
その1
その2
その3
その4
その5
その6
(その6とは少し時間軸がズレています。ご留意下さい)
「ルコちゃんのパンツが見たい……」
神木キュンは心の中でそう願う。意識してのことではない。何か願いごとを、と考えた時に真っ先に思い浮かんだのがその願いだったのだ。その時、神木キュンのポケットに収められていたトランプが妖しい光を発した。
「キャー!」
突然吹き付けた一陣の風が、目の前にいたルコのスカートを捲り上げた。そして神木キュンの視線のさきには、まばゆく輝く純白のパンツ……。
「……ハハッ、本物だ!このトランプは、本物だ!」
神木キュンはフル勃起するピナスを隠すために前のめりになりながら、高らかに笑った。
・・・
【話は少し遡る】
「神木キュン、今日はイカ飯だよ」
そんなことを言いながら、肉欲がチンコの皮余り部分に酢飯を詰めて近づいて来た時、何かが弾けた。
「……もう限界です!」
これまでも様々なセクハラを受け、その数だけ涙を飲んできた神木キュン。けれどその我慢ももはや表面張力の限界だった。神木キュンは肉欲を突き飛ばして玄関に向けて走ると、そのまま家を外に駆ける。走って走って、家の間近にある公園までようやく辿り着くと力なくベンチに腰を下ろした。
「家を出たのはいいけど……結局僕には帰る家がないんだよな……」
口の中で呟いてひとり、神木キュンはうなだれる。どれだけ苛められても、どれだけセクハラまがいのことをされても、神木キュンはあくまでも肉欲の庇護下にいる。そうである以上、神木キュンには有効な抵抗手段がないのであった。彼の悩みは深い。
「おや神木キュン。一人でどうしたんっスか?」
不意に声を掛けられ、ぼうっとした頭で顔を上げる。そこには肉欲の友達であるドラえもんが立っていた。
「ああドラえもんさん。いえ、何でもないです……ちょっと一人になりたくて」
「小さい子供が一人になりたいなんて、そうあることじゃないっス。何かあったんっスか?良かったら話聞きますよ」
普段はヘラヘラとしているドラえもんだったけれど、今日はいつもに比べ格段にまともだった。一人で鬱々としていた神木キュンは、まあ話すだけなら、と思って自分の悩みをドラえもんに打ち明けることにする。
「実は僕、肉欲さんに色々いじわるされてて……あんまり家に帰りたくないんだ」
「なるほど……それで神木キュンはどうしたいんっスか?」
「家出しても住む家なんてないし、とにかく嫌がらせが収まれば文句はないんだけど」
「そうっスか。その件に関しては僕にも責任の一端がありそうだから責任感じちゃうっスね。分かりました、力になりましょう。これをあげるっス」
そう言うとドラえもんはお腹に設えられたポケットの中に手を突っ込む。どういう原理になっているのかは分からないが、ドラえもんはそのポケットの中に様々な道具を隠し持っているようだった。
「はい、これを使うっス」
「何これ?トランプ?」
「ただのトランプじゃないっスよ。それは『しあわせトランプ』っていって神木キュンの願いを叶えてくれるトランプっス」
「願いを?まさか!」
「信じる信じないは勝手っス。でも試しに使ってみるだけ損はないんじゃないんっスか?」
ドラえもんはそのままトランプを神木キュンの手の中に押し付けた。神木キュンは最初はうちこそ訝しがったものの、まあトランプを貰うくらいいいか……と思い直してとりあえず受け取っておくことにした。
「じゃ、それはもう返さなくてもいいっスからね、また!」
手の内に残されたトランプを握ったまま、漠然とドラえもんの後ろ姿を見送る。22世紀の不思議ロボットは、来た時と同じように突然去っていった。
・・・
「願い事ねえ……」
手の中でカードの入ったケースを弄びながら神木キュンは町を散策している。にわかには信じがたいドラえもんの言だったけれど、彼が何がしか不思議な道具を操るっている事実は神木キュンも知っていた。そうだとすれば、あながちウソではないのかも?いやいや、そんなドラゴンボールじゃあるまいし、有り得ないだろ常識的に考えなくても……でも、もし本当だったら何を願おうか……ううん……
