肉欲企画。

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2012年02月17日

心の後出しジャンケン

どんな下着が好きですか?

新宿、午後9時23分、@白木屋。
あなたが目の前の女性からそう訊かれた場合。

 
 
その脳内には様々な想いが過るに違いない。目の前の人間との関係性にもよるが、思うに、純度1000%の本音をレスポンスするオスは、ほとんど皆無と言えるだろう。

(どうしてそんなことを尋ねるのか?)

よほど酩酊しているケースはさて置き、通常は真っ先にそこのところを考える。相手が何を期待しているのか?どんな言葉を狙っておられるのか?本音をぶつけても許されるメス、オア、ノット?無意識的に様々なハードルを見据える。

(最適解はどこなのか?)

人と人とのナマの触れ合いには、温度がある。だが、温度というものは目に見えない。故に、繊細に相手の温度を推し量り、自らもその温度に適した言葉を返さなくてはならない。我々が最適解を探る瞬間である。

「あ、アテントかなぁー」

本音ではあるのだろう。包み隠さず己が価値観を曝け出すその姿勢は、極めて実直だ。けれども、そのボールにはちょっとフックが効きすぎている。危険球のラインを超え、いっそ中性子爆弾のテイストだ。目の前の女の生理もたちまち上がること請け合い。

「なんでもいいよ、その人に似合っているものだったら……」

結局、無難な地点に軟着陸するしかない。相手との関係性が微妙であればあるほど、僕たちは安全な妥協点を模索することだろう。その返答が、抱える本音と極北の位置にあるのだとしても。

かくして、主観的な話題・価値観の表明には、繊細なハートが求められやすい。そこに唯一無二の解答など存在しないからである。

あなたの価値観が目の前の相手と合致すれば問題ない。だが、残念ながら異なってしまったとき。あなたの発言は相手の価値観を否定してしまうだろう。

男「やっぱ、Tバック!Tでしょ!あのワイルドな風味、むき出しのケツ。そこに滋味を感じないヤツは、オスじゃないね」

女「やっぱり男の人ってそうなんだ……露出度なんだ……だから最近、彼、求めてこないんだ……」

ほとんど辻斬りのような女である。というか、そういうことなら最初からそう聞け!そう叫ぶあなたの意見は正しいが、そのロジックはもはや通用しない。既に彼女は 【Tこそマスト】 確信してしまったのだから。

人は見たいと欲するものしか見ない

カエサルの言葉だ。目の前の女は、端っからあなたの言葉など、どうでも良かった。ただ自らを取り巻く不遇に納得のいく響きを、調べを。"男性という一般概念" の中から引き出したかっただけのことだ。

その意味からすれば、この文脈では 「俺はアテント!」 とシャウトしていた方が、よほどマシだっただろう。さすがにアテントを "男性一般におけるラブな価値観揺れるハート" と解釈するアホはいないハズだからである。いたとしても、目の前のそいつは有史以来稀に見るアホの可能性が高いので、さしたる問題もない。3歩も歩いたらスッカリ忘れているだろう。

結果として、他人から価値観の表明を求められることが苦手な僕である。『その背後に潜む狙い』 を読み解く行為が、おそろしく面倒だからだ。抜き身の価値観を無遠慮にぶつけ、挙句痛い目にあった経験も、一度や二度ではきかない。

だから、ブログの内容にも慎重になることがある。僕はNTRが好きだ!その表明はフラットだが、皆さんにおけるそれぞれの解釈は、決してフラットではないだろう。いや、僕のことはどう解釈されても構わない。だが、僕による 「NTRが好きだ!」 という発表により、NTRという概念全般が、あるいは、男全般という観念が。極めて歪曲された形で受け止められてしまったら?そのとき俺に、責任がとれるのかーー?

目に見えない、顔も窺えないやり取りであるからこそ。繊細になる瞬間も存在する。一方的に価値観を表明するようなやり方で、いいのか?!葛藤を覚えてしまうのである。

実に1000回に1回くらいは、そんなメロウでセンチな心境でパソコンに向かっている……そう考えてもらって構わない。残りの999回は、まあ、特に何も考えずに書いている。

無責任でいられる時、たとえばブログを書くようなシーンでは、ダイレクトに本音を投げる。責任を求められる時、たとえば顔を付き合わせての会話では、なるべく三味線を弾く。

大体そういう感じで切り抜けるようにしているのだが、しかし、どうしてもそれが通らないケースもある。

「どんな下着が好きなの?」

そのリリックを、彼女や妻からスナイプされる場合である。

「えっと、まあ、似合う感じなら……」

「だから、それはどんなの?

察しろよ!もう!だが『察しろ』、その釈明は彼女・ザ・鬼警部には遠すぎて、脆すぎて、何も言えなくて、夏。僕らはすぐさま半落ち寸前、窓越しに寺尾聰ライクな己のフェイスを見ることだろう。だが、それでも

「パンパース……」

言えっこないのである。いや、言うわけにはいかないのだ。それは別に『そもそも、パンパースは下着なのか?』 眠たい議論を避けたいからではない。あくまでも

「パンパースは好きだが、別にお前に履いて欲しいわけじゃない」

結論がそこに帰着するからだ。極めて微妙な心の性感帯、そいつは恋人にだって隠したいときも、ある。

「ぱ、パンパース……買ってきたよ……(///)

