肉欲企画。

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2005年03月07日

タカエと棒ちゃん

「あ、がが、が…」

意味不明な呟きと共に目が覚めた。
痛い。喉が猛烈に痛い。
破瓜の痛みも斯くの如しか…なんてバカなことを考える余裕もないくらい痛い。
と思っていたら、寒気が全身を包み込む。
ガチガチと歯を震わせながら、今の状況を把握する。


『風邪』


最早これしか有り得ない。

しかし何で、何で僕がこんな目に…僕、何も悪いことしてないじゃないか…!

とりあえずムックリと起き上がってみる。途端に吐き気がアル・カイーダのテロリストよろしく猛然と襲い掛かって来たって言うから驚きだ!

「トイレ…トイレッ…!」

トイレしか見えなかった。トイレが愛しかった。トイレの権化みたいになってた。僕は一目散にトイレに駆け込んだ。

トイレのドアを開けた。そこには何と、トイレがあった。

(トイレ…お前ってやつは…!)

涙が滲む。感動がカラダを包む。

「人はトイレのみに生きるにあらず。
しかしながら、トイレなくして人は生きられない」

古の格言が頭を巡る中、しかし、僕は確実にトイレに近づいていた。

嗚呼、トイレ、何て美しい佇まい。そして何と甘美なる響きよ!

嗚呼、トイレ。何故貴方は斯くも美しい流線型のフォルムを保っていrウオゲヘヘエエ!ゴハッ!グホkッ!

何て言うか、吐いた。狂おしいくらいに吐いた。昨日飲んだ酒とか、前日食べたカップヌードルとか、愛とか恋とか、あと優しさとか、世界に蔓延る憎しみとかそういうの…を一心不乱に吐いた。マーライオンみたいになってた。手前味噌で申し訳ないんですが、正直朝っぱらにしてはそれは見事なゲロッぷりでしてねぇ…。お、おいおい、これはもしや見る人が見たらセリエAとか案外すんなり行けちゃうんじゃねえの…?とか思わず思ったくらい、それは見事に嘔吐した。涙とか、結構出てた。

自分の体を支えることすらままならない状態ではありましたが、何とか洗面台で顔をワサワサと洗い、部屋に戻ってバッタリと倒れる。こらアカンわ。死ぬかもしれんよ…とか何とか思いながらも、何とか体温計をワキの下に差し込む。本来ならばアヌスに差し込むのが流行の最先端(non-noで読んだ気がします!)かつ医学的見地から見て最も正確な体温測定方法らしいのですが、生憎にして僕にはそのような性癖はなかったゆえ、ワキの下測定法を用いることにしました。これを見ている医者諸兄としては憤怒の感情を抑えきれないかもしれません。

「た、体温計をアヌス以外に挿し込むことなぞ、叶わぬことぞ!」

「アヌスに挿れずして、何が体温計かー!」

と、思わずディスプレイを叩き割ったやもしれませぬが、だったらアンタ挿れてみろよ!アァ!できんのかよ!お前!そんなことができんのかよ!そんなんで胸張っていえんのかよ!

「お父さんなぁ…体温計、自分でアヌスに入れれるんだぞぉー!」

って胸張っていえんのかよ!そんなことしてみろよ!家庭はパニックだよ!家庭崩壊だよ!読めよ!空気を!

一人暮らしの男がよー、いい年した男がよー、暗い部屋で一人佇みながら、ひっそりと、しかし大胆にアヌスに体温計突っ込む姿、想像できるか?逮捕だよそんなもん。捜査令状なしで逮捕だよ。

「君、何であんなこと?体温計で?」

「いや、気持ちいいかな、とか(笑)」

『大学生ご乱心!?臀部付近の穴に体温計を挿入』

踊るよ、一面が踊るよ。両親も悲しむっつー話。で、しばらくの間監獄の中な。いじめられるんだぜ?きっと。監獄の中でもさー。

「おい、お前、何やったんだよ?」

「ヘヘ、強盗やっちまいました…」

「で、お前は?」

「いや、体温計をアヌスに少々」

戦慄だよ。監獄が戦慄するよ。そして罵倒されるんだよ。アヌス侍!とか言って揶揄されるんだよ。見えるんだよ、そこまで。明確にイメージできてんだよ、こちとら。

それでもあれか、お前らは入れろってのか。人の人生をメチャクチャにしてまで、体温計をそのように用いろと、そうおっしゃるワケですか。このスカトロマニアどもが!恥を知れ!恥を!


「ワキって、ちょっと、股みたいになってるよな…体温計が入って…へへへ…」


とか考えながら体温を計ってたら38度超えてるよワーオ!


