唐突に河野が呟いた。
季節は夏。
そう、海のシーズンである。
「どうやって行くんかっちゃ」
僕の故郷は下関。海が近いとは言え、殆どが漁港で、泳げる海というのは近くにはない。今でこそ皆車を持っているけれど、当時まだ高校生だった僕らには、泳げる海まで行くというのはそれなりに困難なことだった。
「バスしかないやろー」
まあ、普通に考えたらそうですよね。下関ってのは電車もあまり発達してなかったので、バスが主な交通手段です。だから海に行くっていう提案をした時からバスで行くってのは予想されること。
「金がもったいねえやんか」
それを無下に断る河野。
「いや、それやったらどうすr」
「ヒッチハイクだろ!」
一同(コイツ、昨晩絶対に『電波少年』見てる…!)
当時、「進ぬ!電波少年」という番組がやってまして、今は亡き猿岩石やらパンヤオやらがヒッチハイクやら何やらしながら色んな大陸を横断する、みたいな企画をやってたんですよ。当時はそれなりに人気がありましたよね。
よく考えたら今日は月曜。電波少年やってんのは日曜。ここからはじき出される試算は
『河野は電波少年に触発されてヒッチハイクを提案している』
という一点です。なんて安直な男でしょうか。
しかしまあ、どうせ退屈を持て余していることですし、たまにはそういう冒険をしながらどこかに行くってのもいいものです。最初は途方も無い提案のように思われた河野の発言ですが、誰とも無く賛同するようになりました。
「よーし、じゃあ、やるぞ!」
と河野が音頭を取って一同がヒッチハイクを開始した!
−30分後−
一台たりとも止まらねえ…。
ば、バカなー!番組の中だったらあんなにホイホイ車が止まってたじゃないかー!何でこうも上手くいかないんだ!
おかしい、何かがおかしい…一体何が、何が間違っているというのか…。
ヒッチハイクにおける重要な要素を考えてみる。
・それなりの車の通り
→車はバンバン走ってた。
・車道の横で誘う
→車道の真横で誘ってた。
・怪しまれないような風貌
→とても笑顔だった。
それなのに…なんでなんだ…。
俺達は頑張ってたのに…。
8人で頑張ってたのに…!

いや、止まるワケがない。
テロル、こんなの壮大なテロルですよ。
8人が車道にならんで一斉にヒッチハイク。狂ってる。
何が狂ってるって、30分もしないとその不毛さに気付かなかった僕たちでしょう。流石AVを気合いで借りようと試みただけはあります。若かったあの頃。
「これじゃあ埒があかんけえ、とりあえず二人ずつに分かれようや」
誰ともなしにそう提案があり、僕らは4つのグループに別れた。
しかし炎天下の中、いつ来るかとも分からない「その車」を待つのは相当に堪える。漠然と腕を振っているだけじゃあ日が暮れてしまうような気がした。
そこで僕は作戦を変えた。信号待ちで止まっている車にアタリをつけることにした。
(信号が赤に)
僕「すいませーん」(コンコン)
(ウィーン)「はい?何でしょう?」
僕「あのー、どちらまで行かれます?」
「えっ…○×の方までですけど」
僕「そうですかー。あのー、乗せてもらえないですかねぇ!」
「へ…!?」
我ながらよくこんなことやったなあって思います。世が世なら逮捕されてもおかしくない。実際アメリカだったらヒッチハイクを法律で禁止している州もあるみたいですし。
しかし、この作戦が大成功でした。なんと一発で車を引っ掛けた。目指す方向まで一緒。僕ら二人は急転直下、一気にゴールに向けて爆走したのだ!
しかもその運転手が『23歳 独身 ナース』とかいう、これはもうゴールドセイントのようなステイタスを身に纏っていたというのですから大興奮ですよ。ウヒョーヒョヒョウ!田舎のガキには刺激が強いぜ!