違うのである。いや、間違ってない。だが、正しくもない。分かるだろうか、この繊細で絶妙なタッチが。

かつて、もんた&ブラザーズは『ダンシングオールナイト』という楽曲の中で、こう歌った。


Dancin'all night 言葉にすれば

Dancin'all night 嘘に染まる



その価値観は、その生生しい想いは。言葉にした時点で嘘に染まる。なぜなら彼におけるアテント、パンパースなハートは、極めてアプリオリ(前経験的)なリビドーであり、その想いを、あるいは情熱を、言葉で誰かに伝えることなど、およそ不可能であるからだ。また、それが複雑で微妙で身勝手なタッチであればあるほど、誰かに押し付けるような真似も、したくはない。

「パンパース、履いたよ……(///)

そのシーンを見た彼の心にあるのは、興奮ではなく、確実に懺悔。

『身勝手な俺の価値観を、身勝手に押し付けてしまった……』

好きな人にだからこそ抱いてしまう、切ない絶望。魂のすれ違い。このあたりは非常に難しいテーマである。

どんな下着が好きなの?

かつて、俺も彼女から訊かれたことがある。
そして当然、上述したような葛藤に苛まれた。

だけどその日、意を決してこう告げた。

「縞パンとか、いいんじゃないですかね……」

「えー、縞パン(笑)はないわぁ〜」

じゃあ訊くなよ!テメエ!!!俺は一瞬にして無差別殺人犯のソウルに共鳴した。まあ、だからと言って彼女に縞パンを買って、履いて欲しかったわけでは、毛頭ないのだが……。

「縞パン(笑)以外で何かないの?」

「敢えて言えば……パンティのサイドの部分、腰から脚にかけての布面積、そいつがタイトな感じがいいかな……極端な感じでいえば、紐パンのような……」

僕がその言葉を吐いた瞬間。彼女の顔が絶望に歪む。その理由は明確で、僕の把握する限り、彼女がタンス貯金する全てのパンティは、件の布面積がアベレージで5センチくらいはあったからだ。ちょっとしたサニタリーショーツな装いと言えば、分かりやすいだろうか?

「え、え?じゃあ、この、いま履いてるパンツとかは……?」

「まぁ、アウトだ……

どうだろう!?この誰も得しないテイスト。理不尽過ぎるチキンレース。皆さんにしても、誰かの価値観を尋ねること、あるいは、自分の価値観を表明すること。そいつの恐ろしさを分かってもらえたと思う。

後日、彼女はパンティを買ってきた。確かにそれは、腰から脚にかけての布面積の少ないそれだった。だがそのパンティが僕の琴線に触れることはない。心遣いに感謝はすれど、それはどうしても後出しジャンケンのように感じられるからだ。無残なことを言っているとは理解するが、抱いた心を止める術も、記憶を改竄する方法も、僕にはない。

「い、イナフだねぇ……」

それは、優しさとは正反対のところに位置する言葉だ。整合性を保つためだけに発せられた、下らないサービス精神の発露。


結局、訊けば返ってくるような言葉に、大した意味などない。

『あなたに似合っていれば、それで……』

それは10000%の確率でウソ、大げさ、紛らわしい誇大広告。JARO出動、即御用。聞こえはよくとも、心はどこにも存在しない。

「俺、冬に女が油断して剃り残した脇毛がマジで好きなんだよねぇー!!

これは僕個人的な叫びである。そして、純度1000000%の本音だ。訊かれてもないのに表明しているこの言葉は、魂のハイオク、フォーナインのインゴット、マッハ500の弾丸特急。嫌がる女性の抗議を無視し 『おやおや、つくしの子が恥ずかしげに顔を出しますか?もうすぐ春ですか?』 と、ゲワキを撫でつつ囁くシーン。キャンディーズのスーちゃんの気持ちで責め上げるシーン。考えただけでたまらない情緒だ。

「今日、剃り残してきたから……(///)

解散しろ!!今すぐ。何度も言うが、後出しジャンケンではいけないのだ。いや、ホント、心意気は買うんだけども……。

訊いてもないのに抜かしている言葉。
普段から口さがなく喧伝しているナマな表明。

本当の意味における人の心は、そういうところから読み取るべきだ。尋ねて返ってくる言葉は、並べて "よそ行き" の声でしかない。


訊いてもないのに語ること。
酔ったときに垂れ流す戯言。
いけない薬をキメた時に発現するキワキワなリリック。


本音は、そういうところに眠っている。

posted by 肉欲さん at 00:49 | Comment(9) | TrackBack(0) | 日記 このエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
原体験には追いつけない
そういう話なのかな って
Posted by tk at 2012年02月17日 01:40
ウブ欲さんですね。

ここに良い壺が…
Posted by at 2012年02月17日 02:12
ノーパン!とシャウトすることは、
『どんなパンツ?』という質問の答えにはなりますか?
Posted by at 2012年02月17日 10:36
タイトルが秀逸ですね(笑) あなたに祈りを……
Posted by at 2012年02月17日 12:04
アテントの画像ググって吹いたw
Posted by at 2012年02月17日 13:19
この質問にはたぶん彼女が持ってる下着から選ぶな

Posted by at 2012年02月18日 09:29
本音を訊きたけりゃ飲ませるのが手っとり早いということですね
Posted by at 2012年02月19日 13:43
かつてパンツを主題としてここまで人の心の機微を表現した人間がいたでしょうか
Posted by にこ at 2012年02月20日 09:40
その答え、

好きなパンツを履いてると、
偶然目にするのが嬉しいから言わない

じゃダメなんでしょうか


Posted by at 2012年03月04日 12:03
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