トワイライトが街を包み、ポツポツとまばらな電飾のように色んな窓から光が漏れる。その一つ一つに『家族』が息づき何冊の本でも綴りきれない歴史が眠る。窓を見上げる。内側にはきっと、暖かい食卓。外側にはぽつねんとたたずむ、買い物袋を提げた僕。鰻を焼いたようないい匂いが鼻をくすぐるものだから、参ったな、という風に苦笑いを浮かべた。袋の中には酒ばかり。窓の内側を一人で過ごすには夜は長すぎて、深すぎる。刹那を共に歩む麦色の家族。たまに苦味は感じるけれど、今はお前で十分さ。その内家庭ができるまで、いや家庭ができても――お前は俺のそばにいて欲しいと思うんだ、相棒。
(肝臓は、いたわれよな)
不意にそんな声が聞こえた、と言ってしまえば、それは感傷に過ぎるのだろうか。僕は根元まで穂先が燃えたタバコを空き缶に投げ入れると、もう一度ほのかに光る窓を見上げて、心のなかで呟いた。
(鰻食ってからセックスですか?そうなんですか?いいですねー実にいい!死ね。氏ねじゃなくて死ね)
僕はそのままスーパーに赴いた。夕方を少し過ぎたスーパーはすでに人もまばらだ。レジを打つ人、特売品を精緻に検討する人、タイムサービスのシールを貼る人、空ろな目で魚を捌く人。ここには色んな人がいる。
僕は野菜売り場の辺りからぐるりと店内を巡って、鮮魚とみりん、柚子茶にふじっこをかごに入れてレジに並んだ。すると目の前には、主婦だろうか、ベージュ色のチューブトップを着た女性がいた。趣味がよろしくない、と思いながらも自然と目はかごの中に向いてしまう。乾麺、乾麺、ビール、乾麺、にんにく、惣菜。なぜだか、彼女の向こうにいる子供たちの悲しげな顔が浮かんでしまい、僕はひどく憂鬱な気分になった。
主婦業というのは、いや、子育てというものは大変な激務なのであろう。母親であると同時に、彼女らは教師でもある。人生、という教科は主に家庭で教えるものだ。その一つ一つにテキストは存在しない。ベターな方法はあっても、ベストなやり方はどこにもない。だから母親は常に自分自身に問いかける。これでよかったのだろうか、と。そして、こうも。
(どうしてあたしだけが…)
苦労は耐えない。子供が「卒業」することは決してない。終わりのない「家族」という形、絆。それを一度でも『辛い』と思ってしまった時。非業が始まる場合も、多くある。
彼女の会計が終わる。その小さくも健気な背中は、なぜか遠い日の母の背中にもよく似ていて。
頑張れ、名も知らぬあなた。
どうか一人だけが辛いとは、思わないで。
僕は『親は教師だ』と言ったけれど、もう一つ付け加えようと思う。
『親は生徒』。
子供とあなた、共に歩んでいくことが大切なんだから。
そして、僕は買い物袋に買ったものを詰め込む彼女の背中に向かって、こう呟いた。
(もう奥さんったら、にんにくなんか買っちゃってー。今夜はハッスル?ハッスルしちゃうの?しちゃうんデスカイーー?!!死ね。氏ねじゃなくて死ね。母乳飲ませろ)
帰路。部屋に戻るまでの階段の踊り場に、カナブンが短い命を燃やし尽くそうとしていた。輪廻――永遠という観念。そんな遠大なことを考えると気が遠くなるけれど、今は、僕は、この何気ない日常を大切にしたい。心からそう思う。
玄関を開けて、返す刀でビールを煽る。旨い…旨い。
『ちょ…ヒロシまだダメ…ン…アア…!ア…!』
隣でギシアンが始まった。僕は飲み干した缶を勢いだけで握り潰し、そのまま壁に向かって投げつける。カコン!跳ね返った缶は、少しだけ飲み残した琥珀色の液体をベッドの上に撒き散らす。
「ティッシュ、ティッシュ…!」
僕は沈み行く夕日を背中に感じながらせわしなく手を動かす。自分の若さに苦笑しながら。でもこの若さも、悪くないなと思いながら。
明日も世界が平和でありますように…。
『ン…ア!ンン…ンアアア!!!ハーーーーーーダウェイ!!』
やっぱり世界が砕け散りますように…。
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・光市母子殺害事件
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/local/yamaguchi_hikari_murder/?1150784047
最高裁が破棄差し戻しして、これで実質的に被告の死刑がほぼ確定したことになります。
簡単に説明しますと、最高裁が高裁の下した「無期懲役」という判決に対して
「罪が軽い」
と判断、もう一度審理をやり直しなさい、と命令したということです。
裁判所は上級審の判断に服さなければならないため、最高裁が「無期懲役は不当」と宣言したということは、それ以上の刑、現行法で言えば「死刑」しかあり得ない、というわけです。
さて。おそらく高裁は死刑を出すでしょう。
そうなると多分被告は上告します(最高裁にもう一度審理を頼むということ)。
そこで最高裁はどういう判定を下すのでしょうか。
9部9厘上告棄却、つまり死刑確定の判断をするでしょう。
今回、破棄差し戻しをし、そして将来において上告を棄却する。
その間に果たしてどれだけの時間がかかるのでしょう。
同郷での事件のため、思うところが色々ありました。
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少しピースな話題を。
『電気を消して、スローな夜を』
私たちは100万人のキャンドルナイトを呼びかけます。
2006年の夏至の日、6月21日夜、8時から10時の2時間、
みんなでいっせいにでんきを消しましょう。
ロウソクのひかりで子どもに絵本を読んであげるのもいいでしょう。
しずかに恋人と食事をするのもいいでしょう。
ある人は省エネを、ある人は平和を、
ある人は世界のいろいろな場所で生きる人びとのことを思いながら。
明日は夏至なんですね。忘れてました。たまには電気を消してのびやかに過ごしてみるのもいいんじゃないでしょうか。
この前買った無印良品の壁棚にキャンドルスタンド。僕もロウソクは好きです( ^ω^)
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コメント欄で言われましたように恋愛関係のネタ日記が続きましたが、別段管理人に何かがあったわけではないです。妬み・ひがみは常にありますけどね!!( ゚∀゚)
さて、先日読んだ『夏の庭』という本が非常に面白かったです。ほのぼのとした気持ちになりました。オススメです。kwskは2949の本棚で。
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沖縄はそろそろ梅雨明けするそうですね。
鹿児島ももう少しでしょうか。
全然雨降ってねーんだけど。
大丈夫なのかな。
では、これから買ってきた鯖を食べるので、また明日。
うれちい
しゃぶれよ
まで読んだ
勃起した
オナヌした
現行の規定では最高裁の判断は現時点最善を尽くしたとは言え、やはり日本の司法制度の不合理さを感じずにはいられませんよね…なんでこんなに長引かせるのか。
一方で、やたらめったら死刑廃止を掲げて遺族側を批判するような人間までいるような現状を見ると…なんとも言えない気分になります('A`)
…うーん、面白くもないマジレスで申し訳ない。
しゃぶれよ
バロスwwww
肉欲さんホントに本出して下さい。私絶対買います!!
昔彼女に貰った、って言うとここでは糾弾されそうですね^^
夏至の日、参加します。
夜勤の漏れにはどーしよーもねっすが、休みの日にでも独りでやってみよ。
そういえば某合衆国では副大統領が銃の誤発で人を傷つけたのに、大した裁きを受けていませんね。
嗚呼、不思議ナリ。