「最近、出会いがないんだよねー」
先日、知人の女性からアンニュイな調子でこんなことを言われた。出会い、それはこの文脈では当然に『異性との出会い』ということになる。
最強の出会いツールは何か?色々あると思うが、古来より最も出会いに適したアイテム、それは勿論皆さんもご存知のこと、食パンである。
出会いたければ食パンを咥えて曲がり角まで走ればいい。極めて当たり前の話だ。ただ、僕たちは往々にしてあまりにも自明なことを忘却しがちだ。日々に流され、仕事に忙殺され、ストレス社会に飲み込まれ――その中で。当たり前だったはずのことは、いつしか当たり前ではなくなってしまう。
食パンを咥えよう。そして走ろう。新しい出会いのために――今日の論旨はこれだ。いつも『無駄に長い、長い』と謗られる傾向にある僕の日記だけれど、たまにはこんな風に簡潔な結びも悪くない。何も足さない、何も引かない・・そんな今日の日記。食パンを咥えて、走れ!これ以上に何か言うことは、ありませんよね当然。
しかし待てよ……?一口に『食パン』といっても、そこには大きく分けて二通りのパターンが考えられよう。つまり『トースト』と『生パン』の二者だ。焼いた状態を咥えるべきか、あるいはナマの状態か?考えてみればこれは複雑な問題であるにも関わらず、これまで総合的な考察は殆ど与えられてこなかった。こんな理不尽な話もない。
僕は当然”トースト”であるべきだと考える。トーストされた食パンには、あなたの人間性が如実に反映される。遅刻するかどうかの瀬戸際、それでもパンは焼いておきたい!というマインド、それはあなたが『ホンモノ』を知っているからこそ抱く思いだ。食事とは、ただ腹を満たすためだけのものではない――というストイックな姿勢、真摯な態度。これは評価されて然るべきである。
翻って、焼いてない食パン(便宜上『生パン』と呼称する)を口に咥える方というのは、どうか。憶測になるが、そんな彼女たちは極めて高い確率でヤリマン、あるいはガバガバであろう。惰眠を貪り、遅刻する寸前になり飛び起き、それでも空腹だけは何とか満たしたいものだから、”とりあえず”の精神で台所にあった生パンをその手にする。
『何でもいいから”とりあえず”お腹に入ればいいや!』
ダウト。とどのつまり僕が問題視したいのはこの部分だ。この方は欲望の赴くままに惰眠を貪り、また時間に追われながらも本能の叫びに抗えず生パンを口にしている。つまりこの二つの点から僕たちは『この人は本当にだらしない性格の人なんだ』ということを察知しなければならない。そして、食欲と睡眠欲の部分がだらしないのだとすれば、その怠惰性は当然性欲にも敷衍する。だらしない異性関係、だらしないセックス。きっと流されるままに中に出す、あるいは出されるタイプに相違ない。
それに比してトースト派の実直さときたら。まず僕たちが刮目すべきは『遅刻といっても、食パンを焼く程度の時間はあった』という部分である。つまり、本質的な部分で彼女は寝坊をしていないのだ。では、どうして彼女は食パンを咥えて走らなければならなかったのか。食パンを焼く時間があったらば、さっさと家を出た方が良かったのではないか?――という声もありそうだが、聡明な皆さんならもうお分かりだと思う。つまり彼女は『ドジっ子』だったのですね。
「ヤダッ!食パン焼いてたらもうこんな時間!遅刻しちゃうよぅ」
この文脈。僕らが街角でトーストを咥えた少女を見た場合、当然ここまでは読み取らなければならない。たとえばアナタが街角で食パン少女を目にした場合、その脳内では即座に
『遅刻しそうだというのに彼女の咥えている食パンは焼かれている⇒分かった彼女はドジっ子に違いない』
という因果経路が構築されるべきである。蓋し、これが論理学と呼ばれるものよ。
伝わっただろうか。形から入ることは確かに大事だが、古の格言にもあるように『神は細部に宿る』。最も大事なのはディティールなのであって、大枠ばかりに心を砕くべきではない。パンを咥えて走る!というメソッドそれ自体は評価できるものの
その場合のパンはどういった形式のものか?
