「なんか、戦闘シーンとか書いてみたい」
ある日そんなことを思い立って、そこからwordを開いて気付いたら2時間。ようよう1万字ほど書き上げた僕の目の前にあったのは、未だ裏山で『どうやって学校を変えさせるか?』を議論するのび太たちの姿だった。
「これ、終わるのん?」
予想は的中する。どれだけキーボードを叩いても、しかし物語りはさっぱり終わる気配を見せない。3万字、4万字、と字数だけは増えていくのに、心象描写と情景描写だけが増えていくばかりで、少しも物語が進まない。
「早く鉄砲とかぶっ放すシーンに入んねえかな。グダグダし過ぎてんじゃないの?コレ」
けれど戦闘をリアルにしたいからこそ、そこに至る経緯を精緻に描きたくなる。理由を持たない戦闘を描いたとしても、そこにはカタルシスが全く存在しないからだ。
「これ、書き上げて誰か得するの?」
8万字を越えたあたりからそのように思い始めた(『その18』のあたり)。ひたすらに自分と向き合って言葉を紡がなきゃいけないし、またキャラの性格が破綻しないように頭の中でキャラクターと問いあわなければならなかった。これが存外辛いもので、夜中
「のび太が泣いてる瞬間、スネオはどんな顔するかな……」
なんて一人頭の中でぐるぐると考え続けていると、却って僕の方が泣きそうになった(その行為の非生産さ具合に)。文章構成にしても
『でも』『だが』『しかしながら』『けれども』
などなど、接続詞だけで相当悩む。
「あー!この部分『しかし』が重なってんじゃん!どうすんの。どーすんのよオレ?!」
鹿児島で一人、心のシャウトである。色んな語句、文末などを重複させないように物語を描くというのは相当にキツかった(それでも未だ目に付くところもありますが。ちょこちょこ修正したりしてます)。
「どーしてこの星で戦争が起きてんだよ!」
『どうして?』も何も、自分が決めた設定なわけで……とは言え、正直に言うと何度もその設定を破壊しかけた僕がいた。だってテーマが重いんだもん。特にタカベがエイレーネーを説得する、という流れを考え出すまでが一番詰まった。今考えたらあの設定でまあ大丈夫っぽいんだけど、当時は『何か考えがあるのか?』っていうタカベののび太への問いかけに対して
「何かあんのか?」
って、僕自身が問いかけたかったキモチだったもの。なーんも考えておりゃせんかった。いや、それを言ったら『その1』の最初の一行を書いた時点から、既にノープランだったよ。シベリア超特急、まさかの見切り発車。そんな状態。さよならさよなら、さよなら。いや、これは違う人か?!それはどうでもよろしい。つーか、『タカベの首をパルスタに渡す』っていう落としどころが無くなったのに、どうやって戦争を終えさせんの?!オレは泣いた。泣きながらキーボードを叩いた。この期間だけはまさかの断酒でした。酒飲むと思考が停止するから。どんなきっかけだよ。
「つーか、何でこんなの書いてんだろ?!オレ。誰も得しないのに」
そんなことを思ったのも一度や二度ではない。10万字を越えた頃からその思いはどんどん強くなり、終いにはあらぬ妄想まで頭に沸いてくる。ブログにアップする前提であの文章を書いてはいたのだけれど、書いている途中で脳裏に浮かぶのは
「キメエwwww」
「設定が厨っぽいwwww」
「長杉。読むのマンドクセ」
「>裏山 まで読んだ」
そんな架空のコメントの乱舞。それと平行して『今、自分が行っている作業は果たして、誰が求めているものなのだろうか?』――という生産性のない思弁の繰り返し。
「でもまあ、これ面白いと思うよ?」
そんな時に支えてくれたのが一人の友達、ブログで歌まで作ってくれた竹下くん。僕は2万字ずつほど書き上げる度に
「なあ、これどうよ?!どうよどうよ?!」
など、半ば半狂乱になりながらメッセでwordのデータを送ってた。
「面白いよ。続き読みたい」
簡素な言葉だったけれど、やはりそのメッセがモチベーションに繋がったのは間違いない。メッセを立ち上げた瞬間から『トリユが〜』『ヒストリアが〜』などなど、エスペラント語よりもどうでもいい話題ばかり投げかける僕を無視しないでいてくれた竹下。
「一応、ラストを2パターン考えてんだよね。のび太の第二子を『ユメ』にするか、ヒストリアからの転校生を『ユメ』にするか」
「原作にない設定を創出するのはどうかと思うなあ。後者の方がいいんじゃない?」
活きたアドバイスも本当に助かった。激励と助言と、それらがなければ『のび太と傭兵』は決して日の目を見なかっただろうことは確からしい。本人は嫌がるだろうけれど、改めてこの場で謝辞を述べておきたい。ありがとう。
今回の記事(僕は自分の書くものを『記事』と呼ぶのにはものすごい抵抗があるのだけれど、さすがにあれを『日記』と呼ぶのはものすごく苦しいので今回に限り『記事』と呼ぶ)は本当に苦しくて楽しかった。楽しかったのは、やはりドラえもんというキャラの立った登場人物を扱える部分。改めて地の文を増やさなくても、読んでいる人にとって想像しやすいキャラだったからその辺りはある意味楽だった。
