなどにおいては
「相手の好みをリサーチしよう!」
などの惹句が並び立てられている。
死ね、の世界である。
なぜ我々が謙らなければならないのか、なぜ相手にお伺いを立てねばならないのか。まずはそこに疑問を抱くべきであり、真の男子力というものはそういう 「オレ性」 から導かれるのである、と絶えず覚えておいて頂きたい。
そもそも論として、相手の好みをリサーチしたとて、それが何になるのか。仮に意中の相手の好みのリサーチに奏功したとして、どうなるか。
逆の立場になって考えてみて頂きたい。
「あ、あの、Aさん辛いもの好きなんでしょ?俺も好きなんだけどさ、あの、恵比寿にそういうのを出すいい店があるらしいんだよ!今度、一緒に、いかない?」
吐き気を催すレベルのキモさである。気性の荒い女性であれば
「アーン?!アタイがいつテメーにアタイの趣味嗜好をつまびらかにした!?」
などの言と共にメリケンサックで撲殺されても文句を言えない事案だ。
相手にも心というものがあるのだ。大事にしたいプライベート、というものがあるのであり、それについての詳細を知ったこと (この文脈でいうと、Aさんが辛いもの好きだ、という繊細な情報) を奇貨として相手を誘うこと、誘う口実とすること。これは外道以外の何ものでもない。
故に、真の男子力から発される言葉は、以下だ。
「飲みに行こう」
六文字である。それ以上でもそれ以下でもない。くだくだしい前説など総じてファック、粗にして野、しかして卑にあらず。真の男としてはその辺のことを心がけたい。
相手の好みを気にかける、というのは、一見して優しい。
けれども、そんなもんは保身から発せられる動機でしかない。
リスクヘッジをしながら異性を誘う時点でしょっぱいし、そのしょっぱい姿勢は、往々にして相手にも察せられるものである。
飲みたいなら 「飲もう」 と誘う。何なら三文字でもいい。ただそれだけのことなのだ。それを過剰なまでの言説でデコレートする必要なんて、やはり、どこにもないだろう。
■飲み屋を探すまで
「今日は予約してるんだ!」
こんなものは有史以来稀に見るアホの言動である。その言葉を発した時点で
「俺は今日お前とセックスがしたくてたまらないです」
と表明しているのと同値だ。それを口頭で言うことには価値があるが、ノンバーバルコミュニケーションでそいつを伝えちまうと、女性の陰核も枯れ果てることだろう。
「んー、どうしよっか?どっか行きたいとこある?」
来世がダニになっても文句の言えない案件だ。
テメーから誘っといて無策かこの豆タンク!?と女性が激昂したとて、僕は目を瞑るしかない。広く相手の意見を訊く姿勢というのはリベラルではある。だが、関係の優劣を求める場面 (最終的に篭絡してセックスに持ち込みたい、というシーン) にあって、どうしてそこだけ平等になるのか、という話だ。
「次の曲がり角の右から2番目に目に入った店に入ろうぜ」
マーベラス。思わず新しい陰核が生えてきそうなシチュエーションだ。要するところ確定的でも無為無策でもダメなのではあるが、ちょっとした遊び心までも禁じた訳ではない。
「えっ、何それバカじゃん!」
という言質を取られれば良いのであり、続けて
「何だ嫌か?じゃあ左にするか?」
くらいの返しをしながら、心に秘めた目的地へと連れていく。こういう呼吸である。
付言すれば、僕の場合、そういうケースにおいて少なくとも5軒くらいは事前にリストアップはしておく。その上でそういう戯言を挟みながら、相手のリアクションを見つつ、かつ店の混雑状況なども加味し、最終的に入る店を決める、といった風情だ。
例外として、天衣無縫のヤリマンみたいな女と会う場合に関しては、普通に和民に行く。「おう、和民でええやろがい」 と吐き捨て、アンサーソングは一切聞かない。そういう呼吸も、もちろんある。
■飲み始めてから
「あ、お酒もうなくなっちゃったね。次頼む?」
あの世でデスペラードを奏でてこい、のケースだ。
眠たすぎて僕にはもう何も言えない。
お前はアレか?保父か?