ぶっちゃけマジ有り得ない。一人暮らしで38度超えとか、有り得ない。


−−死−−


シンプルかつ圧倒的な存在感を誇る単語が、僕の目の前に浮かんで消えた。
いけない、このままでは死ぬ。確実に死ぬかもしれないんだ……!


(ピンポーン)


「(ゴホゴホ)はーい…」

「大丈夫、棒ちゃん?」

「タカエ、お前…!」

「風邪ひいたっていうから、心配して駆けつけたんだよ!」

「でもお前、今日からモンゴル相撲が始まるからって、モンゴル行くはずだったんじゃ…」

「さ、そんなことはどうでもいいから、何か食べようよ!風邪の時こそ食べないといけないんだよ!」

そう言いながら、タカエは台所に立った。鼻歌交じりに包丁を振るうタカエ。彼女の得意料理は何だったかな…そんな取り止めの無い思考をしながら、僕は布団で静かに待った。

「はい、お待ちどうさま!」

そう言いながらやって来たタカエの両手には、ちゃんこ鍋が握られていた。

「やっぱり風邪の時にはちゃんこよねぇ〜」

と言いながらちゃんこ鍋を取り分けるタカエの姿を眺めながら、ああ、そういえばこの娘はちゃんこ鍋が大の得意料理だったよな…なんて漠然と。遠いモンゴルの地に思いを馳せた。バケツほどの大きさのある茶碗にネギしか入ってないちゃんこを取り分けるタカエ甲斐甲斐しい姿を見ていると、何だかとても愛しくなった。

「タカエ…」

僕はタカエのことを、そっと後ろから抱きしめた。

「だ、ダメよ棒ちゃん!風邪に障るわ!」

「いいんだ、そんなこと。些細な問題だよ…」

「棒ちゃん…ワタシ、過去のある女なのよ…?多くの人を不幸にしたわ…アナタもきっと…」

そうだ、タカエは、そういえば一度だけ昔のことを語った。タカエはかつて、ある会社に勤めていた。その会社は不特定多数の人間にメールを送る会社だった。タカエはそこで、メールの作成業務に携わっており、そこでたくさんの人間を不幸にした、そう語っていたのを唐突に思い出した。

「タカエ…もういいんだよ、そんなこと…」

「だって私!私…あんなことを…あんなひどい仕打ちを…上の人間から『モーニング娘激似!』っていう文章を手渡されて…それを『モー○ング娘激似!』っていう文章に作り変えて多くの人に送り付けて…不幸にしたわ!たくさんの人を不幸にした!だから私は幸せになる資格なんてない!ないのよ!」

慟哭−−

タカエが、まさか、そんな恐ろしげな行為を行っていたなんて−−信じられなかった。信じたくなかった。しかし現実はいつだって残酷なのである。タカエは、静かに泣いていた。

「タカエ、いいんだよ。そんなことは些細なことさ…」

「棒ちゃん…」

「タカエ…!もう辛抱たまらんのんじゃあー!」

「おやおや?股の間にもう一本体温計が?」



何てことを考えているうちに熱が39度を突破。
神様、ありがとうございます。

(続く)
posted by 肉欲さん at 01:37 | Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 このエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
一先ずはご回復されて何よりです。
Sex on the beachじゃないや、singapole slinam
トロピカルメガトップなゲロを吐いていたんですね。それは辛そうだ。

自分は下痢コースでした。
朝ラッシュの中央快速よろしくトイレ頻度は高かったです。
便座に座るたびに肛門から駅発車の音楽と、
「便は続いて参ります。ここで肛門を閉めさせて頂きます。カバン引いてクダサーイ」
と穴ウンスが鳴り響いていました。


今年の風邪はしつこいです。
お体には十分ご自愛下さいまし
Posted by たもだも at 2005年03月07日 02:07
一人暮らしで重度の貧血を起こし、
早朝洗面所で倒れて半日そこに転がっていた
(しかも意識を取り戻した後で救急車を呼んだ)
という恐怖に満ちた経験が過去にあるため、
あまりにも痛ましくて何も言えません。
身体だけは気をつけてください。
Posted by Cass at 2005年03月07日 13:08
>たもだもさん

穴ウンスに思わず吹き出しました。や、やるやないか…!
しかし今年の風邪は本当にしつこいみたいですね。僕も完全に復調するまで随分と時間が掛かりました。死ぬかと思った。で、本当に腹にきますよね。ゲリラがわんさか襲ってきた。死ぬかと思った。

もうこりごりでごんす。

>Cassさん

これまたヘビーな体験ですね…。大事に至らなくて良かったというべきか…しかし自分で救急車呼ばなければならないなんて、とても辛い事態ですよね。

今は、しっかりと身体に気を付けております。
Posted by 棒太郎 at 2005年03月10日 00:12
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