
店主「安いよー。神木キュン安いよー。特売だよー。タイムセールで半額だよー」
肉欲「買った」
こうして肉欲と神木キュンとの奇妙な家族生活が始まった。
神木キュン(以下、『か』と略す)「な、なんなんですかアナタは!どうして僕があなたの家にいるんですか!」
肉「落ち着いて聞いてくれ、神木キュン。突然で驚くかもしれないが……僕と君とは、腹違いで父違いの、兄弟なんだ……」
か「え……」
肉「こんなこと、信じられないかもしれないけれど、真実なんだ。だから僕はこうしてキミとここにいる」
二人の間に微妙な空気が走る。神木キュンは疑い深い目で肉欲のことを見詰めた。
肉「信じられない、という顔をしているね。無理はない。けれど、僕とキミとが兄弟だというのには確かな証拠があるのだよ。さあ、腕まくりをしてごらん」
そう言って神木キュンにシャツの袖をたくし上げるように命じた肉欲。猜疑心たっぷり、という面持ちの神木キュンだったが、このままでは埒が明かないと思ったのだろう、渋々と腕まくりを始めた。
肉「うん、ここを見て。君も知っていると思うけれど、神木キュン、キミの二の腕には三点のホクロがある。これは、俺たちの血筋にだけ伝わるホクロなんだ。だから、二の腕のこのホクロがあるということ、それは血族の証でもあるわけだ。そしてホラ……」
言葉を継ぎながら己がシャツをたくし上げる肉欲。そしてその二の腕には、確かに同じような黒点が存在していた。
か「ぼ、僕のホクロとそっくりだ……」
肉「どうだい。これで分かってもらえただろうか。同じような位置に、同じような形のホクロ。これを偶然という言葉だけで片付けるのは、いささか無理があるように思うのだけれど……」
神木キュンは難しい顔をして押し黙っている。しかしその態度もそう長くは続かなかった。しばらくすると彼は、ふう、と溜息をついて肉欲の方に向き直った。
か「確かに、どうして今ここに僕がいるのか、あなたが誰なのか、不可解な点は多々ありますが、とりあえずは信じることにします。それに僕も……元いた場所も思い出せませんし……」
肉「そうか。少しは信じてもらえたみたいで良かったよ。どちらにしても神木キュンも元居た場所を思い出せないのだから、しばらくここにいる必要もあるんじゃあないのかな」
確かにその通りだった。神木キュンにはどこにも行き場所はないし、第一満足なお金すらない。見たところ、体に大きな怪我もないようだし、誘拐とかそういう線も考えられそうにはない。それに、犯罪者だったらこんなに堂々としているだろうか?
神木キュンの脳裏に様々な思いが巡っては消える。けれど、とりあえずは目の前の男を信じる方向で腹を括った。
か「そ、そうですね。お邪魔じゃなければしばらくお世話になろうかな……」
肉「じゃあキミの部屋に案内しようか」
か「あ、あの!」
肉「なんだい?」
か「あの、僕はアナタのことを何て呼べば……」
その言葉に肉欲はしばらく口をつぐんだ。何やら深く考えているようにも見える。カチ、コチ、と時計の秒針だけが音を発していた。
肉「うん、そうだな。やはり兄弟だから……お兄ちゃん、とかはどうだい?」
か「え、そんな、会ったばかりの人にいきなりそんな……」
肉「男は度胸!何でも試してみるもんだぜ。それに、誰だって最初は初心者なんだから。さ、まずははじめの一歩を踏み出すことさ」
か「そ、そうですね。お世話になることですし……えーっと、あ、あの、あの……お、にい、ちゃん……」
肉「し、失敬!」
神木キュンの言葉を受け、突如として駆け出した肉欲。向かった先はトイレットだった。唖然とする神木キュン。バタン!と閉められるトイレのドア。
肉「ウオオ、ウアアアアア!!」
ジャバー。トイレの水が流れる音が聞こえる。
か「おや?ほのかにイカさんの臭いが……」
ヨイヤサヨイヤサ。神木キュンはようやくここが港町であることに気付いた。もっとも、この土地でイカなどは獲れるべくもないのだけれど。
肉「すまない、神木キュン。急な腹痛に襲われてしまってね。さ、部屋に案内しようか。こちらにおいで」
そう言って神木キュンに右手を差し出す肉欲。好意的に考えれば、迷わないように手を導いてくれるということなのだろうが、神木キュンはなぜだかその手を生理的に嫌悪した。何が、というわけではない。ただ、あの手は、あの手だけは掴んじゃいけない、3億数千万の怨念を感じる……!彼はそのように感じたのだった。
か「い、いえ。自分で歩けますから……!」
その言葉に肉欲はひどく落胆した……ように見えたのは一瞬のことで、あ、そう、と小さく呟くと再び家を奥に向かってスタスタと歩き始めた。
か(でも、僕と同じようなホクロがあるなんて、不思議だよな。本当にこの人は、兄弟なのかも……)
神木キュンは歩きながら考える。身体的な類似性がここまであるなんて、これはやはり何か繋がりがあるのかもしれない、そのように思い始めていた。
か(とにかく、今日からはこの人と共同生活が始まるんだ。仲良くしないと!)
神木キュンはそう胸に決め、うんうんと一人首を縦に振った。
一方、肉欲のポケットには油性マジックが収められていた。肉欲のホクロはじんわりと滲んで、半分くらい消えかかっていた。

全然違うじゃないスかwwww
今回も笑わせていただきました。
怨念キタwwww
テラオモシロスwwww
神木キュンを肉欲さんに渡すわけにはいかんとです
私の戦闘力は530000です。
神木キュンは大人になってくけど、健太は永遠にショタっ子な気がしません?
神木キュン…
神木キュンにはこれ以上成長してほしくないですね。
僕のえなりと交換しません?
続くの?
だがたしかに神木キュンはヤバイ。
妄想いいねb
他人じゃねえかwwwwwwwww
さすがは公序凌辱(褒め言葉)