本日もまた居酒屋にてバイトだったのですが、突如店に闖入者がやって来て焦った。
後々にそれは客だと分かったんですが、何が驚いたかってその人の顔がバッファローとシーモンキーを足して20で掛けたような途方もない顔面でして、また一体いかなる禍事か、その顔面を搭載しているバディーは震えるほどマッシブで、おそらくかつての横綱・曙くらいでしたらかるーく撲殺できそうなくらいスーパータフな体だったんですよ。
しかも、それがまあ、女性でしてね。
差別的であることは多分に理解はしておりますが、しかし理性を超えた部分、つまり本能において僕は彼女に恐怖した。
おいおい、人間最終兵器みたいな女だな、と思いながら僕はブルブルと震えつつ、その人、生物学上はおそらくヒト科のメスにギリギリ分類されるであろう彼女に、焼酎の緑茶割りなんかを持ってったんですよ。
したらなんか会話が聞こえてくるので、ほう、こいつ人語を解するか、なんて思いながら耳をそばだてるとどうもなんかセックスの話をしてるんですね。変な棒入れる方のアレ。
いや、別に僕はセックスに対して否定的感情はないし、ていうかむしろ好意的には捉えておりますけど、まあ仮にこの女性をケメ子としたところ、どう考えてもケメ子とセックスには接点がなさそうな雰囲気っていうか、たとえて言うなら紀宮さまが公式会見で
『あー、早くシャブ打ちてえ』
なんて皇室スマイルでおっしゃる、それぐらいの衝撃があったのですよ。
というのも、僕としてもケメ子が実際になにがしかの動物と対戦、もといセックスする場面を想像してみたんですが、まあその想像された絵ってのが良く形容しても『セックス』じゃなくて『交尾』だった。『種付け』とかそんな感じだった。もっと正直に言わせてもらえれば、あんたPRIDEですよPRIDE。まさに超獣決戦。戦いのワンダーランド。
そんな戦闘民族みたいな人が、いやむしろ世紀末覇者みたいな人がセックスの話をしている、しかも内容としては
『あたしも昔はバリバリセックスやってたわー』
だなんて内容なんだよ。思わず、おや今日は四月一日かな?とカレンダーをめくって暦を確認せずにはいられないくらいアバンギャルドなんだよ。
その後もケメ子は猛然とした勢いでセックスの話をベムベラベロと続けていたのですが、さすがに周りにいた客の存在を勘案すると気恥ずかしくなったのか、壊れた拡声器のように喋っていたのが少しトーンダウンし、ケメ子は突如としてセックスのことを
『にゃんにゃん』
だとか呼び始めたのだから始末に負えない。細木数子を73発殴って素肌にヒ素を塗りたくったような悲壮な顔面のケメ子。それが突如として
『あー、しばらくにゃんにゃんしてないなー☆』
ですからね。僕にはその言葉がマントラに聞こえたよ。ほんとイメージにそぐわないというか、JAROを呼びたくなるというか、ケメ子の野郎一見して
『週末の楽しみは猪を素手で捕まることです!』
みたいな範馬勇次郎ばりのオーラを漂わせておきながら、臆面もなく
『にゃんにゃんしたいなー☆』
ですからね。あまりの衝撃に鼓膜がアビスに吸い込まれるかと思ったぜ。
でもまあフリーセックスの時代だし、そういうのもアリかなー、いくらケメ子といえなー、なんて思いながら5杯目の焼酎緑茶割りをケメ子のところに持って行きつつ、ふと目を下の方にやったんです。
するとまあローライズだかローションプレイだかは知りませんが、最近流行のそんなズボンを着用した代償ですか、ケメ子のケツが、いやケツというか臀部?が、モロリと外界に向かってアウトブレイクしていた。その光景に思わず朝青龍を想起した僕は、動悸息切れなどの深刻な疾患に襲われ、健全にバイトすることもままならない、今日はそんな一日でした。