肉欲企画。

twitterやってます。

2008年09月28日

臭いものに蓋を

 
 
飲み会なんかでトークが映画の話に及んだ際に、作品名ではなく監督の名前 (ゴダールはさあ……黒沢はさあ……的な) で映画を語る人がいる。率直に言って、僕はそういう方々が苦手だ。

何もこの話は映画に限ったことではない。およそ文化的なトークになった時、このテの『作家を苗字で呼んじゃう人種』というのは、どこからともなく現れるものだ。

「やっぱ三島はさぁ……」

お前は三島由紀夫友達なのか?そしてこういう話題が酒の席で展開された場合、『三島はさぁ』と呟いた男(あるいは、女)は、確実に "してやったり" な顔をしているものだ。注意してご覧になって欲しい。

何かに対してこだわりを持っている人の話を聞くのは好きだ。別に僕が全くあずかり知らない分野の話でも構わない。

建築であれ陶芸であれ、あるいは農学であれ。どんな話をするにしても、その話が面白いか否か?を決するのは、話し手がその対象に抱いている『愛情の度合い』によるからだ。愛情に富んだ話は総じて面白い。

一度、中野の赤提灯で隣にいたおじさんから

『切手がいかに素晴らしいか』

をテーマに一時間ほど熱弁をぶられた僕が言うのだから、間違いない。

こだわりのベクトルが間違っている人の話を聞くのは、辛い。例えば上述したミシマー (三島由紀夫のことを『三島はさぁ…』と言う人。同じような人種にアクタガワーやダザイーなどがいる) な人たちの話は退屈だ!と相場が決まっている。

なぜなら、基本的に彼らは『三島由紀夫のことを三島と呼んじゃっている俺』に話の力点を置いているからである。その背景には

「三島由紀夫のことを三島と呼べるくらいには三島由紀夫の作品、読んでるんだぜ」

というものがあり、詰まるところ彼らは

『そんなオレって(ワタシって)すごくない?』

を言外に語っているだけのことだ。彼らにとっての『三島』は自分を装飾するための記号に過ぎず、話の根底に流れているのは "三島由紀夫を通しての自分語り" でしかないのである。そんな話が面白いはずもなく。

だから僕は飲み会の席で

「伊丹はさぁ…」

とか

「押井はさぁ…」

的な声が聞こえてくると、即座に距離を置く。どれだけ鼻を利かせても、ウンコはやはり臭いからだ。臭いと認識しておきながら、ウンコにわざわざ近づいて『これ、やっぱり臭いよ!』と叫ぶのは大人のやり方ではない。


ウンコを見たら、黙って回れ右をするべきだ。


自分語りが悪いとは思わない。僕だって自分語りはするし、大雑把に言えばどんな話題だって突き詰めれば自己のパーソナリティへとたどり着く。ただ文芸・文化的な分野で自分語りをする/されることが苦手、という話である。お好きな方はどんどんすればいいと思うし、それを邪魔することはない。

僕の場合は必然的にエロを通しての自分語りに落ち着く。別に意図してのことではないが、気の置けない仲間との飲み会だと最終的にエロ・トークが咲き乱れていることを勘案すれば、やはりエロというフィルターを通して自分語りをするのが好きなのだろう。

『気の置けない仲間』と注釈した通り、初対面の方にエロトークをサクレツさせることはない。相手の性格を知りたい!と願う時、エロトークは便利なアイテムではある。が、良く効く薬には必ず副作用がある。用法用量は守らなければならない。

『男も女もみんなエロいんだよ!だって俺らは両親のセックスで産まれてきたんだろ?』

たまにこんなことを言う人がいるが、それは詭弁だろう。セックスの結果僕たちが生まれた!というのは確かかもしれない。だからといって『人類皆エロい』と結論づけるのはいささか乱暴だ。厳密にいえば僕らは射精と受精の結果生まれたのであり、射精と受精そのものについて『エロさ』は何の関係もない。