思わず肩を揺らして問いかけたくなるほどである。
「次いっちゃう〜?同じのでいいの〜?」
お前は黙ってチンポを切れ、というリリックが爆誕しかねないモーメントだ。お前はそういう風にして全てを茶化しながら、あたかも
「ん?俺はちょっと世間を斜めにみて面白可笑しく回してますし?」
的ムードを出しながら、絶えず世間をキョロキョロ見続けて、孤独にまみれて朽ち果てていくのだろう。それも、また、人生ではあるが。
「熱燗下さい。二合」
このシビれである。
相手のことなど一顧だにしないこの姿勢である。
思わず向こうも
「えっ、いきなりそこぶっ込むの!?こちらのことなど一切慮ることないままに?!」
型のパニックへと陥るであろう。
しかし、再度になるが、我々は保父ではない。
かつ、相手は意思のない人形などではない。
酒がないのであれば自分で頼むべきであり、また、我々も己が好きな酒を飲むべきであって、そこにくだくだしい配慮などネバー・マストでしかないのだ。
「じゃ、じゃあ、私も熱燗飲んでみようかな……?」
「ええよ。すいません、お猪口下さい。オラ、飲んでええぞ」
導かれるべきはこういう空気である。
■夜も深まって
「あっ、そろそろいい時間だね。終電大丈夫?」
最早生まれ落ちたことを後悔するべきステージだ。
二人で飲んでくれた、遅い時間まで付き合ってくれた、だけど向こうの終電が気になる……ここは訊いておこう!優しさを以てして!
なるほど確かに理屈としては素直だ。
だが、立ち返ってもみて欲しい。
あなたがここに至った経緯を。
『目の前の子とどうにかなりたい』
前提があるはずなのである。
楽しい時間を過ごしたかったはずなのだ。
それは長く、より永く。
にも関わらず、自分でそれに対しエンドマークを打たんとする行為、言説、その動機は一体どこにあるんだ?
「一応、そういう気遣いを見せた的姿勢を出しつつ、的な」
的な、何だよ。的な、の後に続く言葉は一体どういうものなんだよ。言ってやろうか?
『的な自分を見せつつ、配慮のできる俺、みたいなものをアピールした上で 「今日のアタシは帰りたくない、ってキブン

ってことだろう。バカだよ、あんた……森羅万象あまねく理を越えたバカだよ……そんな都合のいいアンサーソングなんていうのはな、思うに、エロゲームの中にしか存在しないし、現実の世界にそういう人間が絶無とは言わないが、そういう女は大抵安いシャブを食っているか荒唐無稽のアバズレ、そのいずれかに相違ないのである。あなたが欲しかったのは、果たして、そういうものだったのだろうか?
