肉欲企画。

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2008年07月30日

行く春を悔やむな


 
いつかの日記で『僕たちはいつでも初動が遅すぎる』という旨のことを書いた。どういうことかと言えば、僕らは恋愛イベントにおけるアレコレに対し、いつだって直前になってからしか危機感を抱かない……ということだ。

当たり前のことだが、バレンタイン当日になって『ヤベえ!今日バレンタインじゃん!』と騒いでも、全ては遅きに失する。その当日にチョコを貰おうとあれこれ画策しても、その行動は無為に終わるだろう。勝負の帰趨は当日までに決している。

バレンタインだけじゃない。クリスマスも夏祭りも、あるいは文化祭などのイベントにしたって。その当日になってやかましく騒いでも、僕らに打つ手立てなんてない。結局、一人で寂しさを抱いたまま眠るほかないのである。そしてあんたたちは、mixiや掲示板などに赴き、色のない目でこう書き込むのだろう。『リア充は死ね』――と。

もうやめよう。負の連鎖は断ち切ろう。人の目が前に付いているのはどうしてか?それは僕たちが前へ前へと進むためだ。過去を悔いても仕方がない、大事なのは今、ナウなのであり、かつ未来をどうクリエイトするか?という部分でしかないのだから。

先を見据えた一手を。僕らに足りないのはこのマインドだ。先んずれば人を制す、という言葉もある。その意味で、僕たちは差し迫ったイベントだけに心砕いてはいけない。既に夏となってしまった今、慌てて『やべえ、夏祭りに行く相手がいねえ!』と騒いでも、どうしようもない。だからこの際、夏祭りのことは諦めよう。次の一手を見出そう。

先を見る、と言っても具体的に何をすればいいのか?クリスマスに向けて虎視眈々と牙を研げばいいのか?という声が上がるかもしれない。それは半分正解で、半分間違い。先を見る、というマインドにおいては正しいけれど、見据えるべき場所、その着地点を誤っている。僕たちが見るべきなのは更に先、もっと先の地平なのだ。

ズバリ。
老後、である。

「バカにしてんのか肉欲テメェー!?」

待たれよ!激昂してはならない。僕は何も皆さんをおちょくろうと思ってこの日記を書いているわけではない。それに、これまで僕を信じて一度でも損をさせたことがありましたか?『めちゃくちゃあるよ、ホント死んで欲しい』という方がおられましたら、ハードリカーを鯨飲するなどして全てを忘れていただきたい。そしてその思い出を墓場まで抱いて眠って欲しい。永遠(とわ)に。

数日後、数ヵ月後のスパンで物事を見ていてはダメなのだ。準備期間はもっと必要なのであり、そのためには数年後、数十年後先の状況を想定しながら動くべきだろう。その意味で、"攻め"の姿勢での、老後設計。何も間違ったことは言っちゃいない。

考えてもみて欲しいのであるが、もしかしたらあんたたちは自分が絶対に老いないとでも思っているのですか?そんなことは有り得ないわけで、僕たちは生きている限り等しく"老い"を享受する。そこに例外はない。僕たちはゆっくりとそして確実に、シニアへの道を歩んでいる。

そしてこれが大事なことなのであるが、僕たちがシニア・シルバーになったとしても、今を取り巻く各種イベントは消えずに残ることだろう。たとえ僕がおじいさんになったとしてもクリスマスはクリスマス、2072年の表参道には山下達郎の悪魔じみたソングが流れているのである。悲しいが、現実というのは往々にしてそんなもんだ。

その時、あなたは。

「今年のクリスマスもやっぱり一人じゃよ」

そんなことを呟きたいのだろうか。76歳にもなって、mixiの日記に「スイーツ(笑)リア充は死ねよ」などと綴りたいのだろうか。きっと、誰もそんなことは望んじゃいない。

大丈夫、僕たちに残された時間は信じられないくらいに長い。できることは山ほどある。45年後のクリスマス、あるいは夏祭りを見据え、僕たちは重い腰を上げるのであった。

ゲートボールなどいかがだろうか。一般にはあまり知られていないことであるが、ゲートボールと称される競技。この日本においてはナウなシルバーにバカウケ。そのプレイが上手い人間は、老人社会のおけるカーストにおいて上位層に食い込むことができる。

ゲートボールプレイヤーは"スティック"と"ボール"を操り、"ゲート"を目指す。賢明な皆さんはこの時点でお察しのことと思うが、非常に示唆的なゲームだと言えよう。これは言うまでもなくセックスに対するメタファーなのであるが、プレイヤーの各々は不惑をとうに通り過ぎた熟年たち。ゲートボールに隠された意味に気付いても、あえて指摘するほど無粋じゃない。

