【油断】 ゆだん
――気をゆるめること。注意をおこたること。
人が油断しているのを見るのが好きだ。
どんな人間であれ、油断をする状況というのは等しく訪れ得る。
全く油断をしない人がいるとすれば、それは赤ちゃんか、かなりお歳を召した御老人、ということになるだろう。それ以外の人たちはなるべく油断しないように ――素の自分を覆い隠すように―― 日常生活を送っている。
それでも、時に精神は弛緩する。いつもは見せないようにしていた自分の "ナマ" の姿、そいつがふとした瞬間に外部へ露見することがある。酩酊した時、あるいは寝起きの状態、なんてのはその顕著な例だ。脳味噌が働いていない分、虚飾のない自分が外部に出やすいのである。
しかし、酒酔いの状態や寝惚けている状況を指して『油断している』とは言えないのではないか。辞書上では "気をゆるめている" という部分で共通しているものの、感覚的には別次元の事象だと思われる。
個人的な見解になるが、満を持して
「おっ!あいつ油断してるねぇ〜」
と言えるのは、酒が入っている瞬間や寝起きの場面などではない。
週末、金曜日。銀行の窓口が尤も混雑する頃合。テラー(窓口係)の女性たちは普段よりも気を引き締めて業務へと臨む。薄く塗られたファンデーションが、却って彼女たちの気品を高めている。
「本日はどういったご用件で?」
喋りながら、お客に対してゆったりとした微笑を投げかける律子・26歳。一般職としてこの銀行に就職してから早8年。昔に比べて若さそれ自体は失われたものの、10代女性には決して手に入れることのできない艶っぽさが備わった。現に、律子を目当てにこの銀行に通う老人の数は増えるばかりだ。歳を重ねることはそう悪いことばかりではない――いつしか律子は、そんな価値観ことを思うようになっていた。
「お振込みですね。それでしたらこちらの用紙に」
考えるより先に口が動く。熟達したテラーとして当然のことだった。けれど、その声に事務的な色が混ざることはない。あくまで親しみやすく、それでいてプロ然として。それらの匙加減も、やはり律子ならではのものである。
「187番でお待ちのお客様」
口を開きながら律子は壁掛け時計に視線を向ける。14:45……あと15分もすれば、一息つける。自然と終業後のことに思いが飛んだ。刹那、下っ腹の辺りが熱くなるのを感じる律子。そう、律子は副支店長の越坂部と不倫関係にあったのだ。
「本日はどういったご用件で――」
いけない、と思いつつ、今夜繰り広げられるであろう情事へと思いを馳せた。初めて越坂部との関係を持ったのはほんの半年前のことだ。彼に誘われるがまま関係を持ってしまったが、今では彼のねっとりとした濃厚な愛撫の虜となった。今日はどんな風に彼から攻め立てられるのか……と思うにつけ、仕事への集中力がたちまち薄まっていく。
「ええ、この口座に30万円振込もうと思って」
目の前の客から発せられた言葉に我を取り戻す。いけない、今は業務に集中しなきゃ――慌ててそう思い直した律子は、客からの言葉を反復した。
「それではこの口座に30オマンコの振込みですね?」
律子は一瞬、自分が何を口走ったのか理解できなかった。ハッとして目を上げると、窓口越しに座っていた男がポカンとした表情で律子のことを見つめていた。聞かれただろうか、気づいただろうか――?表情には出さないものの、律子の脳内は混迷を極めた。
「30万円の……」
咳払いと共に言葉を繰り返す。聞かれているはずがない、聞かれていたとしても空耳だと思うはずだ。そんな淡い希望と共に、律子はいつも通りの笑顔を保とうとする。しかしながら。
「あなた今、オマンコ、って言いましたよね?」
眼前の男が極めて冷静な口調で言い放った。聞かれて、いた。刹那の油断、束の間の弛緩からの発言を――この若い男は聞き逃さなかったのである。オマンコ、それは行員として決して許されざるタームであり、律子の8年を根底から否定する失言でもあった。
「わ、私は、そんな……言ってません……!」