まあ、顔はウーピー・ゴールドバークみたいな感じでしたが…。
ウホッ!とか言ってそうだった…。
ともかく、そんなこんながありつつですね、僕らは海に一番乗り。おおはしゃぎで海水浴に興じました。あれはとても楽しかった。その後も続々と仲間が到着する。道中に起きた様々なこと何かを語り合いながら、6人は楽しい時を過ごしました!いやー楽しい!俺ら最高の6人だよ!
いやな、来ないの。残りの二人が待てど暮らせど来ないのな。何か神隠しにあった子供みたいになってた。いつの間にか日はとっぷりと暮れ、人の多かった海岸もすでにまばらに。いい加減泳ぎ疲れ、手持ち無沙汰で砂浜でたむろしている僕らは、(そろそろ帰るか…)と思い始めていた。
「おーーーーーーーーーい!!!」
振り返ると、満面の笑みを浮かべた二人がこっちに走ってくるじゃないですか!馬鹿野朗!どこ行ってたんだよ!心配したんだぞ!
「いやあ…車が全然捕まらんでさぁ…」
そう言えばこの二人、仲間内でもかなり口数の少ない奴らだった。その二人がヒッチハイクをするとなれば、その苦労は相当のものであったことは容易に想像できる。頑張った…お前ら頑張ったよ…!そう思うと、自然の仲間の間にも得も言われぬ感動が広がっていくのを感じた。これが…青春…これが…仲間!
「でも、何とか着けてよかった!」
「うん、ホント良かったわ!心配したっちゃ!」
「わりぃな!ヘヘッ…」
「じゃあ、帰ろうか」
僕らは持ち前の要領の良さで又しても音速の勢いで帰宅。
他の4人もそれに続く。
他の二人がどうなったかは、僕はよく知らない。
ずっとやろうと思ってやってなかったんですけど、最近よく読むブログというのを紹介しようかな、とか思って筆を取ります。
FREESTYLEWEBLOG
超大手。知ってる人も多いのではないでしょうか。
通称「フリスタ」というサイトなんですが、この2月から日記のみを切り取ってブログに移行したもようです。
とにかく視点が斬新で、短い文章なんですがそれでいてクスッと笑わせるエッセンスを抑えている感じです。僕はダラダラと長文しか書くスキルがないんで素直にスゲエなーとか思いますよね。やはりヒット数が多いサイトはそれなりの意味があるんですね。
あと、サイトデザインがとにかくカッコいい。スタイリッシュというか。そういうのも尊敬というか、素直に感服しちゃうっていうか。
とにかく良い!って感じです。
くるくるダンプ
たまたま見つけたta-kuminさんのブログ。どこか退廃的というか、シュールな感じがとても好きです。やはり僕に足りないのは(いや、足りないところだらけではありますが)短く文章を纏める能力だなあと思った。つまるところ文才の欠如。かといって最早短文系の文章なんて書きませんけどね。
Eヨ言己
コバ香具師さんのブログ。
「新渡戸稲造を書く」と「溶岩オフ」は秀逸。「blogランキングについて考える」も続きが気になるところです。ネタ芸人っぷりがとてもステキです。ランキング上位を(ネタ的に)目指しているようなので、ランキングから追放された肉欲企画的にも応援したいところです。頑張って下さい。
そんな感じです。気が向いたらこれからも色々探してみたいものです。
これからも小粒だがピリリと辛い山椒のようなブログを期待しています.
この読者は何をやっておるのでしょうか。
あのねー、文章が短文系か饒舌系かというのは
もう「生まれ持ちたる資質の問題」なのですね。
コンセプト先行型の人は短文の方が得意だし、
抒情が勝ってる人は饒舌になる傾向があります。
つまり、短文が書けないとお嘆きのアナタ様は
実は「抒情のヒト」なんだと思いますが。
以上は掛け値なしにマジな話。
タダで教えてやるのは勿体ないぐらいですよホント。
私は罰ゲームで道行く高校生を
拾った事があります・・・
もちろん男子。22歳くらいの時か?
車でさらってやりました。
つかまらなくて良かった・・・