「悔しいのう、あと少しで逆転できるのにのう」

「誰か逆転できるほどの腕前を持った御大はおらんかのう」

「ワシに任せてもらおうかの……」

「あんた……もしかして中里さんかえ?!」

「何ィ!?もしかしてアイツがあの"曲がり角を曲がったところにある煙草屋の中里"だって言うのかい?!」

「シッ、静かにするのじゃよ……」

曲がり角を曲がったところにある煙草屋の中里さん「………シッ!」

その刹那、軽やかに振るわれたスティックの先から小気味良い音が鳴り響き、そして――

「ぎゃ、逆転しおったわ!!」

「すごいのう!すごいのう!」

「天晴れじゃよー!」

曲がり角を曲がったところにある煙草屋の中里さん「何、騒ぐほどのことじゃないですわ」

「いやいや、ご謙遜を。どうですか中里さん。もし良かったらこの後宇治茶でも、一献。ご婦人方もそう望まれておりますし」

曲がり角を曲がったところにある煙草屋の中里さん「苦味の強い茶は得意としませんが……折角のことです。参りましょう」

「良かったのう、タエさん!中里さん、来て下さるって!」

「もう、やめとくれよカネさん。わたしゃそんなこと全然…(///)」

お察しの通り、この時点でカネさん(82)のオマンの汁はドバドバ90分。もうメチャクチャにしとくれ!の状態だ。これはまさに春、我が世の春である。

今時分からゲートボールの練習に励むことで、あなたに確約された瑠璃色の老後。そのチャンスを逸することはないし、あんただって落ちてる銭は拾ちゃうタイプだろ?みすみす逃したりはしないんでしょ?だからやっぱり乗るしかない、このビッグウェーブに。

プレイ自体が注目されるのは勿論のことだが、それ以外のところにも着目してみよう。先述した通り、ゲートボールにはスティックという大人のホビー・トイが用いられる。つまり『道具も含めて楽しめる!』ということだ。ダーツにしてもビリヤードにしてもそうだが、センスの利いたアイテムを持っている方は、それだけでチヤホヤされる場合が多い。

「将太さん、そのスティックはもしかして?」

「ああ、FENDIのスティックじゃよ」

「すっごーい!のう(///)」

このやり取りをカマした時点で、やっぱり徳子さん(78、うお座)のオマンの汁はドバドバ90分。もう好き勝手にして!状態である。78歳にもなってそんな拝物的、ブランド志向的な人って……と眉をひそめる方もおられるかもしれないが、現実はいつだって醜くそして泥臭いものだ。目を背けてはならない。宮崎あおい以外の女性は皆揃って野太いウンコをしているのである。目を背けてはならない。

お分かりいただけたであろうか。目先の小さい勝ちを狙うことが悪いとは言わないが、臥薪嘗胆の精神で先に待つ大きな勝利を狙う――大きな流れの中で見れば、それだって十分価値のあることだ。僕たちが心ある人間である以上、老後であっても恋心は失われ得ない。夏に冬に、異性に対してドキドキすることだって当然想定される。その時あなたは、どう動く。

「クソッ、ワシも若いうちからゲートボールをやっておれば……」

事後に悔やんでも仕方がない。行く春を嘆くのはもうやめよう。45年後の勝ち組を目指し、この夏はゲートボールに取り組んでみては如何か。なお、日ゲー連(日本ゲートボール連盟)のこのページを見て『オヤ?結構若い娘も多いんだな……』なんてことを思った僕のマインドと、今日のこの日記の内容とは一切関連はありませんので悪しからずご注意を。さあ、夏ですよ。

(↑ここまで日記↑)

最近、ラジオやコメントなどで『肉欲さんのオススメの本を教えて下さい!』という声がチラホラありました。ということで、ここから唐突に僕のツボにストライクした小説などをご紹介。基本的にはサイドバーに設置してある『肉欲の本棚』と同内容になるかと思うんですが、ご興味のある方は適当に参考になさって下さい。




夏、ということで。かなり有名な作品ですので、既に読まれたことのある方もいらっしゃるかと思います。少年三人と老人とのやり取りを主軸に据えた、じんわりと心に響く作品。別に説教臭いトーンは存しないのに、読み終えた後に色々なことを考えさせられる良作。頁数的にも値段的にも優しいので、割と気軽に読めることかと思います。

 


