1999年1月、信州・長野。
肉欲棒太郎16歳の声ならぬ叫び、魂のシャウトが志賀高原に炸裂した。
肉欲棒太郎、高校一年生の冬。
修学旅行の行き先は長野だった。
4泊5日、スキーの旅。
かなり、しょっぱい。
生来運動が嫌いな僕なので、修学旅行などは京都に行って八つ橋食べて一丁上がり、と思っていたのに蓋を開けてみれば雪中行軍のスキー旅行。陰謀、KGB、タリバン、などなど様々な言葉が脳裏を過ぎる。
けれどどれだけ僕が苦言を尽くしても体制には勝てません。
「俺は仏像が見たいんだ!」
そんなにわかな仏教精神は人畜のような公僕(いわゆる教師)に完全にシカトを決め込まれながらも、僕は新幹線に乗る最後の瞬間まで「京都行こうよ……京都行って通天閣にお参りしようよ……」と悲痛な祈りを口の中で呟いていた。が、あまりにも無力。新幹線は京都を軽やかに過ぎ去り遥か名古屋にたどり着く。俺には何もできないのか?チクショウ!俺はヤケになって手の中の缶を煽った。
「おい女将、もっとポテチ持って来い。コンソメだぞ」
「肉さん、もうやめなって。そんなに飲んだら身体に障るわよ」
「うるせえ黙ってろ!スプライト出せ」
「そんな微炭酸のものばかり飲んでたら、アンタ肝臓がどうにかなっちまうよ!」
「やかましい!俺の身体だ好きにさせろ!いいから竹の子の里もっと出せ」
「ダメよ。アタイはこれ以上アンタが堕落していくのを見てられない。さあ帰って頂戴」
「分かった俺が悪かったダイエットコーラにする」
「もう看板なのよ。さあ帰って頂戴」
「黙れこの淫売!」
「痛い何するのよ!アンタなんて人間のクズよ!ところでアンタのチンポ大きいわね。あまつさえギンギンになってるじゃないの。ちょっと舐めてあげようか」
「今日はダメ。あの日だから」
「どの日なのよ。さあお出し」
「イヤァ!いややー」
「ペロペロ。杉本ペロ」
アナウンス『…間もなく長野、長野です……』
鬱屈した気持ちを抱え新幹線でやけコーラを煽っていた僕でしたが、トンネルを抜けるとそこは長野でした。駅は冬季オリンピックの名残を残しつつ、五輪が終わって一年が経とうかというのにどこもかしこもオリンピック色が目立つ。率直に言って死ね、と思った。運動ができる奴は皆憎くてたまらない。
そして始まるスキー教室。吹き付ける寒風、爽やかなコーチたち。
「さあ、ボーゲンから始めましょう!」
ボーゲンで終わりましょう、などと正直すぎる意見はそっと胸にしまい込む。僕は基本的にチキンだから。表立って悪口は言わないけれど、裏で死ぬほど毒づいてやるぜ。どうせこのコーチも夏になれば無職ヒキニートなんだろ、黒そうなチンポしやがって!将来俺が官僚になったら草の根を掻き分けてもお前を探し出す、お前の消費税だけ1005%にしてやんよー、という感じでポジティブにモチベーションを高揚させながら僕は素直な生徒を演じきった。
「ハの字、ハの字……!」
なぜ俺はこんな極北の雪山に来てまで内股をマスターさせられているのだろうか。胸の奥で憎悪の炎が再びたぎる。脳内で通算30回目の「ハの字」コールが行われた時、僕の鼓膜に広瀬香美の甲高い声が鳴り響いた。俺はキレた。
「ふざけろ!何がロマンスの神だ!俺は仏が見たい。そうだ京都に行こう」
ゴーグルを引きちぎってストックを投げ捨てる。
入京だ!と叫んで僕は雪山を降りようと駆け出した。
その時
「はい肉欲くん、ちゃんとボーゲン覚えようね」
「押忍、超頑張る」
コーチのゴツゴツとした野太い腕が僕の肩をムンズと掴む。
出たよ、力による抑圧。
筋肉による支配。
これだから体育会系は……僕は目論見を諦め、遥か京都の方向を見つめた。何も見えなかった。
「いやあ、馴れないスキーするとやっぱり疲れるねー」
「お疲れ様、ケンちゃん。ファンタ飲む?」
「ありがとー。女子の方はどうだったの?」
「たぶん男子と同じプログラムだったんじゃないかなあ。アタシも疲れたよー」
「ちょっとくらいハードな方がダイエットにもなるんじゃないの(笑)」
「あー!ひどーい!o(´□`o)ポンポン!!」
「アハハ、ごめんよチーちゃん」
-----
ホテルのロビーでは不純異性交遊をキメこんだ一部の同級生カップルどもがそんな光景を繰り広げていた。一方俺はゲームコーナーで黙々とストUをプレイ。背後にBoys be...なやり取りを聞きながら。あの日ほどソニックブームを生で撃ちたいと思った日はなかったよ。
「クソ!体がいてえ」
「肉ちゃん、それは運動不足だよ」
「黙れ俺はデスクワーク専門なんだ」
僕の部屋は四人部屋だった。畳の上にゴロリと寝転び、雪景色を眺めた。明日までにこの雪が全部溶けないかな、そんな清らかな願いを胸に携えて。
-----
「修学旅行、楽しいねチーちゃん」
「うん、こうやって二人になれたしねー」
「ここだったら誰も来ないかな?」
「地下だし……大丈夫じゃない?」
「そうだよね、夜も一緒になれたらいいんだけどなー」
「でも先生とかの見張りも厳しそうだし…」
「さすがに無理かなあ。あはは」
「えへへ」
-----
肉欲「おい、吉田、お前確かチンポでけえって言いよったな」
