肉欲企画。

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2006年05月28日

ばーちゃん



【今回の話はあまりにも暗かったしこのブログには馴染まないかなと思ったので消してしまったのですが、やはり少しアップしたい気持ちが残りましたので上げておきます。正直全然笑える話ではありませんのでオススメはできません。親族に関する話です。それでもおk!という方は読んでみてください。コメントのレスは明日きちんと返します。それでは、改めましていつもご訪問ありがとうございます】


肉欲棒太郎



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錆び付いて古くなったブランコは危険がいっぱいだ。うかうか子供に使わせることはできないだろう。小さい頃、家のすぐ目の前にあった公園で、今日こそは一回転しようと力一杯漕いだブランコは、既にその役目を終えていた。


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一番仲のいい幼馴染みは隣に住んでいたケンジ。一緒にファミコンに熱中し、大きくなるとふたりで窓から抜け出して夜遊びに繰り出した。彼の一家が家庭の事情で引っ越してから既に5年。その後、新しい家族はまだ住んでいない。


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家の前には自転車が並んでいた。3人も兄弟がいたから自転車は3台あって、狭い通路は置き場に困る。せっかちで乱雑な僕らはぞんざいに自転車を置いてしまうため、いつも母親に怒られた。
いま、ガランとした通路はとても歩きやすい。


僕はおばあちゃんっ子だった。何かにつけて小遣いをせがんだ。100円玉を貰うのが何より嬉しかった。2002年、春。僕は大学に合格し、上京する。最後の孫が家から去り、その後の祖母を見て親戚は口を揃えて言った。

「喜代子さんは俊平がおらんくなってから小さくなった」

2003年、正月。祖母の誕生日は二月。二月に帰れるかは分からなかったので、僕は一月四日にプレゼントをあげた。未年で羊の置物。祖母は部屋で昼寝をしていた。祖母を起こしてプレゼントをあげた。

翌日祖母は亡くなった。
その日は兄弟みんなが東京に戻る日だった。
振り返ってみても偶然とは片付けられないような気もするけど、やはりただの感傷なのかもしれない。

祖母の部屋に来た。住む人がいなくなった祖母の部屋は物置になっていた。熱心に仏教を信仰していた祖母の部屋にはいつも線香の匂いが漂っていた。子供の頃は兄と二人で仏壇で遊ぶのが好きだった。ポクポクと鳴る木魚の音が好きだった。

仏壇は外枠だけを残すばかりで、位牌も木魚も遺影すらもなくなっていた。僅かばかり残っていた線香に火を点け、何もない仏壇の前にそっと立てる。湿気た線香はあの日のようには香らない。僕は手を合わせ目を閉じる。



ばあちゃんただいま。

口には出さずに呟いた。



(GWのお話です。)
posted by 肉欲さん at 01:57 | Comment(21) | TrackBack(0) | 日記 このエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
いつもと違った感じでしたが、すごく良かったです。真面目な文書く肉欲さんも、エロ満載な文書く肉欲さんも素敵デスネ☆
Posted by ベストオブオナニスト at 2006年05月28日 02:21
私も祖父が亡くなりました。とはいえ、もうすぐ1年たちます。私はおじいちゃんっこでした。まだ学生の身分。遊びたがりなわけで、あまりよりつかなくなって・・・・恩返しとかしたかったと悔やむばかり。そのことを久々に思い出させてくれる文面でした。いつも楽しく読んでます。いつもいつも素敵な文ですね。見習いたいものです。エロい表現も、もちろん笑えるぐらい好きです!
Posted by たつ at 2006年05月28日 03:10
この前、実家に戻ると「一人でも居らんなると淋しいもんだなあ。(3人姉弟なので)」と言われ、おばあちやんに対してなンとなく近より難たいなンて思ってた事が恥ずかしくなり、今度帰った時は帰った事を真っ先に知らせたいナと思いました。
Posted by あいす at 2006年05月28日 03:31
私もかなりお婆ちゃんっ子だったので、想い出して切なくなりました。。
どんな話が消されちゃったのか気になっていたので嬉しかったです。
Posted by ほわ at 2006年05月28日 03:39

物事は計画通りに進まないことが多いですね。

人の死もまた然り。

永遠の別れが訪れた時に後悔しないよう、日頃から限られた機会を大切にしたいものです。

大切なのは、常に、先なる時間の流れを想定することのように僕は思います。

しんみりしてしまいましたが、これからも勝手ながら応援させて頂きます。

どうぞ宜しくお願いしますね。
Posted by まぢかな中島 at 2006年05月28日 04:46
僕も今おばあちゃんと一緒に暮らしています。
この文章を読んで、改めておばあちゃんを大切にしようと思いました。
これからも更新楽しみにしてます。
Posted by メントス at 2006年05月28日 04:50
GJ!俊平。
Posted by ぁなてう at 2006年05月28日 08:19
俊平かっこいいよ かっこいいよ俊平

じーちゃんばーちゃんはもうおらんけど
その分かーちゃんを大事にしたろうとオモタ
ありがとよ俊平!
Posted by at 2006年05月28日 10:24
俊平さん
僕にはおばあちゃん代わりの大叔母がいるので大切にしていこうと思う
Posted by 右手純情 at 2006年05月28日 11:52
居るべき人が居なくなった、そのガランとした空間を眺めていると

かつてのあの人を…
活きていたこの空間を
ポツリポツリと思い出し
ポツリポツリと泣いたっけ。。。

それはとても静かでした(´ー`)
Posted by 胃下垂 at 2006年05月28日 12:58
>ベストオブオナニストさん

なんだろう、HNのせいで褒められているのに褒められてない気がします。ありがとうございます!