「神木くんっ!」
背中から不意に大きな声を掛けられ、思わずビクンと体を震わせ立ち止まる。聞きなれた声、振り返ったそこにはルコが立っていた。
「何してるの?難しい顔して歩いてたけど!」
溌剌な調子で神木キュンの間近に歩いてくるルコ。彼女は神木キュンのクラスメートで、彼が転校した当初から特別に仲良くしている女の子だった。ルコ自身もこれまで肉欲から数々の嫌がらせを受けていたけれど、それでも神木キュンを見放すことなく付き合ってくれている。神木キュンはそんな優しくて気安いルコのことを、内心悪く思っていない。
「いや、別に何ってわけじゃ……」
ドクン。ルコの顔を見た刹那、神木キュンの海綿体にマグマのような血が激流となって流れ込む。チンコが暴れだすのを感じる。くっ、こんなところで……。
「え?どうしたの神木キくん?」
「邪気棒を持たざる者には分かるまい」
「は?」
「い、いや何でもない」
あまりの緊急事態に、思わず昨晩脳内で炸裂していた妄想の内容を口走りかけた。神木キュンはしばしば、眠れぬ夜に頭の中で様々なことを妄想する。昨日のお題は「孤高の英雄」。以下内容。ある日学校に遅刻した神木キュンは、教室に辿り着いた瞬間に回りの様子のおかしいことに気付く。誰もいない教室――否、学校全体から人がいなくなっているのだ。これは一体?!混乱する神木キュ。そンの背後から、忍び寄る一つの妖しい影、そして……「死ね!」「遅い!」一閃、背後から襲いかかってきた賊は、神木キュンの放った稲妻のような蹴りを喰らってその場に倒れこんだ。はあはあと荒い息つき、呆然と賊を見下ろしながら神木キュンは思う。一体何が――ここで何が――「おい、一体これはどういうことなんだ!」「へへ、もう遅いぜ。この辺り一体は俺たち○×△(←CIAとかKGBとかKKKとか、その日のテンションによって名前は変わる。大抵は英語。それなのに賊の喋る言葉は日本語)が占拠した……」「何だって!?狙いはなんだ!!」「さあな、へへ、俺たち下っ端には○○様(←カタカナ語の羅列。たまにゴルベーザとかエスタークとか、前後に自身が知覚した体験に強く影響される。戦国武者のような名前である場合もある。けれど組織の名前はあくまで英語)の考えることは分からんさ。ククク、しかし××を狙うためにこれだけの作戦を執り行うとは……(←××に入るのは当然その時一番好きな女の子。そんな強大な悪の組織が小学生の一女子を狙うのはなぜ?どうして?ロリコン集団?そりゃ悪だわ……という至極当然の発想にも至らない、それが小学生クオリティ)ハハハ!」「なっ……そんなこと、させるか!」そして駆け出す神木キュン。次々と襲い掛かる敵、敵、敵!神木キュンは孤軍奮闘し、ついにボスの前に辿り着く。「バカな!我々の軍勢が敗れただと!」「さあ、大人しく皆を解放しろ」「ククク、後ろを見てみろ」「なに?!」バキューン。「ぐわあああ!」「バカめ!かかりおったわ!死ね!」絶体絶命のピンチ!しかしその時、何の論理性もなく超人的なパワーを発揮する神木、驚くボス。「ば、バカな!これはこの力はギャアーーー!!」ボス憤死、そしてそこにばったりと倒れこむ神木キュン。××……××は生きているのか……?薄れ行く意識の中、泣きながら神木キュンの肩を揺さぶるのは紛れもなく××その人だった。「神木キュン!神木キュン!」「これ、神木が一人でやったのか?」「まさか!いや、でもそうとしか……」「神木キュン!死なないで神木キュン!」「ここでお別れだ……今までありが……とう……」絶命。皆号泣。「神木キュゥゥゥゥン!!!」そしてスタッフロール、曲は昨日音楽の授業で習った『翼をください』、そんな妄想をしてようやく眠りに就くのだった。(筆者注・これは何も僕のオリジナリティ溢れる物語などではなく、日本全国の男子が男と生まれた以上一度は、いや贔屓目に見ても30回以上は脳内で妄想しているストーリーの大枠です。本当です、間違いありません。僕が保障します。明日、彼氏や友達に聞いてみよう!大物になると、それを事細かに紙面にしたためたノートを有している場合もあります!その際は是非差し押さえを急いで!国宝です!)