何度も言うが、相手だって心ある人間なのだ。ヒューマンなのである。つまらなかったり気が乗らなかったりすれば、もっと早い段階で
「メンゴ!明日の予定でケツカッチンだから早々とドロンしちゃうね!」
なんてナウい言語と共に去っていたはずなのだ。それをせず、あなたといてくれた意味。そいつを咀嚼しようともせず、ただ己が保身のためだけ、自分が傷つくのを恐るがあまり
「終電大丈夫?」
来世がフライパンの柄になっても致し方のない話だ。
雑、あまりにも雑なやり口としか言いようがない。
「そろそろ日付が変わるな……熱燗二合」
押し並べてを熱燗で語る、夜。それはあっていいし、積極的にあるべきだ。俺は飲むぞ、と言外に宣言するそのやり口に、疑義を唱える人はどこにもいない。
相手のことを斟酌するな、ないがしろにしろ!ということではない。ないが、僕からすればそのくらいまでトークを交わしている段階で、相手の様子や明日の予定くらいは把握できていて然るべきである。それも把握せずに、押し寿司みたいな定型文で
「終電大丈夫?」
などと訊くのは、違うベクトルで失礼なのではないだろうか。あるいは、その段階に至ってまで相手の仔細のある程度が酌めないというのであれば、もう女を口説く以前の段階である。
■店を出て
「よし、じゃあちょっと休んでいこうか?その辺のルーホテでさあ」
そんなことよう言えませんわ……ワイには恥ずかしすぎてそんなこと……そんな、女性を卑下するようなそんなやり口……最低だよね……。
「ちょ、ちょちょ、もう一軒、もう一軒いこか!」
これだよ。これこれ。やっぱ日付変わったくらいでね、日和るような男にはなりたくないっつーか。ホッピーも飲みたいしよ。仕方がない、これはもう、仕方のない行動原理であり、やっぱり、ホッピーは飲みたい。
■店で飲んで
「結構飲んじゃったねー。ちょっと行っちゃう?何かラブ的なホテルに」
もうホント、獣かと……身体にチンポが生えてるんじゃなく、チンポに身体が生えてるんじゃないかと疑うレベルですわ。口を開けばマンコ、マンコ、の大合唱。そんなことで靖国の英霊が笑うと思っているのでしょうか。
「ホッピー……下さい……!」
人間としての完成型を正しく体現した格好です。俺は酒を裏切らなかったし、酒も俺を裏切ることは、なかったよね。マンコ?アルコール度数何パーセントのスピリッツだ?それは。
■チュンチュン……チュンチュン……
「朝になってしまったね、電車も動き出したし、寄ってく?俺んち」
夜もすっかり明けたというのにアワビ、アワビのその姿勢。何だ、お前の前世はあれか?海女か?思わずそんな疑問が頭をもたげてくる勢いだ。何かにつけてセックスセックスと、恥ずかしくないのでしょうか。親前で、墓前で、同じことを音読できるのでしょうか?
「頼む、少しだけおっぱいを揉ませて、ゲフッ、頂きたいのだが……!できればこう、膝枕をしてくれたような、ゲェェフ、状態で以てだな……ヒック!」
真実真正な人間(ヒューマン)像である。俺は君のメス性に惹かれたのではない、あくまで、あくまでも!女性に惹かれたのだ……というこのやり口。押しと引きとが軽妙に絡み合った魔術師じみたテクニカルさ。酔ったから色々ダルいけど、とりあえずオッパイは揉んでおきたい、という魂の発露。これが人間くさくなくて何が人間くさいというのか。何を是とするのですか。海は死にますか。山は死にますか。風はどうですか。空もそうですか。教えてください 私は時折、苦しみについて考えます。
■帰路
「じゃあ、お疲れ!気を付けて帰ってね!」
そのまま帰宅、家で寝る。起きて後、メールで「また飲もうね^^」とメール。
女「あの、お、お疲れ?つうか、あの、気を付けて帰って、ってか、帰れるの?マジで」
「ウェーウ」
そのまま山手線を2周、ないし3周、起きたら大崎とかいうよく分からない駅で絶望。全てを呪いながら池袋を目指し、西武池袋線で帰路に着く俺。帰宅途中、路上通行人と喧嘩。原因は 「テメー歩き煙草してんじゃねえ臭えんだよぶち殺すぞ」 と一方的に絡みついた故。そのまま喧嘩しながら帰宅、即就寝。起きて夕景、絶望の日没。俺はインターネットを開く。
そして書くのである。
「男子力というのはよー……」
しかしメディアに踊らされた自分が情けない…
そんな風に誘われたかった!
肛門破壊は生き急ぎすぎだったんや
情景が浮かんで楽しいしwww
通勤途中の電車内で口の内側を噛み締めながら読んでましたが、最後らへんで急にさだまさし出て来て思わず吹きました。
秀逸です。乾杯!