その部分に目を向けられることはあまりないのではないか。本当は、それこそが最も論ぜられるべきテーマなのに。
こういう話は他にもよくある。『細部がぞんざいな人』の話だ。スタイルは何となくイマ風なんだけど、じっくりと細かいところを見ると何かがオカシイ……そんな人。たくさんいると思う。
真新しい服でバッチリにキメているのに、値札を外し忘れている人。ぞんざいだ。木を見て森を見ぬ!な性格であるその方は、きっとフェラチオもぞんざいである。眉毛はしっかり整っているのに、目ヤニもしっかりと残っているメンズ。ぞんざいだ。なし崩し的に中出しを求めてくるタイプである。
詰まるところトーストも身だしなみも、細かいところがきちんとしていないと意味をなさない。逆に言えば、各々の人間性というのは見えにくい部分にこそ現れるとも言える。それはある意味で理屈だけでは察知しにくい部分であろうし、ブルース・リー師匠のお言葉を借りれば
『Don’t think, feel』
のマインドが求められる場面でもある。経験値を積んでいって初めて得られる知見というものもあるだろう。
例えば、ある人の人間性を窺いたければその人が起居する部屋を見れば良い。強調しておきたいのは
『部屋が雑然としている』
ことと
『部屋が汚い』
こととは、決して同じ意味ではない。『雑然として汚い部屋』は当然あり得るが、『雑然としていて清潔な部屋』も存在し得る。モノは散らかっているものの、よく見ると埃は積もっていない……という状態のことだ。大部分においては乱雑だが、細かい部分は綺麗にしているのである。
それとは逆に『整理整頓されていながら汚い部屋』というのも、ある。つまりモノは片付いているのに、よく見ると隅の方がやたらと埃っぽい……という状態である。大部分においては整然としているが、細かい部分が乱雑なのだ。経験則の話になるが、前者よりも後者の方がだらしない人間が多いものと思われる。いわゆる『四角い部屋を丸く掃く』ないし『部屋は綺麗(に見える)だけど、押入れはグチャグチャ』な方々のことだ。感覚的に分かっていただければ幸いである。
もっとポイントを絞ってみよう。あなたが異性の家にお邪魔する場合。その人の人間性をどうにかして窺いたい!と思うなら、玄関・トイレ・台所の状態をそれとなくチェックすると良い。
自論になるが、この三箇所がキッチリと綺麗な人は人間的にも社会的にも信用の置ける人物である割合が高い。逆にこの三箇所がキッチリと汚い方は、やはり『それなり』の人である場合が多い。それは男性であれ、女性であれ。
食パンのことから大幅に話が逸れてしまったが、強引にハンドルを戻そう。だから、もし『個々人の人間性は細部に宿る』という説が真なのであれば、大事なのは『食パン』というフォーマットではないことになる。
『遅刻』
『曲がり角』
『走りながらの食事』
という要素を満たしていれば、ある意味で何を食べていても状況は成り立つ。ただ、細部が大事になるだけのことだ。
やだっ!遅刻しちゃう、と玄関を飛び出し、路地を駆ける。そして曲がり角に差し掛かり、出会い頭に異性にぶつかる!というこのシークエンス。そこで着目されるべき”細部”は『あなたが食パンを咥えて否か?』なんて部分ではなく、もっと踏み込んで『食べていたモノに対してどのような思い入れがあったか?』という点に集約されるのだ。
「たとえそれが素麺であったとして、も?」
素麺、いいじゃないの。遅刻、遅刻!とシャウトしながら、素麺をすすり込む女児。まことに玄妙な様だと思う。ただ、聡明なあんたらならもうお分かりの通り、だ。僕たちはただの素麺には興味ありません。三輪素麺、鶏卵素麺、揖保乃糸などのブランド素麺こそが僕たちの厳しい審美眼に耐えうるのであり、100均で投げ売られている素麺など下の下。そんな細部に僕たちの魂、いわゆるソウルの部分は震えない。
品質の良い素麺を用いているだけでは当然足りない。トッピングは?薬味は何なの?その部分にまで思考を及ぼすことにこそ、”細部”を論じる意義がある。錦糸卵は入っているのか、ネギは九条ねぎか、おろし生姜はチューブのもので手抜きをしていないか、生おろしの場合は鮫肌おろしを用いているか……そこまでキッチリ確認したいところであり、また我々にはそうすべき責務がある。なぜか?ただ漫然と素麺をすすりながら走っている老婆が娑婆に存在するとすれば、それはただのキチガイでしかないからだ。
でもそこに吟味されたトッピングや極上の薬味が介在することにより、その素麺に明確な『主張』や『覚悟』みたいなものが見えてくる。そんな時に我々メンズは、思うのだ。「この人、ステキだな」って。本当の話だよ。
夏の盛りは終わってしまったが、秋の出会いを禁じる法はどこにもない。その時、世情に流されて形から入ってしまうココロも理解できるが、僕は繰り返し『それでも細部を侮るな』と声高に叫びたい。オネエキャラで攻めるのであれば、下着もキッチリとオネエ系で。バッチリカツカツの服を着ておきながら、下着のみがズロースであった場合、僕はその人をバール状の物体で殴打してしまうだろう。
本当に大事なもの、それは分かりやすいところには存在しないのである。
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あれはだらしなさが発する妙味である
どんなもんでしょう。
ところで、ブログ右側にあった
過去ログ選がなくなってしまってるんですが
新しい過去ログ選作られる予定とかありますか?
でも、トースト=自分で焼くっていうのは一人暮らしなら自明ですけど、高校生とかは親が焼いてる可能性もあるのでドジっ子じゃないかもしれませんよ?
ラフな、お洒落なんて構ってられっかぁ!!な服装
でも下着ぐらいは…って事で下着は派手っていうのがADの定番らしいです。
じゃなかったっけ?
【肉欲より】
よく間違えるんですよね…失礼いたしました。
【肉欲より】
すいません、正直ノリで書きました
咥えて家を出るなら生の方が良いです!
管理人イメージが変わりましたね。
先日、東寺でこのイラストにそっくりな男性を見かけて、
瞬間、なぜか肉欲さんを思い出しました。
帰宅してこのサイトを見てビックリ!
ただそんなの作る暇があるなら、確実に遅刻しませんけどね。
ただ麺の話は蛇足かな〜なんて偉そうにすいません。
そうですか…
毎回読むたび肉欲さんワールドに引き込まれてしまいます。
ところで、文の中に『トーストを加えた少女』と書いてあるところを見つけました。
ちょっと嬉しいです♪
【肉欲より】
ショック!
私的にはトーストはお母さんに焼いてもらいたい。
テーブルには他のものも並んでて、「トーストだけでも食べていきないっ!」「時間ないの〜っ」的な会話のある家庭の少女と、バス停前の樋口さんちの角あたりでぶつかりたい
「大枠ばかりに心を砕くべきではない」って人なんだろうだから、
主旨と矛盾してね?
勘違い?
オレがアホなの?死ぬの?