こちらも夏らしい一冊。量的にはかなりボリュームがあるのに、そんなことを感じることなくスッと読める。ざっくりと言えば父と子、というテーマで描かれているんですが、『全共闘』や『離島の開発』などの話も絡んで、個人的にはかなり興味深い内容でした。しかし映画版の父親役がトヨエツというのは、どうなんだろうね。

 


重松清は『家族』というテーマの作品がほとんどなのですが、この『疾走』はそこからかなり踏み込んだ内容になっています。端的に言えば「鬱になりたい人にはマジでオススメの一冊」という感じでしょうか。これまで何度か知人にこの本を紹介しましたが、そのいずれもが「なんちゅうもんを読ませてくれたんや……」と、薄暗い顔で僕に結果報告をくれました。夏に浮かれてなんていたくない!というストイックな方にパワープッシュしたい一作。

 


河内十人斬りをモチーフにした小説。おそらく『思弁』がこの作品のメインテーマ。町田康作品に出てくる登場人物はいずれも思弁的なのですが、告白の主人公である熊太郎はとにかく色々思弁する。その内容は高尚なことから卑近なことまで多岐に亘り、そのいずれもが僕らにとってどこか共感できる部分であったり。地の文がとにかく膨大で、それにも増して600ページ以上ある作品なので読み込むのは大変ですが、それだけの労力をつぎ込む価値がこの本にはあると思います。

 


僕が川上弘美の本を読んだのはこれが初めてだったところ、この作品から入って本当に良かったなあ、とつくづく思います。"蛇を踏む"とか"溺レる"などの作品はあまり肌に合わなかったものでして……。定年退職した小学校と元教え子との交流を描いた一作。川上弘美の描く飲食飲酒の描写は実に粋で、また玄妙な味わいがある。恋とか愛とか、そういうチープな言葉を使わずに"センセイ"との関係を描ききっているのが、実にいいです。

 


大崎善生の書く文章は実に美しいと思う。これとは別の小説である『パイロットフィッシュ』からの連作です。個人的にはアジアンタムブルーの方に旗を上げたい。愛する人への様々な思いがこの作品を組成しています。それはどちらかといえば恋愛、ではなく情愛、の類に属するでしょう。切なく、どこか心が温かくなる小説です。

 


初めて読んだのは15歳の頃。読み終えた後に激しく人間不信になりました。あと、絶対に歌舞伎町になんか行っちゃいけない!という思いを僕に芽生えさせてくれました。ざっくりと言えばチャイニーズマフィアにまつわるストーリ。とにかく色んな描写が生々しい。どこまでが事実に即しているかは判然としませんが、作者がかなり取材を重ねたのであろうことは推知できます。ページをめくる手が止まらない、掛け値なしに面白い一作。

 


舞城王太郎のデビュー作。独特の福井弁がたまりません。田舎町で起きた一連の事件に主人公とその家族が絡んでくる、というのがストーリーの概要。一応、分類上はミステリー……ということになるんでしょうけど、読み始めても『よし、推理すっか』なんて気持ちは一切起こりません。この小説の醍醐味は"推理"なんて部分には存在しない。凄まじいテンポで、終了まで一気に読ませる力強い一作。奈津川ファミリーはバケモノです。

 


町田康と飼い猫との生活を描いたエッセイ。町田康の猫愛溢れる一冊です。氏は別のエッセイで『自分にとって猫を"一匹、二匹"という単位で数えることはどうしてもできない。一人、二人、と数えたい。でもそんなこと言ってると人から奇人と思われてしまう。でもやっぱり一匹、二匹とは呼べない。だから取材の折などに「猫を何匹飼っていらっしゃるんですか?」などと問われた時、苦心して「トゥーです」などと答えてしまった――』といった趣旨のことが書かれていたのですが、それも納得です。ラスト30ページくらいは涙が止まらなかった。内田百間の『ノラや』に通じるものがあると思う。猫の持つ魔力は侮りがたい。

 


"粋"とは何か?そのことを池波正太郎先生が優しく教えて下さいます。この価値観は、忘れずに後世に残しておくべきだと思う。男性の方は是非一度読んでみて下さい。

ということで、思いつくままにオススメの本を紹介いたしました。最近はあまり活字に触れる時間がないのですが、それでもやはり読書は好きです。色々買ってるとお金がかかりますので、懐寂しい方は公立図書館などに足を運んでみてはいかがでしょうか。久しぶりに図書館に行ってみるのも、中々オツなものです。

学生さんにとっては長い夏休み。
涼しい山々で読書に勤しむのも、悪くないかもしれません。ゲートボールしようぜ?全体的に何を言ってるのか、理解できませんな。


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posted by 肉欲さん at 01:51 | Comment(26) | TrackBack(0) | 日記 このエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
宮崎あおいも野太いウンコしますよ
Posted by メジロ at 2008年07月30日 02:05
老人ホームで愛が芽生える事もありますからね。