「おお、ぶちデケエよ」
肉欲「ちょう見せれや」
「おお、驚けや」
肉欲「ぬぅ……これは確かに見事なイチモツ……ちょう勃たせてみろや!勃たせれ!」
「無理やって!雪山で勃つか!」
肉欲「勃起してもサイズが変わらんかもしれんやろうが!ええ、俺が勃たせちゃる」
「いやや!いややー」
肉欲「大丈夫、ティッシュ越しにやっちゃるけえ」
「いややー」
-----
恋人たちが蜜のような時間を過ごしているというのに俺たちときたら……。
僕は吉田のチンポをさわさわとエンジェルタッチしながら、果てしなく泣いた。吉田のチンポは岩よりも静かなままだった。
-----
その夜。僕はクラスの仲のいい奴らとトランプでもしようと思い、他の部屋に赴いた。
「おばんでやんす!あれ、利川は」
「どうも彼女のところに行ったらしい。階段で誰ぞ見たと」
ブチブチ。俺の中で何かがキレた。
「もうダメだ!もうワシは羊を装うのをやめる。行くぞ、お前たち」
「行くって肉ちゃん、どこに」
「ワシ、マンコが見たい。女子風呂に討ち入っぞ!」
「肉ちゃん、それはあまりにも!人としてダメだよ!」
「じゃあ俺は人間をやめるぞ」
「「「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!」」」
こうして信州・長野の夜に長州の維新志士4名による『女風呂・覗き見隊』が結成された。僕は吉田松陰的なポジションに就任した。
「けど肉ちゃん、風呂は地下だし、壁も鉄壁だったし、およそ覗ける要素なんてなかったよ。窓もないし」
その通りだった。
我々が事前に調査したところによると、ホテルの風呂には窓もなければ壁に隙間もない、だから風呂はまさに鉄壁の要塞であり陸の孤島アルカトラズ。ここで覗き見を行うというのはセロをも超える奇跡のイリュージョンなのだ。これには流石の猛者(TASHIRO)たちも諦めざるを得ない……と思われたその時。吉田松陰たる僕のブレーンが明晰な答を出す。
「策なんてあらへん。正面突破やでぇ」
「そ、それはもしや!」
「入り口があるやないか!」
「そればかりは盲点!」
まさかの奇襲、超角度からのカウンターパンチ。
窓がなければ正面から覗けばいいじゃない。
これが僕の導き出したファイナルアンサー。
「リスキーだ!それはあまりにも」
「なに、案ずることはない。こういうこともあろうかと、予防策は持っている。これを使うんや」
僕はカバンに手を突っ込み、ガサガサと何やら取り出す。
「おお、これや。これやでぇ」

「確かにこれを被ればあるいは……」
「犯行はあくまで馬によるもの、幸い日本には馬を罰する法はない」
「完璧じゃないですか」
「でも他の3人はどうしましょう」
「俺は素顔が好きなんだ」
こうして、先頭に馬一頭、その後ろにありのままの男3匹が連なり僕らは女湯に向かった。明日のために。自分自身を取り戻すために。
男湯の隣に女湯はあった。
赤い暖簾が扇情的にはためいている。
リサーチによると、今入浴しているのは1年3組と1年4組。
僕は脳内のクラスアルバムをめくる。
確か3組には「ロッキー山脈」と呼ばれる巨乳の女子がいた。
さながら僕の心境は伝説の登山家だった。登りきる、この険しい山を!僕は決意とともにザイル(チンポ)をギュッと握り締めた。
通路に人はいない。全ては僕らを味方している。
あとはヘヴンズドアーを開くだけだ。
(いけ、馬……!)
(OK、マイマスター……!)
馬(後の立教大学生)が静かに女湯のドアノブに手を掛ける。その手が僕らの目の前でゆっくりと下ろされ、そして桃源郷のドアがゆっくりと開かれていき……ほのかな湯煙の香りが僕らの鼻腔を刺激し始め、そして……
「やっぱりダメだよ!こんなの!」
突然誰かが叫び、脱兎の勢いで廊下から駆け出した!
それを受け、弾けたように逃げていく維新志士四人。
ミッションスタートから僅か2分。
通路には誰の姿もなく、ただただ静寂だけが残っていた。
ちなみにドアが開く前にチキンハートが炸裂したチンカス野朗。
最もカルマの深い罪人、それは誰だったのか?
今となっては答は風の中にしかありません。
そして俺は多くは語らない。
ただ、後になって肉欲某というブログを開設した、という噂だけがまことしやかにささやかれているけれど、真偽のほどは定かではない。
俺は多くは語らない。

ガチワラwwwwwwwwww
そうだ!ボクはまだ修学旅行が残ってる!
むしゃしゃ
新発見
ロッキー山脈にはデスマウテンが存在している
また吹いちまったいv(`∀´v)
風呂場に向かう廊下の時点で職質されましたけど。(主に体育教師)
やっぱ肉欲さん最高です。
パイオツをリコリコしたした方も肉欲某というブログを開設したらしいですよ。
肉さん乙。
ここでこのチョイスの発想はないムガwwww
授業中ふきそうで困ったwww
どんなに注意をしていても、必ずどこかで落とす。
何故だ…
ところでさ、本名出すなやぼけ。
勘弁してよ、最高やね
ピアノでクラシック弾いた直後の女に
むしゃぶりつきたいって人。
にしても馬WWWWWW
ポテチにスプライトwww
先輩フラグキタコレ!