『エロトークは嫌われることがある』という話である。当たり前のことかもしれないが、時に僕たちはそのことを忘れてしまう。場の空気も読まず、さも当然!といった風情でエロトークを語りまくるメンズ。どこにでもある光景だ。

「フェラチオっつーのはさあ……」

臆面もなくそう語る人の後ろに、ミシマーやクロサワーの影を感じる瞬間がある。そしてこれは三軒目の居酒屋での僕の姿でもある。気をつけなければならない。生理現象としての性欲を否定するのは愚かしいことだが、欲望のままに吐き出されるエロトークに対しては好き嫌いがあっていい。


ただ、それでも。
こっちが勝手に盛り上がっているところに突然姿を現し、挙句

「男ってさぁー、マジでそういう下らない話が好きだよね。楽しいの?」

と、カシスウーロンを片手に説教するのはやめてくれ!僕のボルテージがマックスになるもの大抵そういう時だ。

僕「じゃあ、お前はセックスしないの?」

「そーゆー話じゃ、ないじゃん!」

そーゆー話、に決まってんだろうが!こちらから話を振ってもいないのに自ら首を突っ込み、挙句『楽しいの?』と聞いてきながら、その言い草はないだろう。

僕「だってお前、好きな相手にはフェラチオすんだろ?頼まれたらアナルくらい舐めるだろ?

「サイテー!」

あなたは『サイテー』の意味を広辞苑に問うといい。僕はただ事実を摘示しただけのことだ。確かにあなたがアナルを舐めるかどうかは知らない。が、確実にフェラチオくらいはするだろう。それが人として生まれたことの意味であり、チンポをディープスロートしてみて初めて分かる事も、ある。

僕「と言うことは、お前は一度でも性的なものに興味を持ったことがないの?神に誓って?」

「それは……」

沈黙は何にも増して雄弁だ。また、僕らが動物である以上、性的なマターから逃れることは不可能である。その意味で僕の問いかけは卑怯なやり方ではあるが、最初に無粋なやり方で我々の垣根を壊したのは相手の方なのである。そんな時、僕は決して追及の手を緩めない。

僕「オナニーもするわけでしょ?やっぱ

「するわけないじゃん!意味わかんないし!」

僕「じゃあ生まれてこの方、一度でも興味本位でマンコに手を伸ばした経験はないの?神に誓って?

「いや…まあ……」

別に『マンコに手を伸ばす=オナニー』ではないのだが、僕は正しさを求めている訳じゃない。僕は僕なりの正義を貫くために頑張っているだけに過ぎない。負けられない戦いが、そこにある。

僕「ナスくらい突っ込んだこと、あるでしょ?」

「ないわよ!!!!」

僕「そりゃないだろうね。俺もないもの

時に押して、時に引いて。その時、僕の心はタフ・ネゴシエーター。相手を篭絡するためだったら、どんな手段だって使ってみせるさ。

僕「だから結局のところ、エロ心抜きにしても我々は性的なアフェアーから逃れられないワケでしょ。もちろん、それを見ないようにして過ごす人生もあると思う。でも俺たちは逃げない。それが人として背負ったカルマだからだ」

「意味分かんないし」

僕「分かれ。お前はアレか、屠殺場に行って豚が殺される様を見ながら『ヒドイ……』なんて言いつつ、翌日にはモリモリとトンカツを食べるような輩か。俺たちの話に『サイテー、下品ねー』なんて言いつつ、今晩には彼氏の上でリオ・デ・ジャネイロか」

「ヒドイし……」

僕「ヒドくないし。アレでしょ、この後は家に帰って『今日飲み会でセクハラされちゃって…』だなんて嘆きつつ、彼氏にヨシヨシされながらの "慰められファック" するんでしょ。分かる!燃えるんだよなー、ああいうのっt」