肉欲さんの文才は、数多くの本から蓄積し、処理し、構築されてきたものなんですね。改めてスゴイと思いました。
Posted by スケッチ at 2008年07月30日 02:16
ラスト2行が一番面白かったw
Posted by レンブラント at 2008年07月30日 03:29
やっぱあんた大好きやわ
Posted by at 2008年07月30日 04:16
いやぁ楽しかった。

町田町蔵ご存知ですか w
Posted by 郁 at 2008年07月30日 04:43
この前mixiでゲートボールコミュ作ったばかりですWWW
あれ今からやりこんで、ばあさんになったら世界チャンピオン狙ってるんであんまり広めないで下さい(笑)
Posted by 岩下様 at 2008年07月30日 06:08
大学に入って三年が経つ頃までほとんど本を読まず、彼女に薦められた乙一のZOOで読書が好きになりました。
京極の鉄鼠読み終わったら肉欲推薦図書読んでみます。
Posted by tommy at 2008年07月30日 06:55
やっぱ乗るっきゃないすね
このビッグウェーブに
Posted by at 2008年07月30日 08:48
なんという肉欲図書館www
読んでみます
Posted by at 2008年07月30日 09:06
今はゲートボール派とグランドゴルフ派に別れているそうですな。
ちなみにうちのじいちゃん(96)はゲートボールがうますぎて相手チームの老女を本気で泣かせたことがあるそうです。
老後にイケメン・・・イケシニアをゲットするにはどっちを選ぶべきでしょうか。
Posted by at 2008年07月30日 10:23
新書でなにかおすすめをください。
ドバドバ90分間いけるようなやつを。(読書的な意味で
Posted by at 2008年07月30日 10:29
肉さんは読書家なんだね。僕も本は読むけど知らない本何冊かあった!全然関係ないけどナウシカ見たことないのに胸の谷でイクシカなんて書いてたんすか。笑
Posted by ゆし at 2008年07月30日 12:30
肉欲企画を読んでると下ネタ以上に文章の細部にちりばめられた語彙、表現力に圧倒されてしまいます。すごい好きです。

今日の日記に紹介されてた本をこれから読んでみようと思います、大学の休みは長いので。
Posted by シュバルツ at 2008年07月30日 15:50
むしろ僕に必要なのは彼女欲しい!というリア充死ねよ・・・、に至る以前の熱いパッションな気がしなくもない。
徹夜でレポート書き上げて超眠い\(^0^)/
Posted by MJ at 2008年07月30日 17:28
INUやばい超やばい
Posted by ヒッ at 2008年07月30日 18:01
なるほど肉さんいろんな本読んでるんですなー
ボクもたまには文字の本読んでみようかな…
Posted by めめと at 2008年07月30日 19:55
前から本棚見て「告白」読んでみたい読んでみたいと思っているのですが、書店で手にとるといつも分厚さに圧倒され…今年こそは



センセイの鞄大好きです
Posted by at 2008年07月30日 23:41
町田先生の文体は非常に癖になりますね。

ずっと思っていたのですが、向井秀徳をご存じですか?

Posted by おこ at 2008年07月31日 00:30
肉さんこの紹介でいくらもらえたんですかい?
教えてくだせえ
Posted by at 2008年07月31日 08:20
目が前についているのは……

って肉さんとのび太じゃ3分の1も
伝わらないよ!

確かに「疾走」は鬱にはなれます。
おすすめは絶対しませんが。
Posted by at 2008年07月31日 18:00
宮崎あおいのことはいい加減忘れなはれw
Posted by at 2008年08月01日 00:30
最近ホラー書かないね。
久しぶりに新作読みたい。夏だし。
Posted by at 2008年08月01日 01:49
たしかに
ホラー
というか
なにか
ぞっとする
ものが
読みたい
です



なんつって
うひゃひゃひゃ
うひゃひゃひゃ
うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ
Posted by at 2008年08月01日 21:25
尊敬!!!!!!!!!!!!!!
京福!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!1
発する!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!15
Posted by kaminami at 2008年08月02日 05:02
肉さん、疾走読みましたよ。
先日彼女ができたばかりのうはうは状態で、
まーさか大丈夫だろうと思ってましたが、、
激しく鬱です。

でも、最後のきらきらに少し心が救われた気がします。
Posted by ♂ at 2008年08月10日 00:26
ドバドバなのは文脈的にカネさんではなくタエさんでは?w
Posted by at 2008年08月20日 02:38
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