苦しかったのも、やはりドラえもんを使った部分。
『そんなのドラえもんじゃなくね?』
と言われないようにキャラを動かす作業は、本当にキツかった。特にテーマがテーマだったから、その辺りを矛盾なく書き上げるのは時間がかかった。
アップするかどうかは、ものすごく迷いました。一つには書き上げた段階で12万字もの量になっており、それを見た瞬間
『こんな量、誰も読まないだろ常識的に考えて……』
という思いが湧き上がったから。もう一つには、普段がチンコマンコなブログなので「こんな日記イラネ!」とか言われたら凹むなー、という気持ちが少なからずあったから。チンコ要素もマンコ要素も一切ないし、もちろん入れる気もなかったのだけれど。
それでもアップしてよかったです。結果論だけど。あんなにコメントが付くとは思わなかった。 最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございます。疲れたでしょう?お疲れ様でした。
とにかく。
今回の『のび太と傭兵』を書き上げることができてよかった。もちろん『二次創作』というものは、その性質上他者の尽力(この場合藤子・F・不二夫氏)の上に立って作り上げる書き物なわけで、それが一定程度面白いのは、ある意味当たり前だと思う。そこにあっては何かを書く時に最も大事な
『登場人物のキャラを立てる』
という作業が不要になるから。それに加えて今回用いたのが『ドラえもん』という国民的漫画キャラなのだから、まあ随分楽をさせてもらったことになる。
結局、己の実力が足らないから二次創作に走ったんだろ?と言われればそれまでですし、個人的にもそう思っています。どれだけ頭の中で物語をこねくり回しても、パロディはパロディ。お前さんは頑張ったかも知らんけど、突き詰めれば創作能力が欠如しているんだよ、という指摘は甘んじて受け入れなければなりません。
でも、もしあれを読んだ人にとって。
少しでも『時間を割いて読んでみてよかったなあ』と思える仕上がりになっていれば。
――ちょっと嬉しいなあ。
【参考図書】
『傭兵の誇り』(高部正樹著)
ゲストキャラ・タカベのモデルになった実在の人物です。とは言っても名前を借りただけなんだけど。この本は面白いですよ。是非一度ご覧になってみて下さい。
・・・
明日からはいつも通りに女性器・幼児性愛などに特化したブログに原点回帰する予定です。これからも末永くよろしくお願いします。あと、ブログランキングをクリックして下さった方、どうもありがとうございました。非常に励みになりました。
では、また。あ、それと『のび太と傭兵』への紹介リンクはご自由にどうぞ!既に沢山の方からブログやmixiでご紹介いただいており、本当に嬉しい限りです。重ね重ねありがとうございます。
人気ブログランキング
あんた最高だよ!!
感動をありがとう。
そして、これからもよろしくお願いします。
日記・・・ではなくて、記事おもしろかったです。
いつもの日記もおもしろいですが、
たまにこういうのもおもしろいですね
これからも肉さんのブログ楽しみにしてますね(゚ε゚)
本当に乙でした
めちゃくちゃ泣いたもん。
なんか考えさせられたもん。
惚れた
また大長編とか期待してますよ〜
ちょっと落ち込んでたけどあとがき読んでなんかこう言葉では表せない良い気持ちになりました。
本当にありがとうございました。
愛してる!
みんな「得」したんでしょうな
得って言い方もアレですがね
自分もそうです
肉さんほんとにありがとう
面白かったです( ^ω^)
夢中で読みましたw
おつかれさまでした。
あれだけの長さを読んで、あれだけのコメントを皆さんがされてるのです。
得とかってレベルじゃねーぞって感じ。
更に言えば、二次創作ではあるかもしれませんが、国民的キャラクターを使って、否定的な意見ではなく皆さん読めた事を喜ぶ内容のコメントとなってるということは、そこらへんに転がってる二次創作とは比較にならない内容。って事だと思います。
いやはや、読めて感謝です。
あ、特技は秘密ですが、性感帯はアナルです。
道具の使い方とか上手すぎるし。
20話とか最終話とか普通に泣きそうになりましたよ。
二次創作でもこれだけの作品を書き上げられるのはやっぱり凄い事だと思います。
次回作はのび太のくそみそテクニック」でお願いしますw
記事の内容に感動しましたしセンターの時期と重なっていたせいか、ゆとりとスパルタについて考えるきっかけになりました。そういう意味でも『得』をしたのかもしれません。
それと肉さんのドラえもんに対する愛着みたいなものが感じ取れた気がします。
お疲れさまでした。面白かったお( ^ω^)
肉欲さんのエロスに惹かれて読み始めたこのブログですが、エロスがなくても素晴らしいブログだと改めて感服致しました。
私にはこの物語を読んで充分に得るものがありました。
ドラえもんで泣けるなんて・・・。新たな発見もありました。
これからもエロスやエロスでない日記を楽しみに待ってますネ。(*´∇`*)
お疲れ様でした。
肉欲さんこそお疲れ様でし!!
