どこかに行きたい!でも、旅行に行く時間も金もない――
このようなお悩みを抱えていらっしゃる方は意外と多い。旅行が好き、旅行がしたい!のだけれども、いざ旅行をするとなると、色々ハードルが高くて挫折してしまう……そんな声、日常生活のそこかしこから聞こえてくるようで。
散歩をしてみては如何でしょう。
旅行とまではいかないけれど
布団もお風呂もないけれど
色々歩いて目を楽しませる、穏やかな散歩――
今日はいつもの下ネタ日記とは趣向を変えて、先日僕のカマした散歩の様子をお伝え致したく。
(画像多数につき携帯からの閲覧注意。画像はクリックすると拡大&鮮明になります。サムネイルだと何だかモザイクがかかってる感じになる……)
■ 山口県下関市
山口県を代表する都市の一つであり、その人口規模は県庁所在地の山口市を凌ぎ、山口県一の規模を誇る。中国地方でも5番目(広島市、岡山市、倉敷市、福山市に次ぐ)の人口規模の都市。経済面でも山口県西部(旧長門国)の中心的都市であり、下関市に営業拠点を置く企業も少なくない。……中心部の下関港周辺は、古くは赤間関(あかまがせき)と呼ばれおり、これを赤馬関とも書いたことから、これを略した馬関(ばかん)という別名も用いられた。
(wikipediaより引用)
今回は僕の生まれ故郷である下関で散歩をした。18年を過ごした土地であるものの、意外と知らない場所は多い。人口の少なさゆえであろうか、駅周辺にも古い建物が結構残っており、だからこそ当て所のない散歩でも心が弾むのだ。
下関駅を西口に抜けると、すぐに漁港が広がる。そしてその先には、かつて海の男たちが長い漁の疲れを癒すがために向かったと思しき風俗街 『まるは通り』 が在る。

ここにはいわゆるソープランドが立ち並んでおり、昼間から何とも面妖な雰囲気を漂わせている。なお、青春時代に数限りなくオッパイパブに通った僕であるが、このまるは通りには一度として足を踏み入れたことはない。それはなぜか?の部分をここに書くと激しい営業妨害になりかねないため、伏せる。僕は多くは語らない。
時刻は正午過ぎ。ちょうどお腹が空いていたので、前から噂を耳にしていた店へと向かう。ちょどまるは通りの中頃にある飲食店だ。
もう築何年になるのか判然としないほどの佇まいを誇示するこの店、名前を 「大阪屋」 。松田優作氏が生前足繁く通った店であるそうだ。それにしても古く、かつ味のある店構えである。なお、左隅にチラリと僕が写りこんでいるが、全てノイズである。
『ビフテキ』 という表記がなんだか嬉しい。この他にもうなぎ丼やカツ丼、他人丼などがあるそうだ。お腹が空いたので引き戸を開けて店内へと入る。カラカラと小気味良い音を立て、扉はスルリと開いた。
すわ、ここはおばあちゃん家か?と思わず錯覚させられるレベルの内装がズドン。テレビからは定食屋における定番である昼サスが流れている。素早く席に座ると、松田優作氏も好んで食べたと噂されるチャンポンを注文した。どうやらお店は主人とその細君のお二人で運営されているようだ。
松田優作氏のサインが素っ気なく飾られている。昭和57年、僕の生まれる一年前だ。この店の歴史の古さを伺わせる。
待っている間、なぜか本棚の中にあった九大の赤本をパラパラとめくる。一体この本はどの層の需要を狙ったものなのであろうか。ちなみに京大の赤本もあった。マジで意味が分からないぜ。
そうこうしているうちに、ちゃんぽんが到着した。
麺がほとんど見えない。圧倒的なまでのもやし量である。
別アングルがこれだ。チャンポン・もやし入り、というより、もやし・チャンポン入り、という風情。おそらくこのもやし量のどこかに優作マインドが潜んでいるのだろう。よく分からんけどきっとそう。
味としては、何とも昔懐かしい感じ、たとえていうなら夏休みの昼下がりにおばあちゃんがゆっくりゆっくり作ってくれたチャンポンの味、そんなテイスト。魚系のダシが舌に優しい。ただ、麺が見つからない。仕方がないからもやしを掻き分けて麺を探る。あった。手繰った。啜りこんだ。うむ、確かにチャンポンだった。
完食し、お会計をする。と、お釣りを返すときにお母さんが
「これ、持ってき〜」
とポケットティッシュをくれた。食事の最中に僕が洟をぐずらせていたのに気が付いたのだろう。有難く受け取り、店を後にする。再びカラカラと小気味良い音がして、僕と大阪屋とは隔絶された。
軒下から見上げると、かつてあったと思しき看板の内かろうじて "阪" の上半分だけが残っていた。
おそらく、あと何年とこの店は残っていないだろう。寂しいが、時間の流れに逆らうことは誰にもできない。とにかくも、あのチャンポンを食べることができて良かった。そう思うようにした。
■ 大阪屋 地図
まるは通りを抜け、今度は別の路地に向かう。
この近くには小規模なコリアンタウンじみたものがある。
昔は市場などで活気付いていた町なのだが、人口が減るにつれ次第にその様相を変えていった場所だ。

かなり退廃的な画であるけれど、僕はこういう風景が好きだ。見るもの全部が綺麗なもの、整った町並みばかりでは面白みがない。朽ちていったもの、寂れていったもの、そんなものの後ろ側にこそ温度のある何かを感じることができるのではないだろうか。クサいが。
日本語とハングル語とが併記されているゴミ捨て場。これもまた、ひとつの歴史・文化なのだろう。幼かった時分は何も思わなかったけれど。