「あー、もうウルサイ!!」

僕「テメェこのバカメス?!俺のご高説を」

「この人、コワーイ」

そして女はカシスウーロンを片手に、そそくさとどこかに消える。一部、実話である。

酒の席でのことだ。どちらにしても妥当な着地点なんて、見つかるべくもない。それぞれがそれぞれに『自分が正しい!』と思っていればこそ、議論は加速度的に紛糾してしまう。勝ち負けなんてどこにもない。後にはただ、砂を噛んだような後味の悪さが残るだけだ。

僕はエロを通して物事を語ることが好きだ。なぜならその方がシンプルだし、本能に直結する分相手の人となりを理解しやすいから。

でも、そういうやり方が嫌いな人の多いことも理解している。その意味で、エロトークをカマす場合は相手を選ぶ。

だからこそ。こちらが配慮しているにも関わらず、敢えてまで近付いてきて『サイテー!』と罵るのはやめて欲しい。僕は自分がウンコであることを自覚しているが、そのウンコを木の枝に刺して誰かの鼻先に近づけるような真似はしない。

ウンコは臭い。まあ臭くないウンコもあるらしいが、どちらにしてもウンコはウンコである。

だから。
ウンコを見たら、黙って回れ右をするべきではないだろうか。
敢えてクンカクンカ嗅いでおきながら、挙句に『臭い!』と言われても、僕は何もできんよ。

だって、ウンコだもの。

人気ブログランキング
posted by 肉欲さん at 00:44 | Comment(41) | TrackBack(0) | 日記 このエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
unkounkoうるせえwww
Posted by at 2008年09月28日 00:52
よく分からないけど何か嫌なことでもあったんですか?

【肉欲より】

たまに意図せずそのような勘繰りを受けることがあるんですが、嫌なことがあったら日記なんて書かずに寝ますw
Posted by Sim at 2008年09月28日 01:08
実話かぁwww
Posted by メジロ at 2008年09月28日 01:10
どの部分が実話じゃないのかw
Posted by いくり at 2008年09月28日 01:18
強烈に共感しました。
Posted by at 2008年09月28日 01:39
だってウンコ見たら嗅ぎたくなるじゃん
Posted by   at 2008年09月28日 01:57
肉さん流石っす!

確かに自分の武勇伝を織り混ぜつつのエロトークには、ミシマー等と類似するオナニープレイを感じますね。
Posted by へろ at 2008年09月28日 02:23
うんこは嗅がずにいられないたちなんだが
Posted by ぴーやー at 2008年09月28日 02:33
明らか肉さん劣勢な口論すねw

確かにホントに好きな作家には『さん』を付けますね。
僕はあなたを人に話すときは肉さんて呼んでます。
Posted by りけい at 2008年09月28日 02:36
そんな「ウンコ」を連発して言える歳でもないでしょう・・・
でも、そんな肉欲さんが好き
Posted by スケッチ at 2008年09月28日 02:41
ウンコだって、時には肥料になりますよ。
Posted by at 2008年09月28日 03:17

実に実話のオイニ―がルースーですね。

女よ、正直になれ。

と言いたい。
Posted by 駄菓子 at 2008年09月28日 03:39
自分語りも相手を意識するかしないかで随分違いがありますね。

今まで考えたこともなかったですが。僕はお互いが知っている作家は苗字、知らないとフルネームな気がします。
しかしお互い知ってても肉さんは肉さんな不思議。
Posted by MJ at 2008年09月28日 03:47
みつをwwwwww
Posted by ゆべし at 2008年09月28日 10:14
『そんなオレって(ワタシって)すごくない?』の人は
結局自分の世界で独り言を言っているのと同じで
対人間が居ても頷くか同調かハハー(感心)としてくれる人が欲しいだけで(頷きマシーン(ロボット)があればいいですね)

相手の事なんてこれっぽっちも考えてない、
つまり
相手の立場に立てない(想像力欠如)の人間なのです。
Posted by 蜜柑娘 at 2008年09月28日 12:33
つーか男子って、うんこ見つけたら大概嗅ぎに行くよね。
で「クッセー!」とか言って大ハシャギするの。

臭いものを、臭いとわかってて確認したくなるのって、なんか本能に近い行動のような気が。
Posted by at 2008年09月28日 12:39
今日の文章も洗練されていて、まっこと美味でした。
Posted by けん at 2008年09月28日 14:16
コメントでも自分語りする奴多いよNE☆
Posted by at 2008年09月28日 14:33
全盛期の肉さんなら反論より先に脱いでた
Posted by   at 2008年09月28日 15:00
この人、コワーイ!