おかげで寝不足になりましたよwww
肉さんまたぜひ記事書いてください!!
これからも毎日見ますね
本当にお疲れ様でした
あらかじめ道筋を決めずに、これだけ魅力的な作品を完成させたことには驚くばかりです
これからも楽しみにしています
素晴らしい作品を読ませて頂き有難うございました
肉さん、最高です!お疲れ様でした。
感動をありがとう!
次はエロの方向のやつ楽しみにしてます!
やっぱ読み手としては二次創作だとすでに頭の中で元々のキャラ像を知っているからイメージしやすいですよね。それも皆を惹きつけた理由の一つかも知れませんが、やはりココまで皆が読んでくれたのは肉さんの文才力だと思います。細部まで生き生きとした描写があって素晴らしいです!!自分もそんな風に掛けるようになりたいな。。
長々とスミマセヌ:;
なんつっ亭☆
ノープランだってのに驚嘆。
じゃあ計画的作品だったら私どうなっちゃうの…?(きっと空も飛べるはず)
まぁ、ちょっと精神がアレでグロッキーだったのに、肉欲さんのお陰で助かりました。
精神値−82→127(上限100)に回復です!
だから「何の役に」なんて思わないで下さい。
肉欲さんの存在は確かに生きる希望に繋がります。
…あれ?重い、重すぎる。
そんなんじゃなくて
こんな変なおかしな魅力的な人がいるってのは人生に彩りを加えますね。
今回のはいつもとは違って、キャラクターのアーキタイプに則った展開だったのが、より、こう、あれだ……
……
…肉さん大好きー!!!(強制終了)
夢の説明で「あんなこといいな、できたらいいな」を使う所に才能っぽいものを感じました。
ありがとう、だいすき。
それでこんなに素晴らしい作品を書き上げただなんて…。
登場人物も自分のイメージと変わらないし、すごく読みやすくて心に入って来やすかったです。
うまくは言えませんが、ありがとう。
肉さん大好きだー!
いい物を読ませていただきましたよ
素晴らしい作品でした。お疲れ様でした。
おつかれんこんです
簡単に書けるものではないですもんね。
お疲れさまでした。次回作にも期待しています( ^ω^)
最高でした。
これからも期待してます。
これからも楽しく記事&日記読ませて頂きます(´∀`*)
最後まで素晴らしい出来でよかったです。
感動を
あ り が と う
誰かこれの予告編、FLASHムビで作ってくんないっスかねぇ。
マジで映像見てぇ。
ただ不満なのは…
公衆の面前でニヤけてしまうことくらいだな!!!
性的な日記も真面目な方も大好きだYOー
あとなんかメタルギアやりたくなった
2度読んでも泣ける作品に出会ったのは生まれて始めて
設定が厨っぽいwwww
長杉。読むのマンドクセ
>裏山 まで読んだ
ウソです。ガチで勘当した。
友達にも紹介したいと思ったブログは初めてです。有難うございます。
藤子先生の頃の大長編の魂を感じた作品です。
是非とも誰か漫画化してくれないものか、もしくはFLASHアニメにしてもらえないものでしょうか。
あとは出来るとしたらラジオドラマ?
好きです。
わくてかがUPするから
てゆーか面白すぎ
それでも読み続けちゃうくらいオモシロかった(・∀・)
ありがとー!!
ありがとうです。そして、ご苦労様です。
あぁ、目から熱いものが・・・・
「自由」と「責任」。
まさにその通りだと思います。
短絡的なところも多かったけど、
読めてよかったと思いました(^^)
面白かったですよ、ええ。
おかげ様で仕事が出来ませんでしたw
最後まで読ませていただきました
すごく感動させていただきました。ドラえもんが助けに来たところとタカベさんがお亡くなりになったところは泣きました…
本当にF先生の大長編に勝るとも劣らない出来だったと思っています。
最後になりますが、あんなに長い作品の完成させてお疲れ様でした。
もしよければこれと同じ名前でmixiやってるので僕のページに遊びに来てください。
喜びます
長々とすいませんでした。失礼します
今、私も戦争についての話を書いていま
す。
こんなに内容が詰まっていて、わかり易
いお話を読むこと出来て幸せです。
とても参考になりました。
マジで。
映画化してください!
大人も楽しめてかつ子供に見せたい漫画「ドラえもん」にこれほどふさわしい話はありません。
ショウガクカンに無理と言われたら
死んでも署名集めて説得します。
今の日本にこの映画は必要だ・・・・
あまりの深さ、感動、面白さについ徹夜してしまうほどでした。
ああ、こういう風に戦争は起こったのだろうか、などと柄にもなく考え込んだりしました。有り難う御座います。本当に、有り難う御座いました。お疲れさまでした。