「おや?あなたは今、確かに『オマンコ』と言いましたよ。それはこのボイスレコーダーも証言してくれる」
「そんな非道な……」
「別にこのことを大袈裟に騒ぎ立てるつもりはありません。ただ、仕事が終わったら神社通りのカフェに――来て下さいますね?」
そこまで言うと男は手早く書式を完成させ、極めて機敏な動きで銀行を後にした。呆然と佇む律子の目の前には物言わぬ振込み用紙と、ひたすらに無機質な30万円が横たわるばかりなのであった。
「もうおしまい。何もかもが、おしまいなのよ」
【女郎蜘蛛・律子 〜策謀の稟議書〜 第2章へと続く】
ノイズが入りました。油断の話です。
とどのつまり人が油断をしている瞬間を見つけるのって実に面白いのですが、その油断が好きな人から放たれるものとあれば、その味わいも格別です。
常日頃から化粧がバシッ!とキメている人が、不意に放つ一本の鼻毛。あくまでも "一本" というところがミソであり、これが二本ないし三本、あるいはそれ以上…となると、途端に『油断』としての価値が薄まってしまう。僅かに一本だけ、乾坤一擲の勢いで一本のみが!飛び出しているからこそ、僕たちは
「いい鼻毛、見たな」
という思いにさせられる。日常的に鼻毛を誇示している人から飛び出している鼻毛を見たところで、僕たちの心には何の動静も訪れません。あなたは街行く野良犬の姿を見て『キャッ!全裸!』と顔を赤らめますか?だからこの話だって同じこと。普段は見えないからこそ、油断をしているからこそ――その鼻毛、ヴィヴィッドに輝いて見えて。
剃り忘れた腋毛、これも深いコクを放つアイテムです。この辺り難しいのですが、剃り忘れの腋毛が真価を放つのは、あくまでも冬のみ。夏場に剃り残しの腋毛を発見したとしても、そこには何らの価値もありません。
冬です。冬の腋毛。僕は別に腋毛フェチではないのですが、雪深くなる時分に出会う腋毛というものには、格別の味わいが御座る。
なぜか?例えば夏場に剃り残しの腋毛に出会った場合、僕たちは瞬間的に
「夏であれば日常的に腋ケアくらいするはずなのに、この剃り具合。これは油断なんかじゃなくってただズボラなだけなんじゃない?」
というストイックな思いを抱いてしまうからに相違ない。だからこそ我々は夏場の腋毛に何らの価値も見出さないのですが、姉さん、冬です。冬場に見る腋毛というものには、総じて何がしかの理由が潜んでおります。
本来なら隠して、隠されて然るべき存在の冬のゲワキが、どうして脱獄したのか?プリズンブレイク?僕たちは、僕は腋毛そのものよりも、その "どうして?!" の部分にたまらないコクを感じるナマモノなのです。
僕「この部屋って暖房強いよね」
「ホント、汗かいちゃう。ちょっと上着脱ごうかなぁ」(ヌギヌギ)
僕「あれっ?何か今日のワキ具合、いつもより情熱的っていうか……アッ!」
「えっ?…キャッ!!こ、これは違うの!!その、あの、まさかこんな薄着になるとは思わなくて、それで……もうやだー///」
僕たちが大事にしたいのはこのパラグラフ。
『油断しちゃって……でもいつもは違うの!本当なの!!』
顔を赤らめて主張する皆さんの姿を見たいのである。ニヤニヤしながら!チクチクと苛めながら! 『ツクシの子が恥ずかしげに顔を出します、みたいな感じだね^^』 とか言いながら!!楽しみたいんです。だからその意味で言えば、腋毛はあくまでも舞台装置の一つでしかない。主役はいつだってアナタだけなんです。分かって欲しい。僕は腋毛フェチなんかじゃない。
だからこそ。
同じような状況であっても
僕「あれ?今日はなんだか……」
「あー?うっわー、腋毛剃り忘れてた!まあしょうがないでしょ、冬だし。ギャハー!!」
これは好ましくありません。この場合、L.A.の法を適用すれば撲殺も許されることになります。悲しいことですが、司法界隈では『腋毛の開き直りは極刑』と相場が決まってます。どうかお気を付けて。
屁の調べを聴きたいのです。恋する人が、愛する人が、大腸というバクパイプから放つ、乾坤一擲の屁を!――是非ともこの耳に、この鼓膜に。奏でたいのです。分かるか?!