この一言が一番腹立ちますね!

Posted by at 2008年09月28日 16:41
エロトーク…自重しますaa
Posted by ぽん at 2008年09月28日 17:26
肉さん、素敵過ぎる理論です
Posted by at 2008年09月28日 22:02
いつも楽しく見させて頂いてます。自分を素直に出せる肉欲さんはすごいと思います。これからもエロい肉欲さんを応援しています。
Posted by at 2008年09月28日 22:29
うん、この通りだ。
Posted by 浪速の大魔神 at 2008年09月29日 00:22
慰められファックとかマジたちました
ここ実話ですよねwww
Posted by at 2008年09月29日 00:28
いつかあなたに論破されたい。
Posted by 雌 at 2008年09月29日 02:27
都内の某有名私立大学の准教授だが文学トークは避けようかしら。
Posted by at 2008年09月29日 02:29
スゲー文章を毎回書いてくれますなぁ。感謝や。
Posted by at 2008年09月29日 02:33
肉欲はさぁー、ウンコ糞だから黙って周り右にかぎるよね。ま、これ普通の人の場合だけどね。オレ達、ニクヨカーになるとウンコも鼻に突っ込んで口から出しちゃって、ほっしゃんも驚愕のうんっこしゃんの出来上がりですよ。

とは決して言えない 笑
Posted by at 2008年09月29日 07:47
大学の准教授が肉欲企画を読んでいらっしゃる事実に愕然とした。
そんな自分は大学生。先生,単位ください。
Posted by at 2008年09月29日 08:18
エロトークできない女子の中にいて、もどかしくなるときが…ぜひ、肉さんと飲みたい。
私は泡盛を水割りです。
Posted by なか(女) at 2008年09月29日 12:25
普段の力弁にスカトロジーまでサービスとは恐れ入ります
Posted by at 2008年09月29日 14:00
うんこに自分から近づいてきた奴の鼻孔を刺激するのはうんこの宿命ですし、肉さんの高説は、誇るべきものだと思いますwww
Posted by 雌蛾 at 2008年09月29日 23:56
うんこならよってくるハエはほっとけばいいと思うのですが
肉さんにとってはそのハエが臭いわけでしょ?
Posted by at 2008年09月30日 01:55
肉さん、才能の無駄使いですよ。
でも、そんなあなたが好き!!
Posted by at 2008年09月30日 02:31
もう何も言えねぇ…。
Posted by at 2008年09月30日 06:30
はじめまして。
エロトークほど会話スキル問われる話題はないですよね。
セクハラとの境界線上でダンスする肉欲さんを拝見したいです。
Posted by 白玉 at 2008年09月30日 18:56
肉さん、今宵もサイコーだね。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm4274181
Posted by ten at 2008年09月30日 22:45
その道のプロになりきって話してるやつは多少ムカついたりしちゃいます。でも言論の自由もあるのであえて聞いてやることにしてます。


台風に気をつけてくだそ
Posted by メンマより顔 at 2008年10月01日 00:59
頭の中ではなんとなく輪郭はつかめているのにうまく言葉にできない。

そういうことをうまく文章化している肉さんはやはりすごいと思うんですよね。
個人的にすごく印象に残ってるのは「守りたいもの、守るべきもの」っていうタイトルのやつです。肉欲企画は人をひきつけてなかなか離さないいやらしさを持ってます。大好きです。
Posted by フルスロット at 2008年10月01日 15:13
くさいとわかっていて嗅いでしまう靴下のようなものだ
Posted by   at 2008年10月06日 00:53
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

メールフォーム
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。