>たつさん

月並みな言葉ですが、無くして気づくものって多いですよね。僕は物心付いた時には祖父は他界していたのでおじいちゃんがどういうものかは分からないのですが、やはり親族を失うのは辛いものですね。残された人に孝行していかなければと思います。

>あいすさん

そうですね、顔を見せるだけでものすごく孝行になるんですよね。僕らはあんまり気づかないんですけど・・時間的経済的に許せば、どんどん帰るのがいいかもしれませんね。

>ほわさん

夜は人をセンチメンタルにするのですよ。
他のとカラーが違いすぎるので叩かれるかと思いましたが、概ね好意的に受け止めていただけたみたいで良かったです。

>中島さん

いつもありがとうございます。
過ぎた日を後悔することが多い僕ですが、折に触れては祖母のことを思い出し両親への孝行に励みたいと思っています。
これからもどうぞよろしくお願いします。

>メントスさん

是非是非大切にしてあげてください。
僕は最近だと世のおばあさん全般的に優しくなってしまいましたw

>あなちゅうさん

( ^ω^)どうも!

>名なしさん

ちょww俊平連呼しすぎww
この年になると両親もいつどうなるか分からないですからね。大切にしてあげてくださいね!
父の日もありますし。

>右手純情さん

一族郎党仲良くできればいいですよね。
ウチはそうもいかないようで、中々難しいです。

>胃下垂さん

主を失った部屋ほど寂しいものはないですよね。
残された家具とかがまた、寂しさを煽って・・。
仏壇の前に立ったときは本当に泣いてしまいました。
匂いとかが余計に・・くるんだよなあ。
Posted by 肉欲棒太郎 at 2006年05月28日 13:25
>ばあちゃんただいま。
>口には出さずに呟いた。

。・゚・(ノД`)・゚・。
Posted by キティ at 2006年05月28日 14:11
僕は今祖母と二人暮らしなので、
もっと大切にしないといけないと
思いました。
いつもとは雰囲気の違う文章でしたが
すごく素敵な話だったと思います。
Posted by taka19 at 2006年05月28日 14:28
>キティさん

もしかしてなんたら〜のキティさんですか?
そうだったらいつも応援してます。
違ったらごめんなさい。

>taka19さん

二人暮らしなさってるんですね。
お祖母さんも一緒にいるだけで随分幸せを感じてらっしゃるのではないでしょうか。
僕にはもったいないお言葉をありがとうございます。
Posted by 肉欲棒太郎 at 2006年05月28日 16:01
初めまして。いつも密かに読ませてもらっています。

うちも祖父をこの冬に亡くしました。
人の死というものに初めて触れた出来事でした。この記事を読んでその時の気持ちを思い出し、今自分の周りに居てくれる人達の大切さと皆への感謝の気持ちを改めて感じました。

いつもとは違った文章でしたが、どんな文でもやっぱり肉欲さんの文章は素敵です。大切な気持を思い出させてくれてありがとうございました。これからも応援してます。
長々とすいませんでした><
Posted by プル at 2006年05月28日 19:42
棒チャンの誠実な心が伝わりましたよ。きっとお祖母様に色んなことを教えて頂いたのでしょうね。だからこんなにも人を敬い、慈しむ心をお持ちなのでしょう。もっともっと好きになりましたよ☆
たまにはこういうお話もいいんじゃない(*^ー')d
Posted by 脳内エロス・ミクロ at 2006年05月28日 21:49
何だこの感動的な素晴らしい文章は!?

と、思いました。

それにしても何を書いても凄いですね!
Posted by STさん at 2006年05月28日 22:47
ばーちゃんは1人だけだけど、なんとか元気にしてるので、とても幸せだと思います。祖母の姉にもよく遊んでもらっていたのですが、晩年は怪我が元で入院→呆けてしまい、そのまま亡くなりました。
仏壇ではないのですが、それと似たようなスペースが叔母の家にもあって、夜だけでもお線香を焚いて手を合わせるようにしています。母がかわいい急須を送ってくれてからは、朝にお茶をあげて、お線香・・・というのも習慣づけました。毎回感謝の気持ちを込めて手を合わせてます。
そうしてると、ココロが落ち着くような気がするのです。

ココ読んで泣いてしまったので、また寝る前にお線香あげとこうと思います。

良い夢を。
Posted by Qoo at 2006年05月29日 01:14
これだけの文才を、下ネタにいつも使っていることを思い出して2度泣けてきました。

下ネタ満載の肉欲さんも好きですが
時々こういうのもありなんじゃ!と真剣に思いました今日この頃。
Posted by S at 2006年05月29日 02:41
ランダム過去ログからきました。
「おばあちゃん、ただいま。」
なんだ?この切なさは。

文章を見て泣く。
我が祖母を思い出して泣く。
私の祖母、もう一方は未だ健在で、
「ただいま」と言うのも照れ臭い自分がいる。

ほんのちょっとの勇気を出してみようと思った。
Posted by at 2008年11月20日 13:03
いつもの日記かと、
うっかり電車の中で読んでしまい、
今、顔が上げられません。

涙が落ちないようにこらえるのが
精一杯です。

感動しました。
Posted by かな at 2010年05月28日 13:08
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