ちなみに、一部の店ではウォンも使える。
もちろん、使っている人を見たことはない。
道なりに歩くと、一軒の立ち呑み屋があった。九州ではさほど珍しくない立ち呑み屋 (あちらでは "角打ち" と呼ばれる) であるが、下関ではそれほど馴染みがない。珍しいな、と思い、そのまま近づいてみる。すると
僕くらいの賢人になると分かるのであるが、これはいわゆるウソをついている味だぜ。純粋な人ならうっかり騙されるところだろうが、そうはいかない。いかないのである。
この日はなぜか猫をよく見た。
飼い猫なのであろう、首輪がしてあった。猫は嫌いじゃない、というか積極的に好きなので、とりあえず近づいてみる。
殺し屋もかくや、の目つき。
気位の高いご様子であらせられた。
行き行くと、一軒の廃屋。それにつけても廃屋マニアの血が騒ぐ。まるでゲーム "SIREN" の雰囲気。いやしかし、もしかしたら廃屋じゃないかもしれない……人が住んでいるのかもしれない、そう思った僕は真実を確かめるべく、歩みを進めた。
廃屋であった。
一体どのあたりがジャンジャンなのか、本当にジャンジャンしているのか、お前ジャンジャンって書きたかっただけちゃうんか、とその辺りのことを責任者に詰問したい気持ちに駆られたが、グッとこらえて中にインする。
おそらくかつてはたくさんの飲食店で賑わったのであろう、『貸店舗』 の張り紙がやたらと目立つジャンジャン街内部。とりあえず写真でも撮っておくか……と思い、またも廃屋ライクな一軒を激写。
(外側)
(内部)
特に何もなかったのでジャンジャン街の二階部分を探索。全体的に饐えた臭いがする、というのがJG(ジャンジャン街)のアピールポイントだ。

薄暗い。
一部、出入禁止になっていた。これはつまり、何かまかり間違ってこのロープ内に入ってしまった場合、まあ入ったものは仕方ないけれども、出てもいけませんよ、それが出入禁止という言葉の意味ですからね、という、家主側からの熱いメッセージなのだろうか。入ってもダメ、出て行ってもダメ。ジャンジャン街、げに恐ろしき魔境よ。
付近にはひどく埃かぶったヘルメットが放置されていた。おそらく、もう誰にも被られることはないのだろう。作られる数だけ捨てられる物がある、というのは、当たり前の話だけれど、何だかいまは妙に切ない。ヘルメットにおかれましては、どうか安らかに眠って下さい。
何だかしんみりしてしまったのでジャンジャン街を離れ駅に向かう。何の変哲もない住宅地を通る。
目をこらす。
画像の背後に様々なドラマの存在を感じずにはいられない。
このソウル、この味わいは、片っぽ手袋や片っぽ靴下には演出できまい。
また猫がいた。本当によく猫に出会う日である。リベンジとばかりにもう一度猫に近づく。
先ほどの黒猫と異なり、今度は簡単に身体を許してくれた。とんでもないオサセである。
脈絡はないが、下関のマンホールには本当にフグの絵が描かれている。じゃあ下関市民はフグが好きなのか?と問われれば、そうでもない。千葉県民と落花生との関係に近いものがある。
ようやくと駅に戻る。県最大の人口を誇る下関駅でもこの佇まい。
反対側はこうなっている。ちなみに山口駅はこんな外観だ。総じて慎ましやかな県民性なのである。
駅の中にはうどん屋さんがある。このうどん屋、あまり知られていないことだが下関市民のソウルフードとして特に有名だとかそういう話はない。ただ、僕が一方的に好きなことだけは確かだ。
併設されている駅弁コーナーにて、鉄っちゃんたちが高確率で買うと噂される駅弁の御姿。お察しの通り僕が食べたことなどあろうはずもない。
食券を渡すと手早くうどんが作られ始める。GWや盆などは結構な賑わいになるというのだから侮れない。
出来上がった月見うどん350円。水は飲み放題、七味も入れ放題という八面六臂の大サービスっぷり。箸立ての横には布巾も置いてあるので机も拭き放題だ。仏もかくやの献身精神。
散歩の締めとして、駅のすぐ脇にある "シーモール" なるショッピングモールへと向かう。散歩の最後には書店に行く、というのが僕の常なのだ。購入した本を家でゆっくり読みながら、のんびりと一日のことを思い返す……これが不思議と癒されるものなのである。
the 寂聴(第4号)を購入。誰得?もちろん俺得、いや俺徳。かくも後光の差す表紙がかつて日本に、世界に存在しただろうか。ない。
このようにして僕の散歩は終わった。
散歩というと何だか軽く見られがちだけれど、いざ歩いてみると様々な発見が転がっているもの。
雨だとちょっと難しいですが、もしも晴れの休日、どこにも行く予定がないのであれば――ちょっと散歩をしてみては如何でしょうか。折々、コンビニでビールなんか買って飲むのも楽しいものですよ。
それでは、また。
■ おまけ
この前北九州門司区に行ったとき、猿回しをやっていたのだけれど、そのときの一枚。
何というサルメン。
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石川県だけど
次の休みに出かけてみようかな
近くて知らない場所などを発見できるかも
騙されてる気がしないでもない
うどん、孤独のグルメかと思いました。
特に股間辺りを
え?サルは1匹?
こりゃまた失敬
くま○わ書店はでかすぎる、
な○の書店は駅舎に恥じない慎ましい店構えだったのになと、ふと思う。
いいですね^^
してみまする。
大阪屋って定休日とかあんのかな?
またやってください
近所には落花生畑が広がっているのに。
しかし肉欲が下ネタを挟んでこないとは…