「いや、ちょっと気分が悪くなっちゃって……」
冷静さを取り戻した神木キュンは、股間のあたりからようやく熱が引いていくのを感じる。それにしても、昔はウブでシャイな少年だったのにこの有り様。知らず知らずのうちに色んな環境から負の影響を受けているのかもしれない。
(そうだ……)
ふと、ポケットの中にあるトランプのことを思い出した。「願いが叶うトランプなんだよ」。耳朶にドラえもんの声が蘇る。もちろん完全に信じたわけじゃなかったけれど、少しは試してみる価値があるかもな、神木キュンはそんなことを思った。願い、願い、神木キュンは頭の中でぐるぐると思考を巡らせる。そして……
(ルコちゃんのパンツが見たい……)
性の萌芽、こうして少年は大人の階段に一足踏み込んでいく。
5月にある女性は言った。
「あんな布キレを見て、何が楽しいの?」
否、それは違う。パンツは決して布じゃない。じゃあシルク?いや、素材の話ではなく、パンツは最早着衣という概念では括れない。あれは譬えるなら聖衣(クロス)。それ自体が独立した思考・意思を持って女性の価値を高める小宇宙(コスモ)を有している。そしてそれは決して男性の手には入らない。それは永久(エタニティ)に――そうであれば、man of menたる僕たちがそのご本尊(パンツ)をこの目で見たい!嗅ぎたい!集めたい!と願う我々のプラーナ(≒気)を誰が咎められようか。誰も止まらない止められない、俺たちは暁のイージュライダー。だからパンツが、見たいんだ。
(パンツが、見たい!)
神木キュンがそう願った、次の瞬間!
びゅるり。
「え……?」
何の文脈もなく突然巻き起こる一陣の風。慌ててルコは己のスカートを押さえつける。しかし巻き起こった神風は全ての論理、あらゆる真理を凶暴に破壊し、荒々しくルコのスカートを捲った!捲った!捲り上げた!くりいむレモン!
「キャー!」
(やった!しあわせトランプに狂いなし!)
心の中でガッツポーズをキメる神木キュン。半泣きになりながらスカートを押さえつけるルコ。
「もう、嫌な風!」
「最高だよドラえもん……!これで肉欲に復讐した後は、僕が新世界の神n」
ドカン。力強く神宣言をしようとしたその刹那、神木キュンは突然後ろからやって来たカローラに跳ねられた。瞬時に世界が流転する。
『人って、本気出せばあんなに飛べるんだなって思いました』(ルコ、当時を振り返って後に述懐)
糸の切れた操り人形のようにカローラに吹き飛ばされた神木キュン。そこにどこからか現れたドラえもんが歩み寄った。
「あwww神木キュンwwww言い忘れてたけどあのトランプwwwww最後のジョーカーが残った状態で所有してるとパネエ不幸が降り注ぐんっスよwwwwwサーセンwwwwwあ、もう遅かったっスかwwwww冗談キツイっスwwwwwwシコシコイクイクワイマールwwwww」
薄れいく意識の中、神木キュンは脳内キルノートの『一両日中に殺すリスト』にドラえもんの名前を書き加えた後、意識が飛んだ。
【神木キュン、入院一ヶ月】
参考:しあわせトランプ
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【notice】
明日ラジオやるかもです。
多分22時くらいからになるかと。
その場合は明日改めて告知しますね。
神木キュンがかわいそうです><
イカ飯は神がかり的なクオリティ!!ワロタ
どんだけ皮があまってるんだwww
無理しないでくださいね(^ω^)
神木キュン…肉兄の影響受けすぎwww
ランクが2位になってるっ><
おめーー
神木キュンがもらった時既に残り2枚だったの?
野暮なこと聞いてスミマセソ
むしろジョーカー入りで2枚しか残ってない奴をドラちゃんが周到に用意していた、と読むんじゃね?
イヤァーーーーー
神木キュンはどこまで最悪人生を歩み続けるのでしょう!!笑
ラジオー!!!!!!!!!
念願です☆☆
楽しみにしてます!!!!!
女だけど( ・ω・)
キュンの変わりようが怖いです。リアルに。
神木キュン中二病www
中二病www
携帯で聞ける方法はないんでしょうか…。(゜´Д`゜)。
\(^o^)/
なんで小学校の頃って覚醒とか大好きなんでしょうかね…「覚醒」、「舞台は学校」はガチ
神話の「黄泉の国から逃げる話」みたいに、
示し合わせたような共通点が多くて凄く気になります。
しかし肉さん、結局アニメは『くりいむレモン』にしたなんて。
是非レクター博士を肉欲に召(ry
お願いします
追記
黒歴史Note・・・去年の暮れに母に見つかりました
男の子は誰だってヒーローなんだお( ^ω^)