
フグ宮マスオの憂鬱1
フグ宮マスオの憂鬱2
フグ宮マスオの憂鬱3
サザエ「アナタ、さあ一杯どうぞ」
マスオ「ああ、ありがとう・・」
妙だ。妻がやけに優しい。普段なら水道水しか勧めてこない妻が、なぜ酒を・・?
サ「どうしたの、アナタ?」
マ「いや、佐々恵こそどうしたんだい?普段は酒を飲ませてくれないのに」
サ「そりゃあアナタ、今夜は頑張ってもらわないといけないから・・ね!」
マ「頑張るって・・」
サ「もうアナタったら、他の家族がいる前で言わせないでよーセックスに決まってんだろ!」
マ「いや、酒とセックスと何か関係があるのかい?」
サ「そうです。そこです。そこなんです。実はこの酒の中にはスッポンの血やプロポリス、ニンニクにウナギエキス、ハブの身、赤マムシ大王源、果ては西洋の禁薬までありとあらゆるものが詰め込まれているのです。アルコールは入ってません。アルコールなんて飲んであなたがアル中になったら大変だわ。アナタは一人の体じゃないから肝臓には気をつけないといけないし・・」
マ「い、いや気をつけるべきはそこじゃないと思うし、第一キミ、マムシにウナギにって…一体どんなホムンクルスを爆誕させるつもりだい?」
サ「昔の人は言いました、春はあけぼの夏は夜、さあアナタ、遠慮なく飲ってくださいな」
ワカメ「おやおや、お盛んなことで・・」
サ「ジャリは黙ってなー!」
佐々恵はそう叫んだ瞬間にビール瓶を振り上げ、勢いよく義妹の頭をカチ割った。噴出す鮮血、赤い花が義妹の頭上に咲き誇る。
マ「お、おいワカメちゃん・・?」
見ると、頭から血をダラダラと垂れ流しながら義妹は畳に突っ伏した。時折ピクン、ピクンと痙攣している。血の流れは止まるところをしらない。
(ちょ・・これは危険だ!)
マ「お義父さん!ワカメちゃんが」
波平「ん…?おお母さんや、見てごらん綺麗な赤だよ。まるで新婚旅行の時に見た夕焼けのメコン川のようだ!」
フネ「あの時のお交尾は燃えましたねえ」
波「その時の娘が、君だよ、サザエ。午前三時ごろだったよ。 きみの産声が天使のラッパみたいにきこえた。あんなに楽しい音楽はきいたことがない。 」
サ「父さん……グスッ」
波「はは、コイツ泣きおるわ」
マ「いやお義父さん、そうじゃなくて・・」
波「うちの教育方針に口を出さんでくれんか!この磯野家に巣食う寄生虫が!」
ワカメ「そうよ!あんたなんてインポ、そうインポよ!いいえインポなんて言葉すら生ぬるいわこの勃起不全野郎!あんたなんて電池の切れたバイブよ!いいえそれ以下だわ!」
マ「ワカメちゃん、いつの間に・・大丈夫なのかい?」
ワ「いやっ妊娠しちゃう・・!触らないで・・!アタイ知ってるのよ、アンタがいつもアタイのこと飢えた野良犬のような目つきで見てたこと!あんたなんて野良よ!野良犬よ!野良ドッグなのよ!」
波「ハハハ、いいじゃないかワカメ。若さとは得てしてそういうものさ。ワシだって若い頃は殺人、強盗、強姦などの重犯罪行為にいそしんだものさ。なあ母さん」
フ「クチュクチュ。クチュクチュ。マチュピチュ。あらいやだわ、あたしったら行為に夢中で気づきませんことよ。それで靖国参拝がどうしました?」
カツオ「まったく母さんときたら、元気だよなあ。日に六度はオナニーしてるんだものフネって名前のことだけはあるよ」
波「ハハハこやつめ!上手いこと言いおったわ!」
(ダメだこいつら・・)
僕はハシシをキメすぎた美輪明宏みたいなテンションで喋り狂う家族の輪からそっと抜けると、ハイライトを咥え静かに玄関を抜けた。車庫に停めてあるオデッセイに乗り込むとキーを差し込みエンジンを始動させる。2時間も流して帰ってくれば、家族も寝静まっているだろう。
霧に煙る街、街頭が幻想的に光っている。公道を走る車はなく、あたかも世界には僕しか存在しないような感覚に囚われた。ステレオから流れるルイ・アームストロングの優しいジャズが心地よく鼓膜を包む。
「アナゴくん、か・・・」
意識の影から言葉が溢れた。不意に口をつぐみかけたが、なに、ここには僕しかいない。誰に遠慮することがあるだろう。
赤信号に車は止まった。僕は浅いため息をついたあとに、瞳を閉じて彼を描いた。

(―――美しい)
ふと僕の脳裏に、この夏上野の美術館で見た一枚の肖像画が浮かんだ。
フェルメール作、青いターバンの少女の絵が。
アナゴくん、彼の神秘的な美しさは、あの絵が讃える神々しさに通じるものがある。彼の容姿はあの少女と瓜二つ、と言っても差し支えないかもしれない。それほど彼は美しかった。完璧だった。
(アナゴくん、どうして君は僕を悩ませるんだい)
(君と出会ってから、僕は、僕の心は)
(アナゴくん・・・アナゴ・・・!)
仮にマスオを古代メソポタミアにたとえるのならば、その中心都市にはバビロンがある。
そう、彼のバビロンすなわちバベルの塔は、もうギンギンになっていた。ガチガチであった。完全にピンコ勃ちしていた。
マスオは無意識に内に熱い雫が迸るバベルの肉塔に手を伸ばす。いけないマスオだめだよマスオそれは神に挑む行為。ああマスオ、バベルの塔は天に届く前に神の怒りに触れてコナゴナになってしまったというのに!歴史は繰り返すのか繰り返されてしまうのか!
刹那、マスオの脳内にテキサスの暑い風が吹いた。そうさオイラはさすらいのガンマン。早撃ちなら誰にも負けないテキサスの荒くれ馬さ。信号は、赤。時間は十分、一発で決めてやる。さあ、抜きな――!
ピッピー!
(ハッ!)
クラクションの音で我に帰ったマスオ。僕は一体、何を…。
大慌てでステアリングを操作すると、流れ出る冷や汗を抑えることなく彼は国道を東へと走らせた。
彼のオデッセイはとんでもないスピードで夜を切り裂いていく。
オデッセイ、古代ギリシャの言葉で冒険――
(僕の冒険が、始まるんだ!)
マスオは、胸に熱い決意を秘めたのだった。
つづく
参照 フェルメール『青いターバンの少女』
リアルに「責任とってください」系ですか?
ノビタの結婚前夜www
私、風俗嬢です☆彡
仕事のつぶやき書いてるからよろしくね
http://blog.m.livedoor.jp/keiko0322/
マチュピチュとは…また細かいところで魅せますねぇ。
志村ーそれ犯罪
>我
難しいことはよく分からないけど、おそらくデキ婚じゃないかな。
>ティムポさん
よく気付いた!小ネタを拾ってもらえるとうれしいですお
>ななさん
ようこそ。更新頑張って下さいね^^
>といち
狂気こそが正常よー!
>亜奈
さて・・どうでしょうね!
>中島さん
ホント、小ネタを拾ってもらえるとうれしいですお