分かって欲しい。別に僕は屁フェチじゃない。屁フェチじゃないけれども……僕は見たい。油断して屁を放つ女性がどんな顔をするのか、どんな息遣いになるのか、あるいは、どんな劣情を催すのか?!それらを丸ごと、最大限の油断タイムである 『屁の刻(とき)』 に、僕は全てを!!手に入れたい。その破壊力、衝撃、開放感、etc。鼻毛や腋毛なんかには及びもつかんよ。
果たして僕は『屁の刻』に出会ったことがほとんどない。それだけ女性側も "屁" に対してナーバスになっている証なのでしょう。世の女性の中には躊躇いもなく屁をカマす女性もいると聞きますが、生憎僕の周りにはそんなアニマルは生息していません。もし存在したとしても、恥じらいのない屁など僕は求めていない。
「いやー、でかいの出ちゃったー!ギャッハー!」
ムスリムの法を適用すれば即座に扼殺しても許されるケースだ。司法の局面は、開き直った屁に対して辛辣なのである。
僕「そうそう、それでさぁ」
「あらあらうふふ」(ブボボ!!モワッ)
僕「えっ、今の……?」
「いやっ、イヤァァァ!!」
求めるべきはこのリアクションでキメ。汝が屁をこいた瞬間、そして屁をカマした自分を認識した瞬間、最大級の恥じらいを見せて欲しい。
"屁"というカルマを背負って頂きたいのです。
僕「昨日、ギョーザ食べた?」
屁の音色を聞いた僕は、ラグナロクよりも重い一撃をアナタにお見舞いするだろう。屁という媒体は何よりも雄弁だ。もしアナタが前日に点心あるいはラーメン二郎を口にしていたならば、僕はコナンよりも鋭くその事実を指摘することになる。なぜか?理由は簡単だ。超★興奮するからである。分かって貰えただろうか。
僕「でもさ、生理現象だからそんなに気にしなくても」
「バカバカ!全部忘れて!死んで忘れてよ!!」(ガッシボカ!)
もう死んでもいい!僕がそんな風に思う数少ない瞬間だ。好きな人が油断をして、屁をカマして、挙句に泣きそうな顔で僕をポカポカと殴る。これ以上の愉悦、他にあるか?!マジで!!繰り返すが、僕は屁フェチじゃない。あくまでも
『油断して屁をカマしちゃったダメなワタシ、もう消えたい……』
というマインド、ないし表情、あるいは狼狽を――僕は!見たい!聞きたい!吸い!込み!たい!!な気持ちなのである。断じて屁フェチではない。ご理解いだだけますでしょうか。そのことを抽象的にいえば『油断したアナタの姿を見たい』……と、こうなるのですね。
鼻毛もいい。腋毛もいい。けど、油断した屁はもっといい!そんな僕の、切ないシャウト。伝わらなくてもいいから、せめて耳だけ傾けておくれよ。
もちろんこれはネイチャー(自然)な油断に限定されるのであり、作られた油断、世間的な言い方をすればエセ天然、みたいなシチュエーションは一瞬で殲滅モノです。鼻毛だとかパイ毛だとか、そういうキワキワの油断だからこそ価値があるのに、自己防衛に走りつつそれでも油断的な側面を見せたいメスどもが、ヌルいラインで
「やっだー!パフェのクリームが口元に付いちゃった!エヘ☆」
といった安い演出をカマした場合。僕はそのメスを豆腐の角で撲殺することでしょう。作られた感動はいらない。欲しいのはただ、ヒリつくようなリアルだけなのです。
■急募■
屁.mp3
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【肉欲より】
ひとまずは簡単にできる安眠対策から始められてはいかがでしょうか。
・寝る前にはパソコン、携帯などは見ない(過度に光の刺激があると、睡眠促進ホルモンが分泌されない・・とかなんとか)
・お風呂は早めに入る
・手足は冷えないようにする
・運動不足であれば、軽くストレッチをする
・温かいミルクを飲んでみる
などなど。ナイトキャップ(寝酒)は肉体・精神ともに悪いと聞きますので、なるべくなら避けた方が良いかもしれません。
それでもダメなようでしたら……個人的な見解になりますが、まず『寝なくてもいいか』みたいに、気楽に構えられてはいかがでしょう。
ハッキリした話ではなくて恐縮ですが、世の中には寝不足でお亡くなりになった方はいないとも聞きますし(過労は別ですが)。やっぱり僕も眠れない時はあります。そういう時は開き直って読書をしたり、好きなサイトを見たりして過ごしています。もちろん次の日は眠いんですけど、その分、その夜は早く眠れますよ。
参考になれば幸いです。良い眠りが訪れますよう。
ttp://fsokuvip.blog101.fc2.com/blog-entry-430.html
146にあります
高校時代、あの夏の半袖から見えるのが好きでした。
ってAVありましたよ、昔。
死にたいです。
もう別れた今、当時を思い出してみると、常識的に気持悪いですよねorz
恥ずかしがればいいのね!
ふむふむ
よかですよね、わかります。